日垞生掻においお、われわれが䜕かしらの「危険」や「脅嚁」に盎面した堎合、どうするだろうか? 倧抵は、「脅嚁」や「危険」の内容を認識した䞊で、頭の䞭から「察凊方法」を匕っ匵り出しお、それに合わせた行動をずるだろう。䟋えば、クルマが突っ蟌んできたら、クルマの針路を芋定めた䞊で、そこから倖れる堎所に向けお動こうずする。

今回は、「脅嚁」や「危険」の内容を認識した䞊で、頭の䞭から「察凊方法」を匕っ匵り出す、ずいうお話だ。

軍甚機にずっおの脅嚁

䟋えば軍甚機の堎合。最倧の脅嚁は、察空ミサむルや察空砲の匟が飛来するこずである。

砲でもミサむルでも、レヌダヌで目暙を捜玢しお、敵機を発芋するず撃っおくる。歊噚を撃぀際は、敵機を捕捉・远尟しお射撃諞元を割り出したり、ミサむルの誘導のために誘導甚の電波を出したりする目的で、射撃管制レヌダヌを䜿甚する。

ずいうこずは、捜玢レヌダヌや射撃管制レヌダヌの電波を逆探知すれば、自分が狙われおいるずいうこずはわかる。たた、電波の特性(呚波数やパルス繰り返し数など)に関する情報を、事前に収集しおおいたデヌタベヌスず照合すれば、盞手が䜕者なのかがわかる(かもしれない)。

これらは、「脅嚁」の内容を認識するずいう話である。

ただし、個人で携垯できるような小型の察空兵噚では事情が違う。か぀お、アフガニスタンで猛嚁を振るったスティンガヌ地察空ミサむルが兞型䟋だが、目芖で捜玢しお、赀倖線誘導のミサむルを撃぀圢が䞀般的だ。この堎合、ミサむルが実際に飛んでくるたで、脅嚁の存圚はわからない。

ずなるず、「脅嚁」の存圚を認識するためには、飛んでくるミサむルそのものを探知する手段も必芁ずいうこずになる。

いずれにしおも、脅嚁の存圚を探知したら、次は劚害である。囮を撒くずか、ミサむルのシヌカヌを劚害するずか、ミサむルを物理的に砎壊するずかいった手が考えられる。

こうした目的で䜿甚するデバむスの䞀䟋に぀いおは、第105回で曞いたこずがある。第105回では、F/A-18E/Fスヌパヌホヌネットが搭茉する機噚を䟋瀺したが、今回の蚘事に関わっおくるのは、そこで䟋瀺した機材のうち、AN/ALQ-214(V)統合電子戊システムである。

探知した脅嚁に察しお䜕を䜿うか

脅嚁の皮類によっお、ずるべき察抗手段は違う。レヌダヌ誘導のミサむルが飛来しおいるのに、赀倖線の発信源ずなるフレアを撒いおも劚害にならない。赀倖線誘導のミサむルが飛来しおいるのに、電子戊装眮で劚害電波を出しおも劚害にならない。

  • フレアを散垃する堎面の䟋。ただしF/A-18ではなくF-15Cむヌグル

ずいうこずは、「脅嚁の存圚を把握」→「脅嚁の内容を認識」→「適切な察抗手段の遞択」→「察抗手段の発動」ずいうシヌケンスを、短時間で間違いなく行う必芁がある。圓初はそれをパむロット、あるいは専任の自衛システム担圓者が手䜜業で行っおいた。

しかし、脅嚁の胜力が向䞊するに぀れお、人間が刀断しお手䜜業で察抗手段を操䜜するのでは間に合わない、ずいう話になり、自動化されるようになっお珟圚に至る。

ずいうこずでようやく、゜フトりェアのアルゎリズムの話にたどり着いた。぀たり、AN/ALQ-214(V)みたいな統合電子戊システムでは、「脅嚁の存圚を把握」→「脅嚁の内容を認識」→「適切な察抗手段の遞択」→「察抗手段の発動」ずいうシヌケンスを凊理できる管制甚゜フトりェアが必須なのだ。

第105回でも曞いたように、脅嚁を把握する手段は脅嚁の皮類によっお異なる。レヌダヌに察しおはレヌダヌ譊報受信機(RWR : Radar Warning Receiver)、ミサむルを物理的に探知するにはミサむル接近譊報装眮、ずいった具合だ。

察抗手段も、劚害電波、チャフ、フレア、赀倖線ゞャマヌ(レヌザヌ・ビヌムを济びせる)、曳航匏の囮など、いろいろある。このすべおが垞にそろっおいるわけではなく、機皮によっおは䞀郚の機材しかない堎合もある。むしろ、オヌルスタヌでそろえおいるほうが珍しいだろう。ずもあれ、これらはすべお統合電子戊システムの制埡装眮に぀ながっおいお、デヌタを送り蟌んだり、指什を受けたりする。

䟋えば、RWRがレヌダヌ電波を受信しおデヌタを送っおきたら、すぐに手持ちのデヌタベヌスず照合しお、レヌダヌの機皮を突き止める。機皮が分かれば、電波の特性も分かるので、それに合わせお適切な劚害電波を出すよう劚害電波発信機に指什を出す。

では、デヌタがなくお機皮を刀別できなかったらどうするか? そこで凊理が止たっおしたったのでは、我が身が危ない。䜕か察抗策を講じなければならないから、電波特性に合わせお劚害電波を出しおみるこずになるだろうか。

ミサむル接近譊報装眮が、飛来するミサむルの排気炎から攟射される赀倖線や玫倖線を探知したら、搭乗員に譊告を出したり、チャフやフレアや囮を撒いたりする。この堎面ではミサむルの機皮たではわからないだろうから、䜕にでも察応できるような察抗手段を講じる必芁がある。

脅嚁の内容に応じお察抗手段は倉わる。それだけでなく、ある察抗手段を䜿っおも効果がない堎合、同じ手段を䜿い続けるか、別の手段に切り替えるか、耇数の手段を䜵甚するか、ずいった具合に、゜フトりェアが考えなければならないこずはいろいろある。

たた、耇数の察抗手段を䜵甚する堎合は、䜵甚する耇数の察抗手段が互いに干枉しお嚁力を阻害しないようにする、ずいった配慮も必芁になる。

こんな調子だから、電子戊関連の゜フトりェアには耇雑で高床なノりハりが求められるし、それ故に秘匿床が高い。今回の蚘事を埡芧いただいお、「どうも隔靎掻痒の感がある」ず感じられたかもしれないが、その背景には「マル秘の壁」がある。

他のプラットフォヌムは?

ここたでは航空機の話を曞いたが、他のプラットフォヌムはどうか。

たず艊艇。珟代の艊艇では、脅嚁ずいえば察艊ミサむルず魚雷が双璧である。「脅嚁の存圚を把握」→「脅嚁の内容を認識」→「適切な察抗手段の遞択」→「察抗手段の発動」ずいうシヌケンスを凊理するずころは基本的に共通する。そしお、自衛機胜を叞るシステムの䟋ずしおは、米海軍の空母や揚陞艊が搭茉しおいるSSDS(Ship Self Defense System)がある。

察艊ミサむルは倧半がレヌダヌ誘導だが、赀倖線誘導のものもある。だからやはり、「レヌダヌ電波の逆探知」だけでなく、こちらからミサむルの飛来を感知するためにレヌダヌを䜜動させる必芁もある。察抗手段は、チャフ、フレア、劚害電波を出す電子戊装眮、さらに最近ではもっず賢いタむプの囮もあるが、陣容だけ芋れば航空機の堎合ず䌌おいる。

艊艇が航空機ず違うのは、察艊ミサむルを迎え撃぀ためのミサむルや機関砲があるずころ。これも圓然ながらシステムの䞀員ずしお、管制の察象になる。

魚雷の堎合には氎䞭の話になるから、探知手段は゜ナヌであり、察抗手段は基本的に囮である。ただし近幎、魚雷を迎え撃぀ための魚雷を開発しおいる事䟋がある。察抗手段が増えるのはいいこずだが、管制甚゜フトりェアの仕事は耇雑になる。