Microsoft Edgeが提供する機能は多岐にわたる。Webブラウザとしての根幹部分はChromiumの技術を使っているため、基本的にはGoogle Chromeと同じだが、UI/UXや挙動、それ以外の機能などに独自性がある。そしてその独自機能がよく出来ており、使えば使うほど便利さを実感できる。使い込んだ分だけ応えてくれるアプリケーションだ。本連載は今回で最終回となるが、これまでの記事を参考に、ぜひ一度試していただきたい。

→連載「意外と知らないMicrosoft Edgeの便利な使い方」の過去回はこちらを参照。

Image Creator

最終回となる今回は、サイドバー関連でまだ取り上げていない機能の中から、特に興味深いものだけピックアップしていく。まずは「Image Creator」だ。

Image Creatorは自然言語から独自の画像を生成するモデルである「DALL-E 3」を使うためのサイドバーボタンだ。利用するには、上記のようにMicrosoftアカウントでサインインする必要がある。サインインが完了すると次のようなサイドパネルが表示される。テキストボックスに生成してほしい画像を指示し「作成」ボタンを押すと画像の生成が開始される。

  • Image Creator

    Image Creator

業務で資料や書類、チラシ、広告、ポスターなどを作る際にイラストを挿入したいケースはよくあるはずだ。自分で手書きすることもあれば、フリー素材を探して使うこともあるだろう。Image Creatorは、そうした場合のもう一つの選択肢となる可能性がある。

例えば、次のスクリーンショットは「日本の秋祭りっぽいアイコン」という指示で画像を生成させたところだ。4つの候補が生成されている。

  • Image Creatorで「日本の秋祭りっぽいアイコン」で画像を生成させたサンプル

    Image Creatorで「日本の秋祭りっぽいアイコン」で画像を生成させたサンプル

画像をクリックすると次のようにページが表示される。

  • Image Creatorによって生成された画像

    Image Creatorによって生成された画像

このような感じで画像を生成することができる。自分の欲しい画像が生成できるかどうかは、プロンプトにうまく指示を出せるかどうかで決まる。今後は、適切なプロンプトを書けるかどうかがスキルの一つになっていくだろう。

執筆時点では、生成できる画像の数に上限がある。大量の画像を生成するような用途には向いていない。また、生成された画像を商用利用する場合にどのような問題が生じるのかや、法的にはどういった取り扱いが適切なのか、わかりやすいユースケースの提示があまりないというのが現状だ。今後、こうした部分が徐々に明らかになり、認識が広まっていくことが予測される。業務での本格利用はまだまだこれからだが、今から積極的に使用してプロンプト力を引き上げる取り組みは行っておきたいところだ。

OneNoteフィード

「OneNoteフィード」は名前の通り「Microsoft OneNote」を扱うためのサイドバーボタンだ。これも、利用するにはMicrosoftアカウントでのサインインが必要となる。

  • OneNoteフィードを使うにはMicrosoftアカウントでのサインインが必要

    OneNoteフィードを使うにはMicrosoftアカウントでのサインインが必要

OneNoteフィードはMicrosoft OneNoteを使ってメモを書いておけるサービスだと考えておくとわかりやすい。ほかにも同じMicrosoftアカウントで使っているPCがあるとか、スマートフォンからもMicrosoft OneNoteを使っているという場合は便利だが、1台のPCだけで使う場合には、あまりメリットを感じないだろう。

  • OneNoteフィードの使用サンプル

    OneNoteフィードの使用サンプル

Microsoft 365ボタンにもMicrosoft OneNoteは含まれているが、こちらはMicrosoft OneNoteのWebアプリケーションへのリンクになっており、パネルでそのまま使うようなものではない。Microsoft OneNoteでメモを管理しているという場合には、このサイドバーボタンが役に立つ。

Skype

「Skype」はその名の通り、Skypeのサービスをサイドバーパネルから使うことができる機能だ。

  • サイドバーのSkypeボタン

    サイドバーのSkypeボタン

Microsoftは企業での使用にはMicrosoft Teamsを提供しており、Skypeは個人ユーザー向けのサービスとして位置付けている。このボタンでは、Skypeでのメッセージ送信や音声通話などを手軽に利用することができる。

まだまだ取り上げていない機能がいっぱい

本連載では、Microsoft Edgeの機能について取り上げてきた。レンダリングエンジンなどWebブラウザとしてのコア技術はChromium (Google Chrome)の技術を採用しているが、UI/UXやそれ以外の機能に関しては“Microsoftの考えるWebブラウザ”が表現されている。

端的に言えるのはツールバーとサイドバーではないだろうか。このショートカットUIには、Microsoftの考えるWebブラウザの利便性というものがよく表れている。Microsoftもまだこの機能の方向性を模索しており、ツールバーとタスクバーはちょくちょく変わっている。それだけ積極的に機能の改良が続けられているということだ。

  • ツールバーとサイドバーをフルで表示させ、コマンドパレットを表示させたMicrosoft Edge

    ツールバーとサイドバーをフルで表示させ、コマンドパレットを表示させたMicrosoft Edge

Microsoft Edgeの提供している機能は、独自のUI/UXだけではない。メニューや設定ページからもそれは見て取ることができる。さらに新機能の開発も活発だ。執筆時点で「Edgeワークスペース」と呼ばれる共同ブラウジング機能もプレビュー提供が開始された。こうしたMicrosoft Edgeに独自の機能は、今後も導入が続くことが予測される。端的に言って、「Microsoft Edge」は“今、面白いWebブラウザ”だ。

Microsoft Edgeについてはまだまだ取り上げていない機能があるので、そうした機能についてもぜひ自身でお試しいただきたい。ややMicrosoftのサービスに偏る傾向が見られるが、それ以外でも役立つ機能がふんだんに用意されている。本連載を機に、一度本腰を入れて取り組んでみてもらえれば幸いだ。

参考資料