Microsoft Edgeのサイドバーのトップに配置されている「検出ボタン」(「b」ボタン)をクリックすると、「チャット」「作成」「分析情報」という3つのタブが設置されている。それぞれMicrosoft Bingやそこで収集されたデータに基づいた支援を行う機能だ。今回はこれらのうち「作成」タブについて取り上げる。さまざまな文章作成に利用でき、業務効率の向上につながり得る機能だ。
→連載「意外と知らないMicrosoft Edgeの便利な使い方」の過去回はこちらを参照。
LLM技術を使って文章を自動生成する
検出ボタンをクリックして開く3つのタブのうちの1つ、「作成」タブは、文章を自動作成させる機能を持つ。新しいMicrosoft Bingのチャット機能と同じ技術を使ったものだ。作成してほしい文章の内容とトーン、形式、長さを指定すると、それに合わせて文章を自動生成してくれる。
業務において文章を書く機会は何かと多いだろう。それはメールのようなインタラクティブ性のあるものから、比較的硬い形式の文章までさまざまだ。
ある程度格式張った文章や、丁寧な文章を作成しようとする場合、まずGoogle検索で類似する内容の記述を探し、それを真似することが多いのではないだろうか。しかし、ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)サービスが登場したことで、状況が大きく変わった。LLMサービスを利用した方が、検索よりも手軽に欲しい文章を得ることができるためだ。
検出ボタンの「作成」タブからも、これと似たようなことができる。以降では、実際の使用例を見ていこう。前回も説明したように、検出ボタンの機能を使うにはMicrosoftアカウントでサインインしている必要がある。事前に「検出ボタン」→「チャット」を選択し、サインインしておいていただきたい。
サンプル - メールの作成を支援する
例えば、Gmailで顧客とやり取りするメールを作成するとしよう。
メールに入れるちょっとした時候の挨拶は、検出ボタン→「作成」で開くタブで自動生成することができる。
次のスクリーンショットでは、自動生成する文章として「残暑を盛り込んだメールの導入文章を作成してください。」と指示し、トーンは「プロフェッショナル」、形式は「メール」で、長さは「中」にしてある。
この状態で「下書きの生成」ボタンを押すと、次のようにプレビューに文章が自動生成される。
あとはこの文章をメールの本文にコピー&ペーストし、必要に応じて編集すればよい。Googleで検索して探すよりも短時間で、似たような結果を得られるわけだ。サイドバーの機能なので、GmailのようにMicrosoft Edge上で動作するWebアプリケーションと同時に使う場合は非常に使い勝手が良い。
最初のうちは、「Microsoft Edgeで何らかの文章を入力する際はまず検出ボタンの『作成』タブを使って文章を自動生成する」という操作をルーティーン化するとよい。どのような場合に効果的で、どのような場合にはあまり効果が期待できないかがわかってきたら、使うタイミングを絞り込んでみよう。
サンプル - 文書の作成を支援する
ビジネスという視点で見た場合、「作成」タブを使った文章の自動生成は、普段あまり作成する機会のない形式の文書を作る時ほど便利さを実感しやすい。例えば、次のスクリーンショットでは、Googleドキュメントで行政機関に送付する文書を作成しようとしている。
上記の「作成」タブでは自動生成する文章として「市長に対して10月に開催するチャリティーコンサートへの挨拶文を寄せてほしいといった内容の文章を作成してください。」という指示を与え、トーンは「プロフェッショナル」、形式は「段落」、長さは「長い」を指定している。
この状態で「下書きの生成」ボタンをクリックすると、次のように文章が自動生成される。
生成された文章を貼り付けて編集を行い、目的に応じた書き換えを行っていく。
ざっと整理すると次のようなドキュメントが出来上がる。
一から全て自分で考えるケースや、Googleで検索して類似の文章を真似するケースと比べて、この方法で作成すれば短い時間で済むはずだ。欲しい内容と異なっていた場合は、自動生成する文章の指示内容を変更して再度文章を自動生成させながら、使える部分をコピー&ペーストして編集していけばよい。
サンプル - アイデア出しを支援する
検出ボタンの「作成」は文章の生成のみならず、アイデア出しのような用途にも使うことができる。
上記スクリーンショットでは「SNSを使った効果的な広告方法についてアイデアを列挙してください。」という指示を出し、トーンは「プロフェッショナル」、形式は「アイデア」、長さは「中」にしている。
この状態で「下書きの生成」ボタンをクリックする次のようになる。
生成された文章をざっとスプレッドシートで整理していく。
「作成」タブでは、問い掛けることでさまざまなアイデアを列挙させられる。出力されたアイデアを新しい考えを生み出すためのヒントにする、といった使い方ができる。
Microsoft Edgeで、スキルを磨こう
今回取り上げた「作成」タブの使い方は、ほんの一例にすぎない。この機能を使いこなしていくことで、業務効率の改善につながるはずだ。
LLM技術を使ったチャットサービスを使う場合、「どのように話しかけるか(入力するか)」が重要なスキルになる。経験値も必要になる部分なので、「作成」タブを何度も使ってみることをお薦めしたい。