これまで3回にわたり、自社でITを使って何がやりたいのかをよく検討せずに安易にクラウドサービスを導入すると逆にコスト高になりかねないこと、そしてコストとさまざまなビジネスユースへの対応力とのバランスに優れたクラウドサービスとして、at+linkが提供するIaaS「at+link クラウド」の高いユーザービリティーと手厚いサポートの内容について解説してきた。最終回となる今回は、将来のクラウドシステムの向かう方向性をいち早く取り入れたat+linkクラウドのより高度なサービスについて紹介する。
フロントはWebサーバー、後方はDBサーバーでより効率的かつ堅牢に──"ハイブリッド"という新しい選択肢
クラウドはもちろんのこと、企業ごとのニーズに合わせて専用サーバーという選択肢も可能なat+link。このサービスでは、専用サーバーのマネージドサービスの長年の経験とそれに基づいたユーザーフレンドリーなクラウドサービスを手がけるat+linkだからこそ実現可能な1歩進んだ形態として、at+linkクラウドと専用サーバーを連携したハイブリッド型での運用サービスも導入できるようになっている。
ハイブリッド型による運用の一例を挙げると、例えばクラウド上の仮想サーバーと物理サーバとを接続することで、フロント側のウェブサーバーをat+linkクラウドに置いて、DBサーバーを専用サーバに充てるといったような運用が実現できる。一般的にWebサーバーは処理がそれほど複雑ではなく扱うデータもシンプルなものが多い。そのため、アクセスの増減に応じたリソースの調整が簡単に行えるクラウドサーバーでの運用に向いている。一方、その"後ろ側"にあるDBサーバーには機密性の高い重要なデータが数多く蓄積されており、高速なデータの読み書きにも耐えられなければならない。そのため、セキュリティとパフォーマンスにより優れた専用サーバーが適しているのだ。
また、既に専用サーバーでWebサイトを構築している企業であっても、週末にアクセスが集中するようなマーケティングキャンペーンを実施するような場合には、土曜日と日曜日だけat+linkクラウドにも専用サーバーと同じ構成のWebサーバーを複数立ち上げてエンドユーザーのエクスペリエンスを維持するといったような使い方も可能だ。そしてこうした設定までも、直感的なコントロールパネルですべて行うことができてしまうのである。
at+linkによると、実際にこれまでに紹介したようなハイブリッド型によるシステム運用は、既に多くの顧客企業が取り入れており優れた効果を発揮しているという。
さらに、より膨大なデータを迅速に扱う必要があるシステムの場合には、Fusion-io社の超高速NAND型フラッシュメモリを使用したストレージシステムであるioDriveを搭載した専用サーバーとの接続も可能となっている。
at+linkのサービス開発部、原靖宏氏は言う。「基本的にI/Oを分散するのは技術的に困難なので、1台の専用サーバーで完結してしまったほうが効率的です。さらに、専用サーバーでDBを構築しても、システムによってはデータの読み書きがいっぱいいっぱいになることも多いので、そうしたDBについてはioDrive搭載サーバーに任せるというのが最適な構成だと言えるでしょう」
また、ハイブリッド型の運用を採用した場合であっても、WAN / LAN / DMZ などのネットワークの構築もコントロールパネルから簡単に実行可能だ。これにより、フロントにはat+linkクラウドのWebサーバーを置いて、その後ろ側のDBサーバーは自社システムとも接続されたプライベートネットワーク内に置くという、セキュアなネットワーク構成も簡単に実現可能となっている。
「コントロールパネルからネットワークを構成できるのもat+linkクラウドの特徴の1つです。グローバルIPでもローカルIPでもノードごとのIPアドレスの割り当てはコントロールパネルから自由に行うことができますので、WebサーバーとDBサーバーをローカルネットワークで接続するといったことも容易に行えます。ネットワーク構成を工夫することで、パフォーマンスと堅牢さを兼ね備えたシステムの構築が可能となるわけです」(原氏)
豊富な選択肢と提案力で"クラウドの理想形"を追求する
もちろん運用面についても、at+linkクラウドの最大の魅力である手厚いサポート体制が整っている。データセンターには24時間365日現地対応のスタッフが待機するとともに、顧客のシステムからアラートが上がってきた際にはリモートで一次対応する部隊も常時稼働しているのである。
「クラウドと専用サーバー、そしてこの2つのハイブリッド型といった多様な選択肢をお客様にご提案できることで、高速かつ安定稼働を実現するための運用環境を自由に構築していただいています。我々としても、さらに経験を積みながら、『ただクラウドだけでいいわけではない』という、本当の意味でのクラウド時代にふさわしいサービスの充実に努めていきたいですね」と力説するのは、at+linkの事業部長、内木場健太郎氏である。
今後もat+linkでは、導入時から導入後まで一貫したサポートサービスの提供を柱として、一般企業が使いやすいクラウドサービスとはどのようなものかをさらに模索していく構えだ。
「そのためにも、例えばこれまでに行ってきたような、セキュリティ面の要望に応じたISMS認証の取得や、SLAの制定、業界ごとの商習慣に合わせて業務委託契約を結んだりといった、お客様の視点に立った柔軟な対応とサービス拡充に重きを置き続けていきます。そして"それぞれのビジネスに最もフィットするクラウドサービスとは何か"という命題の解決策を追求し続けるのが我々の使命だと考えています」と内木場氏は訴える。
クラウドはまだまだ進化の途上にあるサービスであり技術である。その進化の流れをしっかりと見定めて、将来の自社のビジネスに貢献するシステムを構築するためにも、クラウドの導入を検討している企業のITスタッフの方々にあっては、at+link クラウドが自社にどのように役立つのかやどのような構成が向いていると思われるかなどについて、遠慮することなくぜひat+linkまで直接相談してみてはいかがだろうか。