社会は目まぐるしく変化し、市場競争は激化の一途をたどっている。企業力を高めていく上でITの存在が不可欠となった今、エンジニア、そしてエンジニア組織はどう在るべきか。――本連載では、4回にわたってLIFULL 執行役員/Chief Technology Officerの長沢翼氏にお話を伺ってきた。最終回となる今回は、理想とするエンジニア組織にするために今後取り組みたいことについて聞いた。
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LIFULL 執行役員/Chief Technology Officerの長沢翼氏
エンジニア開発のグローバル化を推進
――今後、理想のエンジニア組織にしていくために長沢さんが取り組みたいことについて教えてください。
長沢氏:大きく、3つあります。1つ目は、グローバル開発を進めることですね。2年ほど前からベトナムの開発拠点との“距離”を近くする施策を始めています。実はベトナムの子会社・LIFULL Tech Vietnamは2017年からあったのですが、あまり積極的に交流していませんでした。そこで、より一緒にやっていく体制にしようと、マレーシアの開発拠点・LIFULL Tech Malaysiaも含めたエンジニアのバーチャル組織図をつくったんです。物理的な距離はありますが、各事業部門が行うプロジェクトに海外拠点のエンジニアも組み込み、1メンバーとしてチームにアサインしていくことを進めています。
生産性の可視化と向上に向けた取り組み
――エンジニア組織の輪が海外にも広がるイメージですね。2つ目はどのような取り組みですか。
長沢氏:日本のエンジニアも海外拠点のエンジニアも含め、開発生産性を向上させるための取り組みを進めています。具体的には、2021年からの3年間でエンジニアの生産性を1.5倍にするのが目標です。2021年、2022年は昨対比で115%生産性が向上しており、2023年が最後の1年なので、きちんと達成したいですね。また、このような生産性可視化の取り組みを、社内外にもアピールしていきたいと考えています。
中長期を見据え、新しいことへのチャレンジを
――3つ目の取り組みは何ですか。
長沢氏:中長期を見据え、組織としての技術ケイパビリティや、個人の技術スキル拡張のため、新しいことをどんどんやっていかなければいけません。最近では、ここ数年で「新しいこと」にあたるものは生成AIだろうと考え、社内にもAIに特化したチームをつくりました。主力である不動産情報サービス事業だけでなく、不動産金融事業や海外事業などにもどんどん生成AIを使って、“LIFULLって、いろいろと新しいことをやっているよね”というイメージを打ち出していきたいですね。