こむぎこ寺は今日はお休みの日なのでしょうか、みんな電源が切れたかのようにひっくり返っていますが…?
「身の回りの物事から離れ心の働きを休める」という意味の第99回で紹介した「休息万事」と同じく座禅をする際の心得を表した言葉に、「非思量」(ひしりょう)というものがあります。意識はある(眠っていたりしない)ものの、思考を追わず情報を受け流し、判断や反応もしないような状態を表しています。
何か情報が入ってくると、人はそのことについて考え、さまざまな経験や価値観に基づいて「判断」をします。
例えば、会話している相手の発言を聞いたり、悪いニュースが流れて来たり、SNSで流れてくる誰とも知らぬ人の発言を見て、心の中にモヤモヤとした感情やイライラが発生する時、そのイライラやモヤモヤは相手の言葉を受け取り「考えること」、そして「この人の言うことは間違っている」「酷い出来事が起こっている」「酷いことを言われた」「この発言の裏にこんな意図がある」といったような「判断」が生み出していたりします。
物事を深く考えたり、判断を下したりすることは大切なことですが、時には余計な妄想を肥大化させ、平常心を乱す感情を増幅させることがあります。
そうして増幅した感情は、それが怒りであった時、「何か物申してやろう」とか「語気を荒げて相手を屈服させてやろう」といった自身の言動(つまり「反応」)となって表れてしまうわけです。
流れてくる情報ひとつひとつに反応していると、心は大きく疲弊することでしょう。対処法としては、思考や判断によって感情を増幅させる前にただその時点での感情を眺めるモードに切り替えるといった方法がよく挙げられます。
怒りに対しては「怒りがあるなあ」とある種、他人事のように眺め、それ以上イライラすることを考えるのをやめるイメージです。気になることが多すぎると感じたら、思考のスイッチをうまくコントロールできるよう、自分なりの方法を探してみると良いでしょう。
「考えない」「判断しない」ことにより、ストレスから自分の心を守れる場面もきっとあるはずですよ。
■今回登場したのは、禅のぼさつが宿った「こねり」
■著者紹介
Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。
「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。