前回は、アイ・ティー・テレコムが運営するレンタルサーバー『ITPARK』におけるECサイトの開業支援サービスについて解説した。その中で、主婦が運営する本格的なアジアン雑貨ショップ「雑貨ショップ petit ange(ぷちあんじゅ)」を紹介したが、個人や企業など、その規模や用途に応じてさまざまなユーザーに対応できるのがITPARKの特徴。今回は大規模企業におけるITPARKの利用事例として、「ママさんぽ」を運営するオリンパスに話をうかがった。

オリンパス株式会社 ブランド戦略室 ホームページ戦略グループ 課長代理 岩間郁朗氏

オリンパス株式会社 コーポレートセンター IT開発サポート部 要素技術グループ 主任 内田結城氏

ママさん情報サイト「ママさんぽ」を支える「ITPARK」

子育てファミリーのお出かけに役立つ情報が満載の「ママさんぽ」

ママさんぽ」というWebサイトがある。小学校就学前くらいの子どもを持つファミリー層を対象としたサイトで、子ども連れで楽しめるお出かけスポットなどを数多く紹介している。各スポットの報告や各地のママさんたちからのおすすめスポットなどの情報が満載。「週末にちょっと子どもたちとお出かけしたい」と思い立ったときにすぐに行き先を検索できるなど、手軽に役立つ情報を入手できる点がウケている。

お出かけスポットの取材や記事の執筆を手がけるのは、ママさんライターたち。「そのお出かけスポットにはオムツ換えや授乳などの設備が備わっているか」など、"ママさん視点"の記事が特徴だ。幼い子を連れて出かける家庭にとって役立つ情報が多く、まさに"ママさんによる、ママさんのための"情報サイトとなっている。

オールインワンで短期間公開が可能に! その後のサポートも迅速

この「ママさんぽ」はITPARK上で運営されている。サイト運営を担当するのは、デジタルカメラなどで有名なオリンパス。交通新聞社との共同企画という形だ。交通新聞社は、時刻表や雑誌「散歩の達人」などの出版を手がけおり、2007年3月頃、同社が刊行する「散歩の達人MOOK 東京さんぽ」との連携というかたちでサイト企画がスタートした。オリンパスの岩間郁朗氏(ブランド戦略室 ホープページ戦略グループ課長代理)は、「ファミリー層へデジタルカメラをいっそう訴求していきたいという意向があり、サイトを立ち上げることになった」と話す。

「ママさんぽ」の企画開始が2007年3月。同年4月下旬に刊行される「散歩の達人MOOK」と同時にサイトを公開しなければならない。構築作業にかけられる期間は2カ月もない。そのうえ、「サイトは毎週更新することが必要で、情報は頻繁に寄せられる。子育てについてのブログも設けよう」(岩間氏)ということになった。当然、サイトに盛り込む内容が増えるため、公開後に手作業でコンテンツの更新を続けていくことは現実的でなく、データベース登録やコンテンツ管理のしくみが必要になってきた。とはいえ、「『ママさんぽ』用にサーバーやデータベースをイチから構築するには(サイト公開までの)時間的に厳しい」状況。そうした時間的制約もあり、オールインワンのレンタルサーバーを探すことになった。そんな中、「PHPやデータベースなど、必要な要素がそろっている『ITPARK』を選んだ」という。選択したプランは最上位プランの「IT-04」(ディスク容量:80GB、月額使用料:11,760円/12カ月契約時)。サイトの性格上、写真データが大部分を占めるため、十分なディスク容量を確保できるプランを選択することにした。

結局、サイトの構築は1カ月半ほどで完了。「期間の長さ、費用とも、ほぼ当初の想定内に収まった」(岩間氏)。急ピッチの作業をこなせた要因について、実際にサーバー運用を担当する内田結城氏(同社コーポレートセンター IT開発サポート部 要素技術グループ主任)は、ITPARKの迅速なサポート体制を挙げる。「サイト構築後のサポートは基本的にはメールベースで行なっているが、問い合わせメールを送ると、その日のうちに電話で回答があり、たいへん助かっている」(内田氏)。

大企業の部門でも使われる「ITPARK」

オリンパスのような大企業であれば、わざわざ外部のレンタルサーバーを使わずに、自社のデータセンターを利用すれば済むとも思われる。しかし、「ママさんぽ」のように実験的な試みを行なうWebサイトを構築する場合は、他のサイトに影響を与えないように独立したサーバーを持つ必要があるという。今後のサイト展開例として、ユーザーが簡単に写真を投稿できる機能や、"ママさん同士のコミュニティの場"を提供する機能も考えられる。ただ、安定動作が求められるコーポレートサイトの運用サーバーでは、そうした確実な動作確認がとれていない機能を実装することはできない。そこで、ITPARKのような自由に使えるサーバー環境が求められたというわけだ。

現在は、IT-04をふたつ契約し、「ひとつをテスト用サーバー、もうひとつを本番用サーバーとして運用している。『ITPARK』ではテスト用サーバーのデータを簡単に本番用にコピーできるので、テストと公開がスムーズに行なえる」(内田氏)。なお、内田氏によると、構想を練っている機能を実現していくには、ITPARKで利用できるMySQLを最新バージョンにアップすることが望ましいという(8月末時点でバージョン4.0)。ITPARKではMySQLのバージョンアップを予定しており、それに合わせてまた新たな機能をユーザーに提供していく考えだ。

ITPARKは各携帯電話キャリア向けサイトの構築機能を備えているが、その点も「ママさんぽ」を運営するうえでITPARKを選択したポイントとなった。「いまは、誰もが携帯電話を使用しているので、携帯電話向けサイトの公開も考えている。出かけた先から手軽に写真を投稿できるようになるのもよい。『ITPARK』では、携帯電話向けサイトの構築もサポートしてくれるとのことなので活用していきたい」(岩間氏)。読者投稿サービスも視野に入れていくとなると、サーバー側にはそれなりのディスク容量が求められる。先にサイトの性格上、大容量のIT-04を選択したと説明したが、「デジカメの画像をアップロードするサービスを開始したとしても、80GB(IT-04)なら十分対応できると考えている」(岩間氏)。

信頼できるサーバー運営基盤

「ママさんぽ」には、オリンパス製デジタルカメラのユーザー層を拡大する狙いもある(オリンパスが運営するサイトであることはほとんどわからないが)。同社製品のユーザーは「わりと年齢層は高めで、ママ層が比較的少ない。『ママさんぽ』をうまく活用して、そのあたりの裾野を拡大していきたい」(岩間氏)。そのためにも、さまざまな試みを通した「ママさんぽ」の盛り上がりが欠かせない。岩間氏も、これまでのコーポレートサイトではできなかったような事を実現していく必要があると話す。「『ママさんぽ』は、コーポレートサイトとは別に、単体で動けるサイトを目指して手探りの状態で始めた。当社にはやや硬いイメージがあるので、『えっ、オリンパスがこんなことをやっていたんだ』と言われるようなサイトを作ってみたかった」。そうした試みの土台として、ITPARKのような自分たちで自由に試行錯誤できるサーバーが必要だったわけだ。

オリンパスにおける「ママさんぽ」の運用例は、サイト規模の大小を問わず、ITPARKが安定したサーバー運営基盤を提供できることを示すものといえる。本気で自社サイトの運営を考えている人にとって、そうした信頼性はレンタルサーバーを選択するうえで大きなポイントになるだろう。

レンタルサーバー『ITPARK』

アイ・ティー・テレコムが展開しているレンタルサーバー『ITPARK』。ドメインの無料取得やSEO対策の専門家によるサポートが特徴。SEO対策では、「"希望するキーワードでYahoo! JAPANの検索結果の上位20位以内に入ること」を保証している。プランは4種類を用意。現在、初期設定費用は無料、月額3,360円(プラン「IT-01」:ディスク容量20GB/メールアドレス数30)から利用できる。