進化を続けるNetBeans
Java統合開発環境NetBeansの次期バージョンであるNetBeans 6.9のベータ版が2010年4月22日(現地時間)にリリースされている。対抗するEclipseもメジャーバージョンアップを控えているが、ここ数年地味なバージョンアップが続くEclipseと比べるとNetBeansの進化には著しいものがある。
NetBean 6.9でもこれまでのバージョンアップ同様、さまざまな新機能が存在する。今回はベータ版をベースにNetBeans 6.9の主な新機能を紹介する。
OSGiに対応
NetBeans 6.9ではMavenを使用してOSGiバンドルの開発を行えるようになった。また、NetBeans RCPアプリケーションにOSGiバンドルを組み込めるようになった。NetBeansのモジュールシステムがOSGiで置き換えられるわけではなく、OSGiと共存する形になる。
実行環境のOSGiコンテナとしてはFelixがバンドルされているが、Equinoxも試験的にサポートされている。
CDIやSpring 3.0をサポート
Web関連の新機能としては、Contexts and Dependency Injection(CDI)やSpring Framework 3.0のサポートが挙げられる。
CDIはJava EEにおけるDI(Dependency Injection)の仕様で、サーブレットなどで@Injectなどのアノテーションを用いてDIを行うことができるというのものだ。
NetBeans 6.9ではCDI関係のファイルを作成するためのウィザードが用意されているほか、エディタ上で右クリック-[ナビゲート]-[注入可能に移動]でインジェクションされるクラスにジャンプすることができる。
このほか、JSPエディタでクラス名やカスタムタグを入力した際に、必要に応じて自動的にimportやtaglibディレクティブを挿入してくれる機能などが追加されている。細かい部分だがJSPのコーディングを行う際に役立つはずだ。
CSS関連の機能が大幅強化
NetBeans 6.9のWeb関連の機能で特に目立つのがCSS関連の新機能だ。
HTMLやJSPにおいてHTMLタグのid属性やclass属性でCSSに定義されたidやクラス名を補完できるようになった。さらにハイパーリンク機能によってCSSファイルの定義部分にジャンプすることも可能だ。
驚きなのはCSSのidやクラス名をリファクタリング機能で変更することができるという点だ。CSSファイルやHTML/JSPファイルで該当のクラス名を選択して右クリック-[リファクタリング]-[名前を変更]を選択するとリネーム用のダイアログが表示される。ここで変更すると関連するCSSファイルやHTMLファイルも自動的に修正される。
このほかにスタイルの利用個所を検索する機能や、HTMLタグのstyle属性に記述されたインラインスタイルを外部化する機能などが追加されている。いずれも実用的な機能といえるだろう。
その他の言語における新機能
NetBeansはJava以外にもC/C++、Ruby、PHPなどさまざまな言語での開発をサポートしている。
PHPではZend Framework、RubyではRuby on Rails 3.0がサポートされるなど、対応フレームワークが強化されているほか、C/C++についてはユニットテストのサポートが追加されている。
また、JavaベースのRIAプラットフォームであるJavaFX向けの開発支援機能では、以前本連載でも紹介したJavaFX Composer(GUIデザイナ)が標準搭載となっている。
まとめ
NetBeans 6.9では技術面ではOSGiへの対応が大きなトピックだが、実用面ではCSS関連の機能強化が大きい。確かにWebアプリケーション開発においてCSSは必須といってもよい技術ではあるものの、リファクタリング機能を含め、ここまでの機能をが提供されているのは驚きだ。Webアプリケーションだけでなく、HTMLモックなどを作成する際にも便利に活用することができるだろう。