IntelliJに続きPyCharmもOSS化
JetBrains社は老舗のJava IDE「IntelliJ」の開発元として有名だが、IntelliJをベースとしたIDEとしてPHP用の「PhpStorm」やRuby用の「RubyMine」、Web開発用の「WebStorm」、Objective-C用の「AppCode」など多様なIDEを提供している。その中のひとつであるPython用IDE「PyCharm」がOSS化され、Community Editionとして無償で利用できるようになった。今回はこのPyCharm Community Editionを紹介したい。
なお、IntelliJファミリーの中ではJava向けの基本的な機能のみ備えた「IntelliJ Community Edition」がすでにOSS化されており、PyCharm Community Editionはこれに続くIntelliJファミリーのOSS化第二弾ということになる。
PyCharm Community Editionのインストール
PyCharm Community Editionは、JetBrains社のWebサイトからインストーラをダウンロードでき、インストーラを実行するだけでインストールが可能だ。
ただし、Pythonの実行環境については別途必要になるため事前に導入しておく必要がある。PyCharmは、実行環境としてPython 2.x、3.x、Jython、IronPython、PyPyをサポートしている。
PyCharmの基本機能
PyCharmを起動すると、以下のような画面が表示される。まずは「Create New Project」で新しいプロジェクトを作成しよう。
初回はPython実行環境を登録する必要がある。
エディタでは強力な入力補完機能やリファクタリング機能、ナビゲーション機能などを利用できるほか、スクリプトの実行やデバッグももちろん可能だ。特に入力補完については、名前付きで引数を指定する場合の引数名の補完ができたり、docstringのコメントに記述された引数や戻り値の型情報を使用して補完候補を表示してくれる。
PyCharmはIntelliJ IDEAをベースとしているため、同IDEを使ったことのあるユーザであれば操作に戸惑うことはないだろう。標準でGitやMercurial、SubversionといったVCSをサポートしているのもIntelliJ IDEA Community Editionと同じだ。
図5 : VCSメニュー |
Community EditionとProfessional Editionの違い
無償のCommunity Editionと有償のProfessional Editionの大きな違いは、Community EditionがPythonのコーディング支援に特化しているのに対し、Professional EditionではDjangoやSQLAlchemy、web2pyといった各種フレームワークやGoogle App Engineに対応していることだ。
Professional Editionを利用可能なライセンスには、個人でのみ利用可能なパーソナルライセンス($99)と、企業での利用を想定したコマーシャルライセンス($199)のほかに、学生・教育者向けのアカデミーライセンス($29)、OSS開発者向けのオープンソースライセンス(無償)が用意されている。
また、パーソナルライセンスとコマーシャルライセンスについては、国内では株式会社サムライズムより購入が可能になっている。用途にあわせて検討してほしい。
まとめ
さすがにIntelliJで定評があるのことはあり、PyCharmは強力なIDEだ。VCSとの連携機能など基本的な部分もしっかりしている。ただし、前述の通り、Web開発にPythonを使用している場合はCommunity Editionでは機能の不足を感じるかもしれない。Professional Editionは試用期間も用意されているのでまずは試してみて、気に入ったらライセンスの購入を検討するといいだろう。