「タスクリストの一元化」はよく言われることですが、これはもはや無理のある理想だと思います。インターネット上でできることが激増した結果、少しでも面白いツールを「試して」みたりすると、そこで1つの「タスク」が発生し、そのタスクをすべて「一元化」するのは現実的ではないし、無駄も多くなります。

良い例がメールにスターマークを付けたり、「要返信」のラベルを付けたり「要返信」のフォルダに入れるといったやり方です。こうすることでメールツール上に「タスクリスト」が発生することになります。もちろん、「本当のタスクリスト」に「スターマークの付いたメール処理」という「メタタスク」を並べることができるのですが、これはすでに「一元化」の原則を、いささか狂わせてしまいます。

もちろん、ツールがメールだけならこれで問題ないと思いますが、RSSリーダーでも「スター」や「クリップ」を使っていたり、新しい「トラベル管理ツール」などで「行ってみたいところ」などをマークしていたりすると、それらも一種の「タスク」となってしまい、結局はあちこちに「タスクリスト」が増殖されてしまうのです。それらを「メタタスク」に書き入れると、毎日「行ってみたいところ」を意味もなく確認するなどということになりかねません。

さらに、アマゾンのほしい物リストなどに書籍リストを並べているなら、それらも「タスク」と見ることができます。「アマゾンのほしい物リストを整理する」などという「メタタスク」をタスクリストに書いておいても、それは気休めのようなもので、実際には「整理する」時間など、取れないはずです。少なくとも多忙なビジネスパーソンには、不可能でしょう。

アマゾンの「ほしい物リスト」

このように、今やweb2.0化の著しいインターネット上において私たちは、ちょっとツールを使っただけで新しい「タスク」が膨張するという事態に直面しています。情報はすぐタスクになり、情報管理は新たなタスク管理になってしまうのです。

最適なタイミングで情報を整理する

こうした問題に対処するために私が利用しているのは、ウェブブックマークにリマインダを組み合わせたツールです。そうしたものはちらほらと登場してきましたが、ここではとりあえずNETROCKETをあげておきます。

最近のウェブツールの大半がそうであるように、このツールも「β版」です。しかし、基本的な機能を使うだけなら、これといった問題はないようです。

使い方はそれほど難しくなく、ただ単に特定の日時がくると、「保存したブックマーク」をスケジューラのようにリマインドしてくれるというだけのものです。

具体的な利用法としてはたとえば、一カ月後にセミナーに行く予定があるとします。そのセミナーが開催される直前に、会場までの地図が載っているページをリマインドしてもらうようにセットできるのです。リマインド先はメールです。

全く同じようなことはRemember The Milk(RTM) を使って実行することもできるでしょう。先に挙げたアマゾンのほしい物リストを定期的に整理したいなら、毎週金曜日にそのことを、メールでリマインドしてもらって、そこにURLも付けておけばいいわけです。

つまり、見たいタイミングでしかブックマークしたURLを見ないようにし、しかし見たいタイミングでリマインドされるように工夫することで、情報とタスクリストを増殖させることを防げる、というわけです。

あるいは、捨てる

この程度のことをしても情報整理にはほど遠い、というのが普通でしょう。これだけでは、私にしてもそうです。

進めていくべきことは、インターネットの情報だからといって、「お気に入り」や「はてなブックマーク」など、たった1つの情報処理ツールにかき集めないことだと思います。

「情報の一元化」というのはよく言われますが、そうした方が情報整理を効率化できるかどうかは疑わしいところです。メールも情報ですし、新しいツールの紹介も情報ですが、それらをたとえば「受信トレイ」に一括で放り込むと、仕事によっては混乱してしまうでしょう。

むしろ、アクションを起こす必要があるタスクはタスク管理ツールで、メールはメールで、写真の整理は写真整理ツールにというように、施すべき処理や、とるべきアクションによって「入れ物」が分かれていた方が管理しやすいと思うのです。

そう考えるなら、タスクとして認識すべきサイトのページなどは、「はてなブックマーク」などとは分けておいた方が扱いやすくなるでしょう。

こうしたツールは、『少しでも「お気に入り」の膨張を防ぐ』という目的を、毎日の中で徐々に実現していくためのツールなのです。