2025年10月、Gmailに関してある報道されたことが、大きな話題となっています。それはGmailが「POP(Post Office Protocol)」と「Gmailify」のサポートを、2026年1月をもって終了すると明らかにされたことです。「Google Workspaceをビジネスで活用する」の過去回はこちらを参照。

なぜPOPとGmailifyを終了するのか?

POPとは、Eメールの主要なプロトコル(手順、規定)の1つで、メールサーバからメールをデバイスにダウンロードする仕組み。古くから存在するプロトコルで、現在も多くのメールサービスがサポートしているものでもあります。

そしてもう1つのGmailifyは、Gmail独自の機能。「Outlook」「Yahoo」など、Gmail以外の他の主要なメールサービスのアカウントで、スパムメール対策や演算子を用いた検索機能など、Gmailの主要な機能を利用可能にするものとなります。

これらはいずれも、Gmailをメールクライアントとして用い、グーグルのアカウント以外のメールを利用するためのもの。今回、グーグルはそれらのサポートを近いうちに終了すると打ち出したのですが、とりわけGmailを古くから利用している人の中には、こうした使い方をしていることも多いことから、大きな驚きがあった訳です。

  • Google Workspaceをビジネスで活用する 第122回

    Gmailの設定「他のアカウントのメールを確認」でメールアドレスを追加すると、アカウントによってPOPとGmailifyのいずれかが選べるのだが、2026年1月をもって両方のサポートが終了することが明らかにされている

なぜ、グーグルがPOPやGmailifyを終了させるに至ったのかといえば、いずれも古い仕組みであるため、利便性やセキュリティ、利用頻度などを考慮しての判断と考えられるでしょう。

ではPOPやGmailify以外の手段を用い、Gmailで外部のアカウントを用いて引き続きメールのやり取りをするにはどうすればいいのかといいますと、グーグルの説明では「IMAP(Internet Message Access Protocol)」を用いた手段が代替として推奨されています。

代替手段の「IMAP」とは

IMAPはPOPよりも新しいプロトコル。POPがメールをダウンロードする仕組みのため1台のデバイスでしかメールを管理できないのに対し、IMAPではメールサーバ上でメールを管理する仕組みなので、複数のデバイスからリアルタイムにメールを同期して確認できるなどのメリットがあります。

そうしたことから、Gmailも今後は外部のアカウントを用いる際には、POPやGmailifyに代わってIMAPを用いる形へと変更がなされるようです。ただ現時点で問題となりそうなのは、IMAPに対応しているのがスマートフォンやタブレット向けのGmailアプリのみだということです。

確かにスマートフォンやタブレット(Android、iOS/iPadOS)向けのGmailアプリでは、現状でもIMAPのメールアドレスを追加することが可能です。実際、Gmailのアプリを起動した後に右上のプロフィールのアイコンをタップし、「別のアカウントを追加」を選ぶと「アカウントの追加」という画面が現れます。

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    画像はiOS版のGmailアプリ。IMAP対応のメールアドレスを利用するには、プロフィールアイコン(1)をタップした後、メニューから「別のアカウントを追加」を選ぶ

続いて、主要メールサービスの他に「その他(IMAP)」という項目が用意されていることから、こちらからIMAPに対応メールサービスのメールアドレスを登録することで、GmailでもIMAPでの接続が可能になります。

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    「アカウントの追加」画面が現れたら、「その他(IMAP)」を選んでメールアドレスを登録することにより、GmailでIMAP対応のメールアドレスを利用できる

しかし、この方法はそもそもメールアカウント側がIMAPに対応していなければ利用できません。また対応しているのはスマートフォンやタブレット向けのGmailアプリだけ限られており、パソコンなどで利用できるWeb版のGmailでは利用できません。

ちなみにWeb版には現在、「アカウント」または「アカウントとインポート」で外部メール受信の設定をする「他のアカウントのメールを確認」というものが存在するのですが、グーグルの説明によるとPOPやGmailifyのサポート終了とともにこちらも利用できなくなる予定とされています。

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    Gmailの設定画面の「アカウント」または「アカウントとインポート」に「他のアカウントのメールを確認」という項目が存在するが、POP・Gmailifyのサポート終了とともに利用できなくなる予定だという

それだけに、パソコンでGmailを使って外部アカウントのメールアドレスを管理していたという人には、一連のサポート終了で非常に大きな影響が出る可能性があります。今後グーグルから何らかの代替策が提示される可能性もあるかもしれませんが、利用していたユーザーは今のうちから何らかの代替策を検討しておく必要がありそうです。