Google ChromeでGoogle Geminiを使う方法としてシンプルな拡張機能「Gemini Side Panel」を取り上げた。この拡張機能はサイドパネルでGoogle Geminiの使用が可能になるというもので、UI/UXがシンプルでGoogleアカウントがそのまま使用できるという特長がある。今回はこの拡張機能が対応していない期待される機能について説明しておく。
連載「Google Geminiの活用方法」のこれまでの回はこちらを参照。
シンプルな拡張機能「Gemini Side Panel」
Google ChromeでGoogle Geminiを使う方法としてシンプルな拡張機能「Gemini Side Panel」がある。
動きとしてはMicrosoft EdgeのCopilotパネルに近い。普段使いにはこれで十分という気もするが、実はこの拡張機能はシンプルすぎて使いにくいところもある。今回はその点を取り上げる。
Gemini Side Panelのシンプルな使用サンプル
Webブラウザで生成AIチャットを使うときによく使われている機能のひとつが閲覧しているWebページの概要を生成する機能だ。この使用例を取り上げる。まず、概要を生成したいWebページを開く。
この状態でGemini Side Panelのサイドパネルを表示する。
表示したパネルに表示されるGeminiのプロンプトに次のように指示を出す。
このページの概要を生成してください。
Gemini Side PanelのGoogle Geminiは次のように回答している。
このページの概要を生成するには、ページの内容を詳しく把握する必要があります。どのようなページなのか、どのような情報が書かれているのか、具体的に教えていただけますでしょうか?
例えば、以下のような情報があると、より正確な概要を生成できます。
- ページのタイトル:ページの主題を把握する上で最も重要な情報です
- ページのURL:ページの内容をより詳しく調べる際に役立ちます
- ページの主な目的:このページが読者に伝えたいことは何ですか?
- ページの対象読者:このページは誰に向けて書かれていますか?
- ページの構成:ページはどのような構成になっていますか? (見出し、段落、画像など)
- ページに含まれる主な情報: ページにはどのような情報が書かれていますか? (キーワード、数値、図表など)
これらの情報に基づいて、以下のような概要を生成することができます。
- 簡潔な概要:ページの最も重要な点を1文または数文でまとめたもの
- 詳細な概要:ページの内容をより詳細に説明したもの
- 特定の視点からの概要:特定の読者層や目的を考慮した概要
もしよろしければ、上記の情報をできるだけ詳しく教えてください。
あるいは、ページのテキスト全体をコピーして貼り付けていただくことも可能です。 その場合、私が文章を読み込み、内容を分析し、概要を生成します。
ご協力よろしくお願いいたします。
例:
- ページのタイトル:「AIの未来」
- ページの主な目的:人工知能の将来について、一般読者にわかりやすく解説する
- ページの主な情報:AIの歴史、現在のAI技術、将来のAIの発展、AIが社会に与える影響
生成される概要の例:
- 簡潔な概要:本ページでは、人工知能の歴史から最新の技術動向、そして未来の展望までをわかりやすく解説しています。AIがどのように社会を変えていくのか、その可能性と課題について考察します
- 詳細な概要:本ページでは、チューリングテストや深層学習など、人工知能に関する重要な概念を解説するとともに、AlphaGoや自動運転車といった具体的な事例を紹介しています。さらに、AIの倫理的な問題や、AIが人間の仕事に与える影響についても言及しています
上記はあくまで一例です。 ページの内容に合わせて、より適切な概要を生成します。
Geminiは長い回答を表示しているが、表示しているWebページの内容の要約はまったく生成していない。つまり、Gemini Side PanelはWeb版のGoogle Geminiをサイドパネルに表示するだけの機能であり、表示しているWebページとの連携は行っていない。Geminiを使うためにタブやウィンドウを移動するという手間が生じないというのが主な利点ということになり、それ以上ではないということになる。
Microsoft Edgeで同じ動きをさせてみる
生成AIチャット機能を取り込んでいるMicrosoft Edgeで同じ動きをさせてみよう。まず、概要を生成させたいWebページを表示する。
Microsoft Edgeの右上のCopilotボタンを押してCopilotパネルを表示し、そこに表示される「ページの概要を生成する」をクリックする。
Copilotは次のように回答している。
回答が英語なので、日本語で回答するように再度指示を出す。
Copilotは次のように回答している。
もちろんです!こちらがページの概要です:
- 目的:この研究は、マイクロカレント療法が急性膝痛のある人々の機能を向上させ、痛みを軽減できるかどうかを調べることを目的としています
- ·デザイン:52人の被験者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験です
- ·結果:マイクロカレント療法は4週間で痛みを大幅に軽減し、特に3週目までに顕著な効果が見られました。また、身体機能の改善傾向も示されました
- ·結論:マイクロカレント療法は、急性膝痛に対する薬物療法の代替または補完療法として有望である可能性があります
他に知りたいことがあれば教えてくださいね。
Copilotは対象のWebページの内容の要約を生成して回答している。Microsoft Edgeに組み込まれたCopilotはMicrosoft Edgeが表示しているWebページの内容に対して質問を行うことができる。これがユーザーが求めている動作だ。Gemini Side Panelでこの動作ができるとうれしいユーザーも多いと思うが、執筆時点では対応していない。
Gemini Side PanelでURLを指定して概要を生成させてみる
Web版のGoogle Gemini自体はURLを指定すればそのWebページの内容の概要を生成してくれる。同じことをGemini Side Panelに表示したGoogle Geminiに対して行ってみよう。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7944428/ の概要を生成してください。
Google Geminiは次のように回答している。
申し訳ありません。 ご提示いただいたウェブサイトにアクセスできません。 コンテンツにアクセスできないよくある理由は、サイトが有料だったり、ログインが必要だったり、機密情報だったりします。しかし、サイトにアクセスできない他の理由もあります。
Google Chromeで表示できているが、Google Geminiは該当のWebページについては概要を生成することができないと回答している。なぜ概要を生成できないのは本当の理由をユーザーが知る術はないのでなんとも言えないが、Google GeminiにはGoogle Chromeでは表示できるものの概要は生成できないとするWebページが存在している。
オフィシャルの機能として統合されているMicrosoft EdgeのCopilot機能と比べると、Google Chromeで使うGeminiは不便な面が否めない。しかし、GoogleがオフィシャルにChromeにGeminiのサイドパネルを追加するかあまり期待できない状態なので、しばらくは拡張機能を使って要望に応えていく必要がある。
ちょっとしたティップスだが、Google Geminiを使って概要が生成できないWebページがある場合には、Microsoft Edgeで表示させてCopilotで概要を生成させるという方法があることになる。Microsoft Edgeで表示させたWebページであれば概要の生成が可能だと思うので、Geminiでダメな時にはこの方法も試してもらえればと思う。