前回まではGoogle Geminiのみならず、他の生成AIチャットも使える多機能なGoogle Chrome拡張機能である「Sider」を取り上げた。生成AIチャットのサイドパネルとしては人気があるもののひとつであり、機能も豊富で、扱える生成AIサービスも多い。しかし、正規のアカウントは使えず、そしてユーザーによってはUI/UXが煩雑なものでもあった。そこで今回は、よりシンプルな拡張機能「Gemini Side Panel」を取り上げる。
連載「Google Geminiの活用方法」のこれまでの回はこちらを参照。
シンプルなGoogle Geminiのサイドパネルを
前回までに取り上げたGoogle Chromeの拡張機能「Sider」は複数の生成AIチャットサービスに対応した多機能な拡張機能だ。生成AIチャットのみならず、他の生成AI機能にも対応し、さらに複数の生成AIチャットサービスを組み合わせた動作を行うことができる。Google Gemimiはそうしたサービスのひとつとして選択できるようになっていた。
Siderは人気の高い拡張機能で有料版も提供されている。使える機能が多く人気なのもうなづけるだろう。しかしながら、煩雑なUI/UXと有料版へのプロモーションはユーザーによっては快く思わないところだ。
そこで今回はSiderとは真逆で、シンプルにGoogle Geminiのみに対応した拡張機能「Google Side Panel」を取り上げる。Google Side Panelは次のWebページからアクセスできる。
この拡張機能はGoogleアカウントをそのまま使うことができる。Web版のGoogle Geminiをそのままサイドパネルに展開することができ、しかもとてもシンプルだ。シンプルなUI/UXを好む場合にはこの拡張機能の方が気に入るかもしれない。
Gemini Side Panelのインストール
先ほどのWebページで「Chromeに追加」をクリックすると、次のスクリーンショットのようにインストールするかの確認ダイアログが表示される。
ダイアログでは次の内容を確認している。
次の権限にアクセス可能:
google.comの全サイト、googleusercontent.comの全サイト上にある自分のデータの読み取りと変更
任意のページのコンテンツをブロック
後ほどより詳しく説明するが、Google Chromeの拡張機能をインストールする際はこうしたダイアログに表示されるアクセス内容をよく確認しておこう。不信に思ったら使わない、それが無難な選択肢であることは覚えておいてほしい。
ここでは「拡張機能を追加」をクリックしてこの拡張機能をインストールする。
インストールが完了したらツールバーの拡張機能アイコンをクリックし、「Gemini Side Panel」のピン留めを有効化する。
ピン留めすると次のスクリーンショットのようにツールバーにGemini Side Panelのアイコンが表示されるようになる。
これで準備は完了だ。
Gemini Side PanelでGoogle Gemini
さっそくインストールしたGemini Side Panelを使ってみよう。
ツールバーのGemini Side Panelアイコンをクリックすると、次のスクリーンショットのようにGoogle GeminiのWeb版がサイドパネルに表示される。
ここで認識しておきたいのは、表示されているGoogle GeminiはGoogleの公式であるWeb版のGeminiだということである。Web版のGoogle Geminiを使っている場合には、すでにログインした状態のGoogle Geminiが表示されるはずだ。
Gemini Side Panelを試してみよう
どのように使えるか実際に試してみよう。例えば、プロンプトに次のような質問を入力する。
寝室の温度と湿度は適切な状態に保っているのですが、日中に暑い中にいた日の夜は、寝汗をかいて目が覚めることがあります。考えられる原因を教えてください。
Gemini Side PanelのGeminiは次のように回答している。
寝室環境は適切なのに寝汗で目が覚める…その原因を探りましょう!
寝室の環境が適切なのに、日中に暑いと寝汗で目が覚めてしまうのですね。これは多くの方が経験する悩みのひとつです。考えられる原因をいくつかご紹介します。
考えられる原因
- 自律神経の乱れ:日中の暑さやストレスなどで自律神経が乱れると、体温調節がうまくいかなくなり、寝汗をかきやすくなります
- ホルモンバランスの変化:女性の場合は、月経周期や更年期など、ホルモンバランスの変化が寝汗に影響することがあります
- 代謝の亢進:日中の活動量が多い日や、基礎代謝が高い方は、寝ている間も熱を多く発生させ、寝汗をかきやすくなることがあります
- 睡眠中の呼吸の変化:睡眠時無呼吸症候群など、睡眠中の呼吸が浅くなったり止まったりすることで、体が熱を持ちやすくなり、寝汗をかくことがあります
- 感染症や病気:結核やリンパ腫など、何らかの感染症や病気が隠れている場合もあります
対処法
生活習慣の改善:
- 規則正しい睡眠:毎日同じ時間に寝て起きるようにしましょう
- リラックス:就寝前に温かいお風呂に入ったり、アロマセラピーを取り入れたりしてリラックスしましょう
- 軽い運動:適度な運動は自律神経を整える効果があります
- 食事:寝る前の食事は控えめにして、消化の良いものを食べましょう
- カフェイン・アルコール:寝る前のカフェインやアルコール摂取は控えましょう
寝室環境の見直し:
- 寝具:通気性の良い寝具を選びましょう
- 室温・湿度:室温は25℃以下、湿度は50~60%が理想です
- 照明:寝室はできるだけ暗くし、遮光カーテンなどを活用しましょう
医療機関への相談:
- 上記の対処法を試しても改善されない場合は、一度医師に相談することをおすすめします
いつ病院へ?
- 寝汗が頻繁に続く場合
- 寝汗と一緒に発熱や体重減少がある場合
- 夜中に何度も目が覚めてしまう場合
- 日中の倦怠感が強い場合
これらの症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
まとめ
寝汗の原因は様々です。まずは生活習慣を見直して、それでも改善されない場合は、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
より詳しい情報を知りたい場合は、以下のキーワードで検索してみてください。
- 寝汗
- 自律神経
- 睡眠時無呼吸症候群
- ホルモンバランス
ご自身の症状に合った情報を集め、快適な睡眠を取り戻しましょう。
もし、他に気になることがあれば、お気軽にご質問ください。
まさに普段使っているWeb版のGoogle Geminiの動作だ。Web版のGoogle Geminiを開いて履歴を確認すると、上記質問とその回答を確認することができる。Gemini Side Panelは単純にWeb版のGoogle Geminiをサイドパネルに表示したものということだ。
Web版のGoogle Geminiが使えるGemini Side Panel
大手テックベンダーは生成AIサービスの開発に乗り出しているが、Googleのサービスを主に使っている場合にはGoogleの生成AIであるGoogle Geminiが使える方がなにかと都合が良い。その点、Gemini Side PanelはGoogle ChromeにサイドパネルからGoogle Geminiを使えるようにするものでありシンプルで良い。
これまで何度も取り上げてきたように、Google自身がChromeにGeminiサイドパネルを実装する可能性は今のところかなり低いと考えられるので、扱いやすい拡張機能を探しておくのはそれなりに意味のあることではないかと思う。
拡張機能のインストールは慎重に
Google Chromeは拡張機能を使うことでGoogleが提供していないさまざまな機能を実現することができる。拡張機能にもエコシステムが存在しており、人気の高い拡張機能は継続した開発が行われている。
しかしながら、拡張機能のインストールには注意が必要だ。GoogleはChromeウェブストアにマルウエアが混入しないようにする取り組みを続けているが、サイバーセキュリティ脅威アクターはさまざまな巧妙な手口を発見してストアにマルウエアを混入される取り組みを続けている。
従来はコメント数やダウンロード数などがマルウエアかそうでないかのひとつの指針として利用できるとされてきたが、最近ではそれも疑わしい事態が出てきている。脅威アクターもこうしたアドバイスについてはよく理解しているので、ダウンロード数やコメントがまともに見えるものを乗っ取るなどしてマルウエアへの差し替えを行うなど、巧妙な方法を使っている。
セキュリティに完璧は期待できない。拡張機能は安易にインストールすることなく、ストア上の評価のみならずインターネット検索や生成AI検索、要求する権限などを確認して信頼しても大丈夫なものであるかを判断するようにしてもらえればと思う。