Google Appsの概要を知っていても、サービスの詳細がよくわからず、導入をためらっている人もいるだろう。本連載では、Google Apps Premier Editionの正式販売代理店であるベイテックシステムズ 代表取締役社長の原口豊氏が、基礎から応用までGoogle Appsに関するさまざまな疑問に答えていく。第2回となる今回のテーマは「Googleドキュメントを中心としたサービス」だ。

原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年ベイテックシステムズを設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始、GoogleAppsの導入サポート実績はこれまで250社以上。「サテライト・オフィス」ブランドで多数のテンプレートを無償提供するなど、GoogleAppsの普及に尽力。GoogleEnterprise Day 2009ではパートナーアワードを受賞した。

Q21 GoogleドキュメントはWordやExcelの代わりになりますか?

完全互換ではないのでファイルの内容によってはレイアウトが崩れることもありますが、Microsoft Officeの各種ファイルをアップロードしたり、逆にGoogleドキュメントからエクスポートしたりすることが可能です。Microsoft OfficeはインストールしたクライアントPCでしか使えませんが、Googleドキュメントはブラウザ経由でどこからでもアクセスできるというのが最大のメリットです。また、PCの紛失や故障によってデータが消える心配がないほか、共有や配布が簡単に行えるのも魅力といえます。

Q22 ドキュメントの制限を教えてください

1文書当たりの最大サイズは500KBで、埋め込み画像は1個につき2MBまでという制限があります。文書とプレゼンテーションは合わせて5,000個まで、画像は5,000個まで保存可能です。
また、1月21日からの機能追加によってGoogleドキュメントへアップロードできるファイル形式に制限がなくなり、1ファイル当たりの最大サイズも250MBへと拡大されました。これにより、圧縮ファイルや音楽ファイルなどをGoogleドキュメントにアップロードすることが可能です。ただし、ドキュメント/スプレッドシート/プレゼンテーションをGoogleドキュメント上で表示・編集できるのは、従来からある1文書当たりの最大サイズまでとなっています。「文書、スプレッドシート、プレゼンテーションをGoogleドキュメントの形式に変換する。」という項目のチェックを外せば250MBまでのWordファイルなどをアップロード可能ですが、あくまでも表示・編集ではなくオンラインストレージのような使い方となります。
なお、ドキュメントの変換対象となるファイル形式は「HTML/プレーンテキスト(.txt)/リッチテキスト(.rtf)/Microsoft Word/Open Office(.odt)」です。アップロード時にHTML形式へ変換されますが、変換後のサイズが500KBを超えるとアップロードできないことがあるので注意してください。

Q23 スプレッドシートの制限を教えてください

スプレッドシートは行数の制限はありませんが、最大で256列/20万セル/100シートという制限が設けられており、いずれか1つでも上限に達するとそれ以上の入力ができなくなります。また、数式を使ったセルは最大2万個となっており、「GoogleFinance」数式と「GoogleLookup」数式は最大1,000個、「Import」数式は最大50個まで使用可能です。
なお、スプレッドシートは最大1,000個まで作成できますが、共有しているスプレッドシートはその数に含まれません。同時に開けるスプレッドシートは最大11個。Googleドキュメントの形式に変換できるファイル形式は「xls/xlsx/csv/ods/txt/tsv/tsb」で、最大容量は約1MBです。こちらもドキュメントと同様に「文書、スプレッドシート、プレゼンテーションをGoogleドキュメントの形式に変換する。」という項目のチェックを外せば、オンラインストレージのような使い方ができます。

Q24 プレゼンテーションの制限を教えてください

プレゼンテーションには1文書当たり最大サイズ10MBもしくは200スライドまでという制限があります。また、Web上にあるファイルのURLを入力する方法では最大2MB、ファイルをメール送信する方法では最大500KBのファイルをアップロードできます。文書とプレゼンテーションは合わせて5,000個まで、画像は5000個まで保存可能です。Googleドキュメントの形式に変換できるファイル形式は「ppt/pps」で、こちらもドキュメントと同様に「文書、スプレッドシート、プレゼンテーションをGoogleドキュメントの形式に変換する。」という項目のチェックを外せば、オンラインストレージのような使い方ができます。

Q25 Googleドキュメントのファイルをローカルに保存することはできますか?

エクスポート機能を使えば、Googleドキュメントのファイルをローカルフォルダに保存できます。対応するファイル形式は、ドキュメントが「Microsoft Word/Open Document/プレーンテキスト(.txt)/リッチテキスト(.rtf)/PDF」、スプレッドシートが「Microsoft Excel/Open Office Spreadsheet/PDF」、プレゼンテーションが「Microsoft Powerpoint/プレーンテキスト(.txt)/PDF」です。

Q26 Googleドキュメント内のファイルを一括ダウンロードできますか?

複数の文書にチェックを入れて「その他の操作」から「エクスポート」を選べば、最大2GBまでならローカルフォルダに一括保存することができます。

Q27 スプレットシートでExcelのマクロは動作しますか?

マクロに使う「VBA(Visual Basic for Applications)」はマイクロソフト製のプログラミング言語のため、そのままGoogle Appsで利用することはできません。ただしGoogle Apps Scriptを使えば同様の作業が行えます。

Q28 Excelのようにセルの結合はできますか?

横方向のセルに対する結合は可能ですが、現在では縦方向の結合ができない仕様となっています。

Q29 Googleドキュメントの「フォーム」はどのような用途で使うのですか?

メインとなるのはアンケートでの利用です。短いテキストを入力するための「Text」、長文テキストが入力できる「Paragraph text」、ラジオボタンで単一選択を行う「Multiple choice」、複数選択が可能な「Checkboxes」、プルダウンメニュー方式の「Choose from a list」、最大11段階で評価や感想を集められる「Scale」、最大5段階で複数アイテムの評価ができる「Grid」の7種類が用意されており、簡単にアンケートを作成できます。また、入力内容が自動でスプレッドシートに反映されたり、ログイン名を入れられたりするのも便利です。

Q30 スプレットシートとExcelで関数の書き方は同じですか?

基本的には同じ表記方法で記載して大丈夫です。ただし、Excelで使えるけれどスプレッドシートにはない関数、逆に「ImportData」などスプレッドシート特有の関数もありますので、特殊な数式を用いる場合は注意してください。

Q31 Excelファイルをインポートすると、数式は自動で反映されますか?

数式もその結果も問題なく反映されます。ただし、数式の書き方の説明で触れたように、Excelとスプレッドシートではどちらかにない関数も存在しますので注意が必要です。

Q32 複数シートがあるExcelファイルもそのまま使えますか?

複数シートもスプレッドシート上で再現できます。ただし、Excel上で作成したグラフに関してはスプレッドシートに表示することができないので、グラフのみ新たに作成する必要があります。

Q33 Googleドキュメントのファイルを印刷することは可能ですか?

Googleドキュメントで「印刷」を選ぶと、PDFもしくはHTMLファイルとして出力されます。PDFはPDFビュアーを、HTMLはブラウザを経由して印刷が可能です。

Q34 印刷時にレイアウトは崩れませんか?

Microsoft Officeのデータをアップロードした場合は別ですが、大半は元データに極めて近い状態で印刷ができます。

Q35 ドキュメントにスプレットシートを貼り付けられますか?

残念ながらドキュメントの中にスプレットシートを貼り付けることはできません。Googleサイトにスプレッドシートの内容を表示することは可能なので、見せ方を変えてみるのもひとつの方法です。

Q36 Wordファイルの装飾や強調表現はそのまま反映されますか?

太字・斜体・下線・文字色・フォントサイズ・中央揃えといった基本的な部分は反映できます。ただし、ルビやテキストボックスの外枠など一部の表現は無効となりますので、装飾の多いファイルをアップロードする際は注意してください。

Q37 Googleドキュメントでは複数人で同時編集ができるって本当ですか?

ドキュメントは最大10人、スプレッドシートは最大50人、プレゼンテーションは最大10人での同時編集が可能です。同一文書の共有は、いずれも共同編集者・閲覧者を問わず200人までとなっています。なお、共同作業中は画面に共同編集者の名前が表示されます。

Q38 ユーザー別にアクセス権を制御できますか?

Googleドキュメントはもちろん、Googleカレンダーなどでも自由に共同編集者と閲覧者の設定が行えます。また、部署やプロジェクトといったグループ単位でアクセス制限を加えることも可能です。

Q39 アクセス権を設定したら、相手にメールで知らせる必要がありますか?

Googleドキュメントでは共有設定と同時に、入力されたメールアドレスへ招待状を送る機能が用意されています。もちろん、招待状を送信せずに追加することも可能です。

Q40 もっとGoogle Appsの使い方を深く勉強したいのですが

当社は、Google Appsを有効活用するためにオンラインセミナー形式の勉強会サテライトApps大学を実施しています。当社から50アカウント以上導入されている、もしくは、50アカウント以下でも全社導入されている企業の方は無料で利用いただけますので、ぜひご参加ください。