本連載ではこれまで安否確認、営業管理データベース、プロジェクト管理データベース用のサイトを作成してきた。しかし今回はサイト作成がメインではなく、サイトを構成する一要素として社内動画の活用方法を紹介しよう。

文字ベースでは難しい表現を動画配信で伝える

今まで紹介してきた社内ポータルはグラフや表などが含まれるにしても、やはり基本は文字ベース。例えば経営者から全社員に対する叱咤激励、遠隔地における社員教育、機材の操作解説など、中にはどうしても文字だけで伝わりにくい内容も出てくるだろう。第3回でYouTubeの動画を埋め込む方法も紹介したが、社内向けの動画を一般の動画共有サービスへアップロードするわけにもいかない。こうした場合に便利なのが、有料版の「Google Apps Premier Edition」でのみ利用できる動画配信サービス「Googleビデオ」である。

Googleビデオは2005年1月よりサービス提供が開始されたが、Googleが2006年10月にYouTubeを買収したこともあり、2009年1月には一般ユーザーからの動画アップロード機能を廃止している。ただし、Google Apps Premier Editionのユーザーであれば、現在でもWMVやMPEGなど1ファイルあたり300MBまでの各種動画をアップロードすることが可能。これにより、企業やグループ内で動画を使った効果的な情報共有が可能になるわけだ。

動画のアップロード方法はいたって簡単。Google Appsの管理コントロールパネルからGoogleビデオにアクセスし、タイトルや説明の入力とファイル指定を済ませたら「動画をアップロード」をクリックするだけだ。注意点としては、動画のアップロードは時間がかかるため、完了までウィンドウを閉じないようにすることくらいだろうか。

まずはGoogle Appsの管理コントロールパネルを開き「動画」の下にあるURLをクリック

これが「Googleビデオ」の基本画面だ。動画をアップロードするには「アップロード」タブをクリックする

動画のタイトルや説明を入力し、ファイルを指定したら「動画をアップロード」をクリックする。右側にある共有オプションでは共同編集者や閲覧者の指定も行える

動画のアップロードが開始されると、このような画面が表示される。画面内の注意書きにある通りアップロード完了までには時間がかかるので、ウィンドウを閉じないようにしよう

自分がアップロードした動画を表示する「マイ動画」タブ。アップロード中の動画に関しては、タイトルの右側に「処理中」という文字が表示される

「処理中」の文字が消えたらアップロードは完了だ。サムネイルかタイトルをクリックして再生確認を行おう

これがGoogleビデオの再生画面だ。右側にある「編集」からはタイトルと説明の変更および動画の削除が、「共有」では閲覧者や共同編集者の招待が可能。「クローズド キャプション」はいわゆる字幕のことで、専用ソフトで作成したSUBやSRTなどの字幕ファイルをアップロードすることができる

Googleサイトへの埋め込み方法は2種類

続いては、Googleサイトで作成したページに動画を埋め込んでみよう。手順には、アップロードした動画をガジェットで埋め込む方法と、第3回でYouTubeの動画を埋め込んだように、動画ページのURLを指定する方法の2種類がある。

両社の違いとして、ガジェットではフルスクリーン表示ができない代わりに動画枠のサイズ指定が可能。一方のURL指定では、サイズ指定ができない代わりに、フルスクリーン表示が可能という点が挙げられる。ただし、ガジェットで動画枠のサイズを小さくした場合は全体が縮小表示されるのではなく枠だけが小さくなり、映像や操作パネルが見切れてしまうので要注意。縮小時する際はプロパティの「必要に応じてガジェットにスクロールバーを表示する」にチェックを入れておいた方が無難だ。

まずガジェットとして挿入する場合は、Googleビデオの動画再生ページで「この動画を埋め込む」の右側にある「表示」をクリックし、「Gadget:」欄のURLをコピーしておく

次にGoogleサイトの編集ページで「挿入」から「その他のガジェット」を選択する

「URLを指定してガジェットを追加」をクリック

先ほどコピーしたURLを貼り付けて「追加」をクリックする

表示サイズ指定とタイトル入力を行い「OK」をクリックする。縮小時は映像や操作パネルが見切れてしまうため「必要に応じてガジェットにスクロールバーを表示する」にチェックを入れておこう

ガジェットではなく動画のURL指定で埋め込みを行う場合は、編集ページから「挿入」→「動画」→「Google Video」の順に選択する

Googleビデオの動画再生ページのURLをコピー&ペーストし、タイトル入力後に「保存」をクリックすれば完了だ

左側がガジェット、右側がURL指定でGoogleサイトのページに埋め込んだ動画。URL指定の右下にはフルスクリーン表示のボタンが見える。両者とも作業の手間はほとんど変わらないので、表示スペースや画質などに応じて使い分けると良いだろう

社内ポータルにおける動画の活用例。今回は経営者からのコメントとして利用したが、さまざまな分野に応用が可能だ

このように、社内ポータルサイトはGoogleビデオの動画配信機能を併用と、従来の文字や図版だけでは難しかった内容を簡単に表現することができる。その使い道は、経営者によるコメントから遠隔地の社員教育までアイデア次第でいくらでも広がるので、ぜひ積極的に活用していただきたい。

ベイテックシステムズのビジネステンプレートでは、災害時のトップメッセージでの利用や、GoogleSiteを利用した社内マニュアルテンプレートで利用している。