バーコード誕生の流れは大まかに理解したのだが、大学院生が発明した(と言っても過言ではない)という部分が気になって仕方がない。バーナード・シルバー氏とノーマン・ジョセフ・ウッドランド氏が大学在籍中は、シルバー氏が1924年生まれ、ウッドランド氏は1921年生まれだから、当時20代半ばである。

ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるドレクセル大学。ペンシルバニア大学、テンプル大学なども周囲に点在する学術都市に構える。画面はGoogle Earthで見た様子。歴史ある校舎の様子も垣間見ることができる。

彼らに”世界を変える”バーコードをなぜ生み出せたのだろうか。

思うに、彼らがちょうど6年間に及ぶ第二次世界大戦が終わったあとのころ。彼らは技術を中心とした新たな世界を思い描けていたのではないだろうか。

また、彼らが在籍していたドレクセル大学は当時「ドレクセル工科大学」と呼ばれており、大学が掲げる目標「科学・産業・芸術」も大きな影響を与えたのではないかと推察する。



ドレクセル大学の公式サイト。1983年に全米ではじめて、生徒達にマイクロコンピューターへのアクセスを解放したことも記載してある。

バーコードの普及は"産学連携"の先駆けであることも見逃せない。日本では1942年に実施された千葉工業大学が最初と言われているが、米国では産学連携が活発になったのは1980年から。
もっともそれ以前から、米国の大学は社会から実学を求められるという背景があり、スーパーマーケットチェーンが必要としたからこそ、バーコードが誕生したのだ。社会が必要としたからこそ普及したのだ。