前回の造形部分の硬化を待ちます。だいたい2時間位はかかります。パテの硬化後、首のパーツが入る部位など、余分なところを削ります。

体の各部を組み合わせるため、不要部分を削る

修正した接合部に合わせ、パーツを接着します。瞬間接着剤で仮止め後、造形パテでパーツを繋げます。

頭部と胴体を接着

どうしてこのように丁寧に接着するのか。それは、この後スカルピーを盛る箇所があり、瞬間接着剤だけでは加熱で接着が脆くなったり、接着部分が膨張してしまうからです。 造形パテがある程度硬化したら、スカルピーの出番です。

ふたたびスカルピーも使用。各素材の違いがよくわかる

この時点で造形パテが完全に硬化していなくても問題はありません。スカルピーを加熱するときに一緒に加熱されて固まるからです。「それなら、軟らかいうちにパテを加熱したらもっと早く硬化するのでは」と考えがちですが、それは間違いです。スカルピーが硬化する温度では、まだ化学反応を始めたばかりの柔らかいパテは、急激に反応が進みガスを発生させ膨張や変形して、脆くなってしまうのです。白熱ランプやオーブンで、7~80℃位の加熱なら大丈夫なようです。

スカルピーの造形後オーブンに入れますが、頭部キャストの部分をアルミホイルで厳重に守ります。キャストは加熱すると化学反応が進むのと、「焦げ」で変色するので、それを出来るだけ防ぐためです。焼き上がり、なんとなく完成ラインが見えてきました。次回、このフィギュアに、さらにディテールを加えていきます。

キャストで複製された保護を保護しつつ加熱。右画像のように仕上がった

安藤賢司
バンダイ『S.I.C』シリーズなど、多数のハイエンドな玩具の原型を担当。「原型師がマスプロダクツ製品のパッケージに名前を刻まれる」という偉業を成し遂げ、「玩具原型」の認識を「作品」のレベルまで高めた。『S.I.C』シリーズ最新作の原型を常に製作中。アニメ『TIGER & BUNNY』のデザインにも参加