今回も美少女フィギュアの造形を進めていきます。これまで、ある程度フィギュアの原型の造形を進めてきましたが、複製するための作業に入っていきます。

今回のフィギュアでは、手や顔など、肌の露出している箇所は、完成時はキャストに置き換えていく予定です。そのために、複製しやすいように原型を分割します。まずは、顔、胸元より上を本体から切り離します。手は最初から別のパーツとして作っているので、問題なしです。

鉛筆でアタリを入れる

先ず、アタリにそって肩から胸元へノコギリを入れます。両肩を切ったら、胸元のラインです。ここはノコギリを入れ難いので、リューターに丸ノコのようなビットを付けた物で切断していきます。

ラインにそって複製しやすいように分割していく

今さらですが、分割作業しながらフィギュアの顔を見ていると、なんだか当初のイメージと違うな、と感じてきました。何というか、顔の面の捉え方が気になります。

こうして改めて造形を確認するのも大切な作業

これは、造形をスタートした当時と今では、自分の中でキャラクターの解釈が微妙に変わってしまったのが原因です。コンセプトに関わる部分なので、下手に変更してしまうと、当初の「目的や方向性」も変わってしまう場合があります。私が造形を進める時は、元の「絶対的なイメージ」より、「その瞬間のイメージ」を重視するので、ここは思い切って顔を作りなおしてしまうことにします。ちなみに、このリテイクで5時間掛かりました。

5時間かけて、顔の造形をやりなおす

どの部分が変わったか、画像でわかるでしょうか。新たに造形した頭部を焼き固めて、耐水ペーパー等で仕上げます。

作りなおした頭部に表面処理を加えていく

次回は、腕の部分の作業を進めていきたいと思います。

安藤賢司
バンダイ『S.I.C』シリーズなど、多数のハイエンドな玩具の原型を担当。「原型師がマスプロダクツ製品のパッケージに名前を刻まれる」という偉業を成し遂げ、「玩具原型」の認識を「作品」のレベルまで高めた。『S.I.C』シリーズ最新作の原型を常に製作中。アニメ『TIGER & BUNNY』のデザインにも参加

美少女フィギュア完成目前。次回も神レベルのテクが披露される!