2025年4月14日、LINEヤフーは「LINE」アプリに生成AIを活用した「LINE AI」と「LINE AIトークサジェスト」機能を搭載しました。LINE AIトークサジェストはその名の通り、送信する内容を提案してくれる機能で、とても便利で楽しいのが特徴です。→過去の「柳谷智宣のAIトレンドインサイト」の回はこちらを参照。

もちろん無料なので、気軽に使えます。ChatGPTでさえ、まだ使っていない人が多い中、月間ユーザー数9700万人(2024年9月時点)というLINEに搭載されたインパクトは大きいと言えるでしょう。今回は、注目のLINE AIとLINE AIトークサジェスト機能のレビューを紹介します。

「LINE AIトークサジェスト」の使い方

LINE AIトークサジェストは直近にやりとりしたメッセージを理解し、メッセージやスタンプの提案をしたり、口調の変換ができます。使い方は簡単なので、まずは画面を見てみましょう。

LINE AIは専用ページが用意されているのでいいのですが、LINE AIトークサジェストはチャット内で利用するため、設定の変更が必要です。まずは、「設定」を開き、「LINEラボ」をタップ。「LINE AIトークサジェスト」のスイッチをオンにします。

  • 柳谷智宣のAIトレンドインサイト 第9回

    「設定」を開き、「LINEラボ」をタップ

  • 柳谷智宣のAIトレンドインサイト 第9回

    「LINE AIトークサジェスト」のスイッチをオンにします

これで準備完了です。LINEのトークルームで、メッセージを入力するフォームの横に「AI」アイコンが追加されているので、タップします。すると、直近のメッセージの分析が始まり、数秒待つと返信候補がいくつか提案されます。今回は、食事に誘われたシチュエーションですが、了解する内容と、都合が悪いのでリスケをお願いするメッセージが生成されました。

もう少し短く、もしくは長く返信したいとか、口調に違和感があるなら、株のメニューから再生成させることもできます。LINEの返信など、脊髄反社で書けることも多いですが、ちょっと文章を考えるのが面倒なことも多々あります。

そんな時に、選択肢から選ぶだけでいいというのはとても手軽です。そこまで高度な機能に見えないかもしれませんが、さすがLINEだと感じました。

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    入力フォームの「AI」アイコンをタップすると返信が提案されます

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    下にスクロールすると長さや口調を変更できます

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    飛行機アイコンをタップするとその文章が投稿されます

ちなみに、LINE AIトークサジェストやLINE AIは、OpenAIなどのAPIを使用しているとのことです。具体的なAIモデル名や他に採用している生成AIがあるかどうかなどの詳細は不明ですが、GPTをベースにしていることは確かなようです。

「スタンプを提案」タブでは、文脈に合ったスタンプを提案してくれます。自分でスタンプを選ぶ場合、適切なキーワードが思い浮かばないこともあるのでありがたいところ。検索しない人は、いつも同じスタンプばかり使うことになりがちですが、AIの提案は保有するスタンプを縦断検索してくれるので、バリエーション豊かな選択肢から選べます。

別のニュアンスで返信したい、というのであればトークと同様、下にスクロールするとタグオプションが出てきます。

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    「スタンプを提案」タブを開くと、文脈に合ったスタンプの候補が表示されます

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    下にスクロールするとタグオプションで、スタンプを変更できる

返信の提案画面でも「親しみやすく」と「丁寧に」の口調を切り替えられますが、「口調を変更」タブではもっとがらっと変えることができます。

ユニークなのが「口調を変換」です。「返信を提案」タブでも、「親しみやすく」や「丁寧に」をたっぷすれば口調を変えられますが、こちらではもっとガラッとジョークっぽい感じに変換できます。

ねこ語や侍言葉など、ちょっと実用的でなさすぎて、逆に友人に送る分には使えるかもしれません。LINEの公式が用意している機能なのですから、堂々と利用できます。他には、敬語やタメ口も用意されています。適当に書いた内容を相手に合わせてリライトしてくれるのは便利ですね。

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    「口調を変換」タブでは、入力された文章の口調を修正できます

ただ、生成した文章のクオリティはやや低いです。コストの問題か、小さな生成AIモデルを使っているようです。GPT-4oはもちろんGPT-4o miniでも、もう少しましな結果になります。ここは今後チューニングされていくと思いますし、最近、激安で高性能なGPT-4.1というモデルが登場したので期待したいところです。

とは言え、現時点でも面白いし便利なので多用してしまいそうですが、LINE AIトークサジェストは、1人あたり1日300回までという利用制限があります。加えて、毎月2000回までという制限もあるので、覚えておきましょう。

LINE AIの使い方

LINE AIはホーム画面の「サービス」からアクセスできます。「AIテキスト」では、チャットUIで生成AIを利用できます。こちらは、LINE AIトークサジェストよりも賢いAIモデルを利用しているようで、実用的です。試しに、飛行機が飛ぶ理由を尋ねたところ、きちんと解説してくれました。

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    「ホーム」画面からサービス→「LINE AI」をタップします

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    チャット画面が開くので、プロンプトを入力します

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    テキストで質問する王道の使い方ができます

マルチモーダルにも対応しています。例えば、写真をアップロードして、被写体に関する質問ができます。試しに黒柴犬の写真をアップしてみました。うちの黒柴は前面が真っ白と言う変わった柄をしているのですが、それでも黒柴とジャッジしてくれました。

また、画像生成することも可能です。画面上部のメニューから「AIキャンバス」に切り替え、欲しい画像の内容を入力すると生成されます。ただし、こちらでは画像をアップロードすることはできません。あくまでテキストtoイメージの機能となります。

生成したテキストや画像は「シェア」をタップすれば、LINEに送信することもできます。

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    写真をアップロードして、内容について質問できます

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    画像を生成してもらうこともできます

LINEが搭載した生成AIは直感的な対話形式の質問応答や会話のサポート、画像の生成など、日常のさまざまなシーンで利便性と楽しさを実感できる機能です。

普段使っているコミュニケーションアプリにも、革新的な生成AI技術を活用することで、ユーザーのコミュニケーション体験がよりスマートに、かつクリエイティブに変革されます。

お互いは一文字も入力せず、LINE AIトークサジェストの生成結果だけがやりとりされる可能性もありますが、それもそれで未来の形だと思います。

まだ登場したてなので世間の反応はまだ見えませんが、幅広い年齢層のユーザーが、どのように受け入れて活用するのか、注目したいところです。