2025年11月5日~11月18日に発表されたAI関連の注目すべきトピックを紹介する。OpenAIはGPT-5.1、xAIはGrok 4.1、そしてGoogleはGemini 3と、それぞれ主力大規模言語モデルの最新バージョンをリリースした。加えて、Googleは第7世代TPU「Ironwood」の一般提供開始や新AIエディター「Google Antigravity」を発表。OpenAIはChatGPTにグループチャット機能を追加した。

それぞれ詳しく見ていこう。

Google、第7世代TPU「Ironwood」の一般提供を開始へ

11月7日、Googleは第7世代TPU(Tensor Processing Unit)である「Ironwood」の一般提供を今後数週間に開始すると発表した。Ironwoodは、GoogleのカスタムAIアクセラレーターの最新世代であり、大規模なモデルトレーニングや複雑な強化学習から、大容量で低レイテンシーのAI推論やモデルの構築まで、要求の厳しいワークロード専用に設計されている。第6世代の「Trillium」と比較して、トレーニングと推論の両ワークロードでチップ当たり4倍以上のパフォーマンス向上を実現したという。

Googleはまた、Armベースの「Axion」シリーズのプロセッサを搭載した新しい仮想マシンインスタンス「N4A」も発表した。N4Aは、x86系VMと比べて最大2倍の価格性能比を実現しており、Webサービス、データ分析、コンテナワークロードなど幅広い用途に向けたコスト効率の高い選択肢を提供する。現在はプレビュー版が利用できる。さらに、ベアメタル型のインスタンスである「C4A metal」も近日中にプレビュー提供を開始する予定だという。

OpenAI、より自然な会話が可能にする「GPT-5.1」をリリース

11月12日、OpenAIは大規模言語モデル「GPT」の最新版となる「GPT-5.1」をリリースした。GPT-5.1は、従来バージョンのGPT-5シリーズをベースとして、より自然で会話的な応答を可能にするような改良が施されている(関連記事:OpenAI、「GPT-5.1」のAPI提供開始 - 適応的推論と運用性を強化、価格据え置き | TECH+(テックプラス))。

これまでどおり「Instant」と「Thinking」という2つのバージョンで提供され、「Instant」が日常的な対話に、「Thinking」がより高度な推論・複雑なタスク処理にそれぞれ特化しており、指示されたタスクに応じて適したモデルを自動的に選択する機能も備える。

GPT-5との大きな違いは、GPT-5.1 Instantでは「温かみがあり、知的で、指示に従いやすい」応答を生成するように進化した点。この改良によって、遊び心のあるやりとりも自然に行えるようになっている。また、難しい質問に対して応答前に思考を開始する「適応的推論機能」が加わっており、応答速度と正確性の両立が図られている。GPT-5.1 Thinkingは、タスクの複雑さに応じて思考時間を自動で調整することで、簡単な問いには素早い応答を、難しい問いには丁寧な分析を行うように設計されている。

ユーザーが応答のトーンやスタイルを選択できるカスタマイズ機能も拡充され、「プロフェッショナル」、「率直」、「個性的」などのプリセットが新たに加わった。応答の温かみ、絵文字使用、読みやすさなどの細かい設定も実験的に提供されている。

  • より自然な会話を実現する「GPT 5.1」

    より自然な会話を実現する「GPT 5.1」

ChatGPTでグループチャット機能が利用可能に

11月13日、OpenAIはAIチャットサービス「ChatGPT」の新機能「ChatGPT Group Chat」を発表した。これは、複数のユーザーが同時にAIと対話できる機能で、友人、家族、同僚などを共有スペースに集めて、一緒に意思決定をしたりアイデアを練ったりすることができる。

グループチャットは通常のChatGPTとの会話とほぼ同じように機能するものの、他のユーザーが参加できる点が大きく異なる。応答は最新の「GPT-5.1 Auto」(InstantとThinkingを自動的に選択するモード)によって提供され、応答するユーザーの加入しているプランに基づいて最適なモデルが選択されるという。特徴的な機能としては、参加者全員のメッセージをAIが把握し、適切なタイミングで発言を控えたり、必要に応じて介入したりできる文脈認識能力が挙げられる。AIからの返信を希望する場合には「@ChatGPT」とメンションすればよい。

グループ設定によって、グループ名を付けられるほか、メンバーの追加・削除や、通知のミュートなどの管理ができる。また、グループチャットごとに、トーンや個性などを伝えてChatGPTの応答方法をカスタマイズすることも可能となっている。

ChatGPT Group Chatは現在、限定パイロット版として日本、ニュージーランド、韓国、台湾のユーザー向けに公開されており、Freeを含む各プランで利用できる。

  • 複数ユーザーでチャットを共有できる「ChatGPT Group Chat」

    複数ユーザーでチャットを共有できる「ChatGPT Group Chat」

xAI、感情知能や創作性能が向上した「Grok 4.1」をリリース

11月17日、xAIは最新の大規模言語モデル「Grok 4.1」を発表した。xAIによれば、Grok 4.1は感情知能(Emotional Intelligence)に優れており、人間の意図を細かく読み取ってより親しみやすくかつ理解ある応答を行うよう設計されているという。共感力や対人スキルなどを測定可能なメンチマーク「EQ-Bench3」では、推論モードと非推論モードともにリーダーボードで上位2モデルを獲得。これは人間の微妙な感情を理解して対応する能力が優れていることを示している。

純粋な推論に加え、創作タスクの性能を評価する「Creative Writing v3」ベンチマークでも、推論モードと非推論モードでそれぞれリーダーボードの2位、3位を獲得しており、Grok 4.1が創造性にも優れていることが確認されている。さらに、ハルシネーション(誤情報)の低減に重点が置かれているのも大きな強化点。前バージョンと比べると、ハルシネーションの発生率は12.09%から4.22%に減少しており、一般的な事実検証タスクでも9.89%から2.97%へ改善した。

xAIでは、11月始めからGrok 4.1の予備ビルドのサイレントロールアウトを開始し、その適用範囲を徐々に拡大してきたという。現在、grok.com、X、モバイルアプリ(iOS、Android)でGrok 4.1を利用できる。

  • Grok 4.1の「EQ-Bench3」ベンチマーク結果の比較 出典:Google

    Grok 4.1の「EQ-Bench3」ベンチマーク結果の比較 出典:Google

Google、これまでで最も高性能なモデルとして「Gemini 3」発表

11月19日、Googleは大規模言語モデル「Gemini」の最新版となる「Gemini 3」、およびGemini 3シリーズの最初の製品となる「Gemini 3 Pro」を発表した(関連記事:Google、「Gemini 3」発表 - 推論・エージェント性能が飛躍的に向上、新開発環境も公開 | TECH+(テックプラス))。GoogleではGemini 3 Proを「これまでで最も高性能なモデル」と表現しており、各種ベンチマークで前バージョンであるGemini 2.5を大きく上回る評価を獲得している。

特に、マルチモーダル理解と推論能力は大幅に向上した。Gemini 3はテキスト、画像、動画、音声、コードといった多彩な入力をシームレスに処理することが可能で、100万トークンという長大なコンテキストも扱えるという。回答については、「聞きたいことだけでなく、聞くべきことも伝える」という指向を備えており、短いプロンプトからでもユーザーの意図や背景を深く読み取る設計がなされているとのこと。

さらに、エージェント機能、バイブコーディング(vibe coding)機能、ツール展開など、開発者や企業向けの機能も大幅に強化した。バイブコーディング機能では、1つのプロンプトから複雑なアプリを自動で生成するの能力を持ち、開発者が自然言語で記述したアイデアを即座にアプリやWebサイトとして実現できる。また、新しいエージェント開発プラットフォーム「Google Antigravity」と連携して、AIエージェントがターミナルやブラウザ、エディターに直接アクセスして処理を実行する能力も備えている。

Gemini 3 Proは現在、GeminiのWebアプリやスマートフォンアプリ、Google AI Studio、Vertex AIで利用できる、また、米国のユーザーはGoogle検索のAIモードでもGemini 3を利用できるようになっている。

  • Gemini 3と主要LLMの各種ベンチマーク結果

    Gemini 3と主要LLMの各種ベンチマーク結果

Google製のAI搭載エディター「Google Antigravity」登場

11月18日、Googleは「Gemini 3」の発表に合わせて、新しいAI搭載型エディター「Google Antigravity」を公開した。Antigravityは「Visual Studio Code」のオープンソース板をベースに開発されており、AIに自然言語で指示することで、ソースコードの作成や修正、デバッグなどの開発作業を実施できる。

主な特徴としては、AIエージェントがタスクを実行してアーティファクト(成果物)を生成する段階で、タスクリスト、実装計画、実際の作業手順、スクリーンショットやブラウザ録画など、ユーザーが理解しやすい形でプロセスを可視化できるよう設計されている点が挙げられる。これにより、ユーザーはエージェントがどのように作業しているかを追跡・検証しやすくなり、信頼性を高められる。

Antigravityは現在、パブリックプレビュー版がWindows、macOS、Linux向けにそれぞれ公開されており、無償で利用できる。AIモデルとしては最新の「Gemini 3 Pro」のほか、「Claude Sonnet 4.5」や「GPT-OSS 120B」も選べるようになっている。