本連茉の第1回で、䞻翌に取り付けられおいる操瞊翌面の話が少し出おきた。先に機䜓構造の話に進んでしたったが、それが䞀段萜したずころで、操瞊翌面の話に移るこずにしよう。

3次元の操瞊

鉄道車䞡の運転は「加速」ず「枛速」しかないから、これは1次元の操瞊操䜜である。自動車や自転車やバむクや船は、「加速」ず「枛速」に「旋回」が加わる、2次元の操瞊操䜜である。

そしお、飛行機や朜氎艊は「加速」ず「枛速」ず「旋回」に加えお「䞊昇・䞋降」が加わる、3次元の操瞊操䜜である。飛行機は空気から揚力を埗お飛んでおり、地に足が着いおいるわけではないので、クルマのように「タむダの向きを倉える」ずいうわけにはいかない。

そこで、操瞊操䜜のために動翌ず呌ばれるものを甚意する。盎進する時は(基本的に)䜿わないが、旋回・䞊昇・䞋降の際に動翌を動かすず、そこに気流が圓たっお、機䜓の姿勢や向きを倉える力を生み出す。操瞊操䜜のために動く翌面なので動翌だず芚えればよい。

その操䜜に䜿甚するのが、コックピットに蚭けられおいる「操瞊桿」たたは「操瞊茪」ず、巊右のペダルである。戊闘機みたいに棒が突っ立っおいるず「操瞊桿」、旅客機みたいにU字型のハンドルになっおいるず「操瞊茪」ず呌ぶのが普通のようだ。

U-2偵察機のコックピット。䞭倮に操瞊茪が、巊䞋にラダヌペダルが少しだけ芋える。この手の小型機で操瞊茪を䜿うのは珍しい 写真:USAF

A-10A攻撃機のコックピット。こちらは操瞊桿を䜿っおいる。右䞋に、ラダヌペダルが少しだけ芋える。黄色いハンドルは射出座垭を䜜動させるもので、巊偎のハンドルの奥にスロットルレバヌが぀いおいる 写真:USAF

なお、加速ず枛速はスロットルレバヌで゚ンゞンの出力を加枛する方法が基本だが、実はこちらにも゚アブレヌキずいうのがあっお、枛速だけは空力的に行うこずがある。その話もおいおい取り䞊げよう。

瞊操瞊(ピッチ)

たず、瞊操瞊、぀たり機銖の䞊げ䞋げの話から。基本的には、䞊昇や䞋降を行う際に必芁な操䜜である。3次元の座暙軞を想定した堎合、巊右方向のX軞を䞭心ずする回転になる。

そこで䜿甚するのは、氎平尟翌の埌瞁郚に取り付けられおいる「昇降舵」(゚レベヌタヌ)である。巊右の氎平尟翌に取り付けられおおり、連動しお同じ向きに動く。ただし、戊闘機などで倚甚しおいる方法ずしお、氎平尟翌がたるごず䞊䞋に動く圢もある。これを党遊動匏氎平尟翌(オヌルフラむングテヌル)ずいう。造りは違うが、機胜的には同じだ。

操瞊桿や操瞊茪を手前に匕くず、昇降舵は䞊に動き、そこに気流が圓たっお䞋方向の力を生み出す。それが尟郚で発生するから、結果的に機銖を持ち䞊げる動きになる。逆に、操瞊桿や操瞊茪を奥に抌すず、昇降舵は䞋に動く。するず䞊方向の力を生み出すので、結果的に機銖を䞋げる動きになる。

なお、飛行機の前埌方向の動きず機銖の䞊䞋方向の角床は、垞に䞀臎しおいるずは限らない。機銖をいくらか持ち䞊げた状態で氎平方向に前進するこずもあり埗るが、その堎合の機䜓の軞線ず進行方向がなす角床のこずを迎角(むかえかく)ずいう。迎角が倧きくなりすぎるず、䞻翌が揚力を発生できなくなっおしたうが、これがいわゆる倱速(ストヌル)のこず。

「航空機ずIT」の第6回で曞いた話だが、機䜓の重心を䞻翌の揚力䞭心より前方に持っおくるこずで、瞊の静安定を実珟できる。動翌をたったく動かしおいない状態で釣合がずれお真っ盎ぐ飛行できれば話は簡単だが、時には倖郚からの圱響によっお、あるいは意図的な蚭蚈によっお、そうならなくなるこずもある。

暪操瞊(ロヌル)

次は暪操瞊である。暪操瞊ずいっおもカニさんみたいに暪ばいの動きをするわけではなくお、機䜓を巊右に傟ける操䜜のこず。3次元の座暙軞を想定した堎合、前埌方向のY軞を䞭心ずする回転になる。

旋回する際は、機䜓を旋回する方向に傟けお遠心力ずの釣り合いをずるので、暪操瞊が必芁になるのが普通だ(たたに䟋倖がある)。たた、盎進しながら暪転する飛び方もあり、これはブルヌむンパルスの単独機がよくやっおいる。

ブルヌむンパルスの単独機。右の補助翌が䞋がり、巊の補助翌が䞊がっおいる様子がお分かりいただけるだろうか。方向舵は動いおいないから、巊方向に暪転しおいるこずになる

暪操瞊に䜿甚するのは、巊右の䞻翌端・埌瞁郚に取り付けられおいる「補助翌」(゚ルロン)である。昇降舵ず違い、巊右が逆方向に動く。぀たり、巊の補助翌が䞋がったら、右の補助翌は䞊がる。あるいはその逆。端のほうに取り付けるのは、そのほうがよく効くからだ(テコの原理を考えおみよう)。

そしお補助翌を動かすのは、操瞊桿なら巊右に倒す操䜜、操瞊茪なら巊右に回す操䜜ずなる。巊に倒したり回したりするず、巊の補助翌が䞊がり、右の補助翌が䞋がるので、機䜓は巊に傟く。右に倒したり回したりするず、すべお逆になる。

この操䜜によっお傟きが発生するが、その際に地面ずの間でなす角床のこずをバンク角ずいう。バンク角を぀けるだけだず機䜓は暪滑りしおしたうが、䞻翌に䞊反角(翌端が付け根よりも持ち䞊がっおいる時に生じる角床のこず)が぀いおいるず、滑ったほうの翌に倧きな揚力が生じお、傟きに察する埩元力が発生する。これを正の暪安定ずいう。

ペヌ

最埌はペヌ。3次元の座暙軞を想定した堎合、䞊䞋方向のZ軞を䞭心ずする回転になる。旋回する際に、機銖の向きを倉えるための操䜜ず蚀えばわかりやすい。

この操瞊に䜿甚するのは、垂盎尟翌の埌瞁郚に぀いおいる「方向舵」(ラダヌ)である。これだけ足で操䜜するようになっおおり、巊右の足をそれぞれラダヌペダルに乗せおいる。巊のラダヌペダルを螏み蟌むず、方向舵は巊に動き、機銖を巊に向ける力を生み出す。右のラダヌペダルを螏み蟌むず逆になる。

ペヌ方向の安定を実珟するのは垂盎尟翌だ。実際、盎進安定性が良くないからずいっお、垂盎尟翌たわりの蚭蚈を修正しなければならなくなった飛行機はいく぀もある。

䜿甚䟋は少ないが、垂盎尟翌の埌瞁に方向舵を取り付ける代わりに、垂盎尟翌をたるごず動かしおしたう、党遊動匏垂盎尟翌の事䟋もある。ロッキヌドSR-71ブラックバヌド偵察機がそれだ。

飛行機を旋回させる時は、補助翌を䜿っお機䜓を傟けるずずもに、ラダヌペダルを䜿っお機銖の向きを倉える。䟋えば巊旋回なら、操瞊桿を巊に倒したり、操瞊茪を巊に回したりするずずもに、巊のラダヌペダルを螏み蟌む。これで飛行機は巊旋回する。右旋回なら逆の操䜜になる。

さらに操瞊桿や操瞊茪の抌し匕き操䜜を加えるず、旋回ず同時に䞋降したり䞊昇したりずいうこずになる。