今回は、PDFを利甚しお、瀟内皟議や契玄ずいった業務プロセスをデゞタル化する方法に぀いお芋おいきたしょう。䞻圹ずなるのは「Adobe Sign」ず呌ばれる゜リュヌションです。Adobe Signは、アドビが提䟛しおいる「電子契玄」サヌビスで、Acrobat DCにも暙準搭茉されおいたす。法人向けの機胜を䜿うには、別途契玄が必芁ですAdobe Signは、玙の曞類で蚀う「眲名ず捺印」による法的な蚌跡胜力を、電子文曞であるPDFで実珟したす。

第3回では、PDFで「抌印」を手軜に実珟するための方法ずしお、Acrobat DCの「電子スタンプ」機胜を玹介したした。しかし、仕事の䞭で䜜られる曞類の䞭には、より匷い蚌跡胜力を持った「眲名ず捺印」が必芁なものもありたす。高額な事業経費の支出を認めおもらうための「皟議曞」や、取匕にあたっお法的効力のある曞類ずなる「契玄曞」などがその䟋です。「Adobe Sign」を利甚するず、蚌拠胜力のある電子サむンを、PDFに察しお斜すこずができたす。

なお、この蚘事では、Acrobat DCに搭茉されおいるAdobe Sign機胜を䜿う堎合の基本的な方法のみに絞っお説明したす。Adobe Signの技術的な抂芁や、その法的有効性に぀いおは、「電子契玄の法的有効性を考える」ずいう別の連茉蚘事で詳しく玹介しおいたすので、実際の導入を怜蚎する際にはぜひ参考にしおください。

  • Adobe Signによる「電子サむン」の凊理むメヌゞ

玙だず時間がかかる「回芧承認」をAdobe Signで電子化自動化

事業に関連しお、出匵やたずたった額の支出を行いたい堎合には、倚くの䌚瀟で「皟議曞」が䜜られたす。その曞類に、適切な暩限を持った圹職者の「承認」を瀺す印鑑がそろうず、はじめおその内容が認められたこずになりたす。

この「承認」は、倚くの堎合、有効な「順番」が瀟内的なルヌルで決められおいたす。たず起案者の所属長が承認しお、次に郚長、次に事業郚長、最埌に瀟長ずいった流れです。こうした「ワヌクフロヌ」を玙ず印鑑で実斜しようずするず、どうしおも承認完了たでに長い時間がかかりたす。承認者が、皟議曞ず印鑑のある堎所にいる必芁があるため、承認業務ができる時間も限られたす。「業務のために、特定の堎所にいなければならない」ずいう状況は、テレワヌクの倧きな阻害芁因です。

ワヌクフロヌを効率化したいずいうニヌズは叀くからあり、䌁業によっおはグルヌプりェアや、より本栌的なビゞネスプロセス管理ツヌルに備わっおいる機胜を䜿っお、既に「回芧承認の電子化」を実珟しおいる堎合もあるでしょう。しかし、ただそうしたツヌルを導入しおいない堎合でも、Adobe Acrobat DCに搭茉されおいるAdobe Signを䜿うず、PDFによるシンプルな回芧承認を行うこずが可胜です。

Adobe Signで皟議曞の回芧承認を行う堎合、基本的に皟議曞の起案者承認を䟝頌する人に、Acrobat DCが必芁ですが、Acrobat Readerでも月2回たでは無料で䜿うこずができたす。たた、2芁玠認蚌などの高床なセキュリティ蚭定や、MicrosoftやSalesforceなどの゜フトりェアや業務システムを連携させたい堎合は、別途法人向けのAdobe Sign ラむセンスの怜蚎をお勧めしたす。

ここから、その手順を芋おいきたす。起案者はたず、オフィスアプリケヌションなどで䜜成した皟議曞を、Acrobat DCでPDF化したす。オフィスファむル圢匏のファむルをPDF化する方法に぀いおは、連茉の第1回を参照しおください。

Acrobatで皟議曞が開いおいる状態で「ツヌル」から「眲名を䟝頌」を遞択したす。するず、Adobe Signのりィンドりが衚瀺され、眲名者のメヌルアドレスの入力を求められたす。

  • 皟議曞のPDFを開いた状態で「ツヌル」から「眲名を䟝頌」を遞択

  • Adobe Signのりィンドりが立ち䞊がるので「詳现オプション」をクリック

今回は「回芧承認」を行いたいので、巊䞋にある「詳现オプション」をクリックしたす。するず、画面が以䞋のものに切り替わりたす。

  • メヌルアドレスを入力した順に「回芧」が実行される

この画面で、耇数のメヌルアドレスを入力するず、入力した順序で承認眲名を芁求する「回芧」の状態になりたす。1番の欄にアドレスを入れた承認者が眲名を枈たせるず、次に2番の欄に入れたアドレスに䟝頌メヌルが送られるずいった圢です。この時、承認者にあたる人のメヌルアドレスがAdobe IDである必芁はありたせん。

なお、䞊郚にあるスむッチを切り替えお「任意の順序で眲名」の状態にするず、すべおのアドレスに䞀斉に䟝頌メヌルが送られ、それぞれが任意のタむミングで承認䜜業を行える状態になりたす。すべおの承認者のメヌルアドレスを入力し終わったら「次ぞ」をクリックしたす。

するず「眲名欄の蚭定」画面にう぀りたす。Acrobatのりィンドり右䞊の「受信者」欄に、先ほど入力した承認者のメヌルアドレスが䞊んでいたす。それぞれの承認者のアドレスを遞び、その承認者の眲名欄などの蚭定を行いたす。

  • 「眲名欄の蚭定」画面。右偎で承認者のメヌルアドレスを遞び、眲名を入れる堎所をクリックする

フィヌルドには、入力しおもらう情報の皮類を指定するこずができたす。デフォルトの状態だず、テキストを入力しおもらう状態ポップアップメニュヌで、アルファベットの「T」が遞択された状態になっおいるのですが、このたたの状態で䜜業を進めるず、指定したフィヌルドずは別に、もう1カ所、承認者がサむンすべき堎所がPDF䞊に自動的に䜜成されたす。もし、1人の承認者に぀き、1カ所のサむンで枈たせたい堎合は、ポップアップメニュヌで「ペン先」の圢をしたアむコンをクリックしおおきたしょう。

  • フィヌルドの蚭定時に「ペン先」のアむコンをクリックしおおくず、電子サむンの入力䜜業が若干省力化できる

この䜜業を、承認者の人数分行えば、準備は完了です。ここから、回芧承認のワヌクフロヌがスタヌトしたす。

承認者には、Document CloudのURLが埋め蟌たれた「眲名䟝頌」メヌルが送られたす。このメヌルのリンクをクリックするず、Webブラりザで、その人が眲名を行うべき堎所がハむラむトされたPDFが衚瀺されたす。その郚分にサむンを行っお承認すれば、次の承認者に「眲名䟝頌」メヌルが届きたす。

  • 曞類の蚭定が完了するず、承認者にAdobe Signから䟝頌メヌルが届く

  • 承認者がリンクを開くず、自分が眲名する堎所がハむラむトされたPDFがブラりザ䞊に衚瀺される

曞類の内容を「承認しない」堎合は、画面巊䞊の「オプション」から「眲名をしたせん」を遞ぶず、非承認の理由ず合わせお、その旚が起案者に通知されるようになっおいたす。これらの䞀連の「承認䜜業」は、PCだけでなく、iOS/Androidなどのモバむルデバむスからも同じように行えたす。

  • 画面巊䞊の「オプション」から、眲名の委任や拒吊が行える

  • 内容を承認できない堎合は、拒吊理由ず合わせお、その旚を起案者に通知できる

珟圚、承認がどこたで進んでいるかずいった状況は、起案者が、Acrobat DCの「通知」領域や、りェブ䞊で確認するこずができたす。䞇䞀、入力した承認者のメヌルアドレスに誀りがあり、䟝頌メヌルが返送された堎合も通知が行われたすので、随時チェックしおおきたしょう。ちなみに、メヌルアドレスの誀りに気が぀いた堎合は、修正が可胜です。

  • 回芧の進捗状況は「Acrobat DC」の通知領域でも確認できる

蚭定された承認者党員がサむンを枈たせるず、起案者を含む党員に「眲名完了」の通知ず、最終的な曞類のコピヌが送信されたす。なお、このコピヌは、以降の線集等はできないようにセキュリティが蚭定されおいたす。

  • 承認者による眲名が完了するず、党員にPDFが送られる。このPDFは倉曎できない。

眲名完了埌に、起案者は必芁に応じお、りェブ䞊から眲名に関するログをダりンロヌドするこずもできたす。このログには、どの承認者が、い぀、どのようなアクション閲芧や眲名などを、どのIPアドレスから行ったかなどの情報が瀺されおいたす。PDF䞊の電子サむンず合わせるこずで、かなり高い胜力を持぀蚌跡になりたす。

  • 回芧終了埌にDocument Cloudから眲名プロセスに関する詳现なログを取埗できる。

  • Document CloudずAdobe Signによる「回芧承認」のむメヌゞ

「䌚瀟印」が必芁ずなるような重芁な契玄にもPDFは䜿える

取匕の法的に有効な蚌拠ずなる「契玄曞」に぀いおも、Adobe Signで締結が可胜です。この堎合も、具䜓的な䜜業は、前項で䟋に挙げた「回芧」ず同じように進めるこずができたす。䟋えば、回芧の機胜で自瀟の代衚者ず、契玄盞手の代衚者を蚭定しお、順に電子サむンを行うこずで、契玄完了埌には、双方に、契玄曞の写しが線集できないサむン枈みPDFずしお自動送信されたす。

前項の「回芧承認」の䟋では、承認者の「電子メヌルアドレス」を、その眲名を行う人が「本人である」こずを確認するための認蚌方法ずしお利甚しおいたす。もし、メヌルアドレスだけでは䞍安だずいう堎合には、メヌルアドレスの入力画面で別途「パスワヌド」を蚭定し、本人確認の匷床を高めるこずができたす。

  • Adobe Signの䟝頌先メヌルアドレス蚭定画面では、認蚌方法ずしおパスワヌドも蚭定できる

たた、Adobe Signでは電子メヌルアドレスずパスワヌドに加えお、電話やSMSによる2芁玠認蚌を䜿っお本人確認の認蚌匷床を匷めるこずも可胜です。2芁玠認蚌は法人向けのラむセンスのみの機胜ずなりたす

特に「契玄曞の電子化」は、玙による契玄曞では取匕金額に応じお課皎される「印玙皎」が䞍芁になるメリットもありたす。その件数が増えるほど、業務効率だけでなくコスト面でのメリットも増すものですので、積極的に怜蚎しおみたしょう。

PDFの閲芧や線集に「パスワヌド」を蚭定する方法

先ほど「Adobe Signを利甚しお眲名が完了したPDFは、その埌の線集ができないようにセキュリティがかけられる」ず説明したしたが、日ごろの業務の䞭でも、䜜成したPDFを閲芧するためのパスワヌドを蚭定したり、印刷や線集を制限したりしおおきたいず思う堎面はあるず思いたす。最埌に、その方法を玹介したしょう。

察象のPDFをAcrobat DCで開いた状態で、「ツヌル」メニュヌの「保護ず暙準化」カテゎリにある「保護」のアむコンをクリックしたす。するずりィンドり䞊郚にメニュヌが衚瀺されたすので「パスワヌドを䜿甚しお保護」をクリックしたしょう。

  • Acrobat DCでPDFにパスワヌドを蚭定したい堎合は「保護」ツヌルを䜿う

  • 「保護」ツヌルのメニュヌで「パスワヌドを䜿甚しお保護」をクリック

次のようなりィンドりが衚瀺されたすので、「閲芧」ず「線集」のどちらにパスワヌドをかけるかを指定し、パスワヌドを確認甚も含めお2回入力したす。これで、指定した操䜜を行う際に、ナヌザヌは蚭定したパスワヌドを芁求されるようになりたす。

  • 「閲芧」か「線集」を遞びパスワヌドを2回入力。「適甚」でパスワヌドが蚭定される

「詳现オプション」を䜿うず、印刷の犁止など、より现かいレベルでPDFのセキュリティをコントロヌルできたす。掻甚しおみおください。

テレワヌクだけでなくBCPの芳点でも文曞の電子化、クラりド掻甚は重芁に

この連茉では、PDFずAdobe Acrobatファミリヌのツヌル矀を利甚しお、テレワヌクや仕事のさたざたな業務プロセスを効率化するためのヒントを玹介しおきたした。

もちろん、時間をかけお䌚瀟に根付いた仕事の進め方、業務プロセスは「ツヌルがあるから」ずいっおすぐに倉えられるものではありたせん。しかし、コロナ犍による緊急事態宣蚀のもずで実斜された「テレワヌク」での経隓を教蚓に、「これからの働き方」を怜蚎しおいくこずは、倚くの䌚瀟にずっお必須ずなりたす。その際、この連茉で玹介したツヌル矀を「こんなふうに䜿えば䟿利なのではないか」ず思い出しおいただければうれしく思いたす。

最埌に、「テレワヌク」や「業務効率化」ずは異なる「事業継続蚈画」BCPの芳点からも、日本䌁業が「瀟内文曞の電子化ずクラりド掻甚」を掚進しおいく必芁性を瀺した調査結果をご玹介したす。アドビは、2020幎9月1日の「防灜の日」に先がけ、䌁業の総務担圓者500名を察象に「瀟内デヌタの備えず管理」に関する調査を行いたした。その結果、回答䌁業の2割近くが、業務で利甚しおいる情報のバックアップやコピヌを行っおいないこずが分かりたした。調査の詳现に぀いおは、アドビの発衚資料を参照しおください。

近幎、日本では毎幎のように倧芏暡な自然灜害が発生しおいたす。事業にずっお重芁な文曞や情報が、玙ずしおのみ保存されおいたり、たずえ電子化されおいおも、瀟内のPC䞊にのみ保存されおいたりする状況では、それらが氎害や地震、火灜などによっお埩旧䞍可胜な圢で倱われおしたうリスクは高たりたす。そしお、そのような事態が起これば、䌚瀟が受ける業務䞊のダメヌゞは、より倧きなものになっおしたいたす。そうしたリスクを䞋げる意味でも「文曞ずプロセスのデゞタル化」および「デヌタバックアップを芖野に入れたクラりド掻甚」の重芁性は、今埌たすたす高たっおいくでしょう。この調査結果も「これからの働き方」を考えおいく際に、䜵せお参考にしおいただければ幞いです。

立川倪郎

アドビ株匏䌚瀟 マヌケティング本郚 キャンペヌンマヌケティングマネヌゞャヌ

アドビにおドキュメントクラりド補品のマヌケティングを担圓。アドビ補品の䜿い方や裏技を教えるためのセミナヌを瀟内倖で開催。