Windows 7へのマイグレーションで企業が得られるメリットは?
Kaseyaのパートナーであるキヤノンマーケティングジャパンが、2012年に入ってから毎月開催しているのが「Windows7 移行支援サービス ご紹介セミナー」だ。希望者は無料で参加できるセミナーとなっている。次回は7月20日に開催されるが、キヤノンマーケティングジャパンのWebから申し込みができる。
セミナーでは、単純にWindows 7への乗り換えを実行するための技術的なヒントだけでなく、「なぜWindowsのマイグレーションを行わなければならないのか」、「マイグレーションすると企業にはどのような価値があるのか」、「マイグレーションすることで将来的にどういったメリットが得られるのか」といった基本的な部分から解説される。
6月20日に開催されたセミナーでも、冒頭ではなぜWindowsのマイグレーションを急がなければならないのかという、基本的なことから紹介された。
「Windows XPの延長サポートが2014年4月8日に終了することは知られていますが、Microsoft Office 2003のライフタイムも同じです。サポートが終わるということは、セキュリティ更新プログラムの提供がなくなるということです。企業は真剣にマイグレーションを考えなければならない時期に来ています」と指摘したのは、キヤノンマーケティングジャパン ITプロダクト推進本部 ITプロダクト企画部 情報通信ビジネス企画課の植木稔雄氏だ。
植木氏はWindows 7の導入効果として、Active Directoryと組み合わせることで実現できる管理者が指定したアプリケーションのみを実行可能にするグループポリシーの設定や、BitLockerを活用した暗号化等セキュリティ強化も紹介。さらに、Forefrontと組み合わせてVPN不要で社内リソースにアクセスする手法や、Windows Server 2008 R2を利用して遠隔地のファイルサーバからもキャッシュを使った高速アクセスを可能とする方法を利用して、テレワークやモバイルワークの可能性が広がること点を説明した。
「BitLockerを活用することで管理者の負荷は減りますし、XPとの互換モードを利用すればWindows Vista以降に対応していない業務アプリケーションを活用することもできます」と語る植木氏は、企業は一刻も早くマイグレーションに着手すべきだと指摘した。
移行期間は1年では間に合わない!
サポート終了は再来年なので、「そんなに慌てる必要はない」と考える企業もあるだろう。植木氏はそんな考えに警鐘を鳴らす。
「サポート終了まで2年近くあるという考え方は間違いです。マイグレーションにあたって、既存サーバがそのまま利用できないためシステム改編が必要だったり、アプリケーションのバージョンアップが必要になることもあります。細かなインタフェースが変更されているため、場合によってはユーザートレーニングも必要です。単純なマイグレーション作業の時間だけでなく、そうした周辺事情も考えると1年では足りません」と植木氏は語る。
Windows 7へのマイグレーションを実行するにあたって、最初に行うべきは現状の環境調査だ。既存基幹システムとの親和性やハードウェアスペックの確認、周辺機器の対応状況、移行に伴うデータ移行容量などを確認しなければならない。
「Windows 7の動くマシンを購入し、ダウングレード権を行使している場合も安心できません。Windows 7の初期段階で出荷されたマシンでは、現在のビジネスにスムーズに対応できない場合も多く、メモリの増設など一部手を入れなければならないこともよくあります。また、Windows XPからは単純なアップグレードができず、データを外部にバックアップした上でWindows 7のクリーンインストールを行わなければならないのもポイントです」と植木氏。
新たにWindows 7のPCを購入する場合は、データバックアップの作業は不要になるが、一時的とはいえ移行時にはマシンを接続するHUBのポート数やマシンに割り振るIPアドレス数が既存環境の倍必要になってしまう。電源の確保も難しい場合もあるだろう。手作業で移行するとなれば、専門業者に任せるにしてもかなりの時間がかかり、仮に自社で社員自身が作業をするならば作業マニュアルの作成等の事前準備が必要になる。そして、移行作業中はPCが使えないため、本来のビジネスが止まってしまうのも問題だ。
「Windowsのマイグレーションは、かなりのコストと時間、手間のかかるものです。そこでお勧めしたいのが、作業の自動化です。自動化できれば作業工数の削減によって移行作業費用を削減できるほか、夜間等を利用することで業務時間内のムダをなくせます。また、自動化によって作業者のスキルによるトラブルも削減できるはずです」と植木氏は語った。
設定を終えた後は待つだけで移行完了できるKaseyaの自動化
同社の具体的な移行ソリューションの中で活用されているのが、Kaseyaだ。
「移行作業後の確認作業等、手作業がどうしても発生する部分はありますが、多くの部分をKaseyaで自動化することができます」と語ったのは、Kaseya Japanの社長である北原信之氏だ。
北原氏は、実際にWindows 7へのマイグレーション案件を数多く手がけてきた経験から、多くの企業では移行準備にかなりの時間がかかると指摘した。
「多くの企業は自社の現状が把握できておらず、その調査からやって欲しいとよくいわれます。これを手作業で行っていた場合、調査とマニュアル作成だけで2~3カ月はかかってしまうでしょう。もちろん、Kaseyaならば現状調査も自動化でき短期間で行えます」(北原氏)
Kaseyaを採用することで短縮できるのは、主に現状調査の部分と実際の展開部分だが、要件定義や検討部分を大きく縮める方法もあるという。
「本当に基本的な移行でよければ、すぐに提供できるマイグレーションプログラムもあります。検討している時間はない、細かいデータ移行は手動でやるから基本環境の移行だけやって欲しい、というのであればそれも可能です」と北原氏は柔軟な対応の可能性を語った。
そして、セミナーでは具体的なデモンストレーションも行われた。
Windows XPのマシンから新品のWindows 7マシンへ移行するという設定で紹介されたデモでは、デスクトップに置かれたファイルやショートカット、メールの未読・既読を含めた移行、マイドキュメント内のデータ移動など、一般的に必要となりそうな環境移行が自動的に進められた。
「移行中の画面は非常に地味です。設定を済ませたら後は見ているだけです。その設定も非常に簡単に行えます」と北原氏は移行作業の容易さをアピール。実際の作業はエンドユーザーが移行先PCをLANに接続し、起動してから帰るという約束さえ守ってくれれば夜間に一括作業が行えるため、業務に支障を出さずにマイグレーションが行える。
昼間に検討作業や設定内容のスクリプト作成を行い、夜間や土日に行こう作業を行うことで効率がよくなる。また、マシンによる作業なのでミスが少なく、作業中に失敗があってもステップ管理が可能なため問題箇所の特定や再実行が容易であるのもポイントだ。
「1台あたりの作業工数は約半分になります。コストもかなり抑えられるはずです」と北原氏は強調した。
コストに関しては、Windows 7のライセンスをソフトウェアアシュアランスで購入することで、ライセンスコストの分割を実現する方法もある。
「ソフトウェアアシュアランスは契約期間中最新OSにアップグレードできる権利、というイメージが強いですが、実は契約期間に応じてライセンスコストを分割支払することも可能です。コストのために3年かけて1/3ずつマシンを入れ替えながらマイグレーションしたいという話もよくありますが、ソフトウェアアシュアランスを活用すれば一括で入れ替えた上で、費用だけ3年間に分割できます。また、マイクロソフト認定パートナーが実施するトレーニングの受講やE-Learningも提供されますから、導入後の教育コスト削減にもつながるはずです。そうしたライセンス部分の相談にも我々が対応します」と植木氏は語った。