これまで「ATOK体験版」を使って各種機能を紹介してきたが、体験版では試用できない機能もある。それは「ATOKクラウドサービス」に分類されている機能だ。そこで今回は、ATOKを正式に契約するときの操作手順と、「ATOKクラウドサービス」として提供されている機能について紹介していこう。

  • 「ATOKクラウドサービス」の活用

    「ATOKクラウドサービス」の活用

ATOK Passportの契約とATOKの有効化

ATOK体験版は、ATOKの各種機能や使い勝手を30日間にわたって試すことができるサービスだ。当然ながら、試用開始から30日間が過ぎるとATOKを使えなくなってしまう。以降もATOKを使い続けるには、ATOK Passportを購入(サブスク契約)しなければならない。また、「ATOKクラウドサービス」に分類されている機能を使用するときもATOK Passportの契約が必要となる。これらの機能は、体験版では試せない仕様になっている。

そこで、これまで体験版として試用してきたATOKを有効化して、正式なATOKにするときの操作手順を紹介しておこう。ATOK Passport公式サイトを開き、画面を少し下へスクロールすると「プランを選ぶ」ボタンが表示される。このボタンをクリックする。

  • プランの選択画面へ移動するリンク

    プランの選択画面へ移動するリンク

プランの紹介ページが表示されるので、各プランの内容をよく確認し、画面を下へスクロールする。続いて、契約するプランを選択する。

  • プランの選択

    プランの選択

以降は画面の指示に従って、メールアドレス、氏名、決済情報(クレジットカード情報)などを入力していけばよい。

  • 登録情報の入力画面

    登録情報の入力画面

ATOK Passportの契約が完了すると、justmyshop.comからメールが届く。このメールにATOK Passportの「シリアルナンバー」などが記載されているので、念のため確認しておこう。

次は、体験版のATOKを正式版にする「有効化」という作業を行う。ATOKパレットにある「メニュー」アイコンをクリックし、「ヘルプ」→「シリアルナンバーの入力」を選択する。続いて「ユーザーアカウント制御」が表示された場合は、「はい」ボタンをクリックする。

  • シリアルナンバーの入力画面の呼び出し

    シリアルナンバーの入力画面の呼び出し

このような画面が表示されるので、ATOK Passportの契約時に登録した「メールアドレス」と「パスワード」を入力し、「次へ」ボタンをクリックする。

  • JUSTアカウントへのログイン

    JUSTアカウントへのログイン

すでにATOK Passportの契約が済んでいる場合は、画面左側にシリアルナンバーが表示されているはずだ。このシリアルナンバーを選択し、「次へ」ボタンをクリックする。

  • シリアルナンバーの選択

    シリアルナンバーの選択

以上でATOKの有効化は完了。「完了」ボタンをクリックして画面を閉じる。

  • 有効化の完了

    有効化の完了

ATOKクラウドサービスの設定

ATOKを有効化できたら、次は「ATOKクラウドサービス」の設定を済ませておこう。パソコンを再起動し、IMEに「ATOK」を選択して「半角/全角」キーを押すと、以下のような画面が表示される。これが「ATOKクラウドサービス」の初期設定画面となる。「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKクラウドサービスの設定(1)

    ATOKクラウドサービスの設定(1)

Justアカウントを入力する画面が表示される。ここではATOK Passportの契約時に登録した「メールアドレス」と「パスワード」を入力して「次へ」ボタンをクリックすればよい。

  • ATOKクラウドサービスの設定(2)

    ATOKクラウドサービスの設定(2)

「ATOKクラウドサービス」として提供されている機能が一覧表示されるので、使用する機能にチェックを入れる。続いて、「利用規約を確認の上、50MBの無償領域を申し込む」をチェックし、「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKクラウドサービスの設定(3)

    ATOKクラウドサービスの設定(3)

「ATOKクラウドサービス」を使用するための準備が開始されるので、そのまま数分ほど待つ。準備が完了すると以下のような画面に切り替わるので、「地域」を選択して「閉じる」ボタンをクリックする。

  • ATOKクラウドサービスの設定(4)

    ATOKクラウドサービスの設定(4)

続いて、現在の端末(パソコン)をATOK My Passportに登録する作業を行う。以下のような画面が表示されるので、「送信する」がチェックされていることを確認してから「次へ」ボタンをクリックする。

  • ATOKクラウドサービスの設定(5)

    ATOKクラウドサービスの設定(5)

以上で「ATOKクラウドサービス」の初期設定は完了。これで「ATOKクラウドサービス」の各機能を使用できるようになる。

クラウド辞典で単語の意味を調べる

ATOK Passportを「プレミアム」プランで契約した場合は、推測候補や変換候補に表示される単語の意味を辞典で調べることが可能となる。提供されているクラウド辞典は以下のとおり(2025年11月時点)。

  • 広辞苑 第七版
  • 大辞林
  • ウィズダム英和辞典 第4版
  • ウィズダム和英辞典 第3版
  • 三省堂 故事ことわざ・慣用句辞典 第二版
  • 敬語のお辞典

使い方は簡単で、候補の中から単語を選択し、自動表示される「情報ウィンドウ」で好きな辞典を選ぶだけ。このとき「Ctrl+End」キーを押して、辞典を切り替えることも可能となっている。以下の図は、「瑕疵」の意味を「広辞苑 第七版」で調べたみた例だ。

  • 「広辞苑」で意味を調べた例

    「広辞苑」で意味を調べた例

この機能を使って英単語を調べることもできる。以下の図は「大使館」の候補を選択して「ウィズダム和英辞典 第3版」の内容を表示した様子だ。「大使館」を示す英単語が「embassy」であることを即座に調べることができる。このように「プレミアム」プランを契約すると、ATOKを辞典としても活用できるようになる。

  • 「ウィズダム和英辞典」で英単語を調べた例

    「ウィズダム和英辞典」で英単語を調べた例

なお、変換時に「情報ウィンドウ」が自動表示されるのが嫌な人は、ATOKの設定をカスタマイズしておくとよい(詳しくは連載第19回を参照)。「ATOKプロパティ」を開き、「入力・変換」タブにある「表示」の分類を選択する。ここで「情報ウィンドウを表示」の設定項目を「する(自動)」→「する」に変更すると、「Ctrl+End」キーを押したときだけ「情報ウィンドウ」が表示されるようになる。

ATOKクラウドサービスにより提供される機能

続いては、「ATOKクラウドサービス」に分類されている6つの機能について簡単に紹介しておこう。ATOKクラウドサービスの紹介ページにも各機能の概要が紹介されているので、あわせて参照しておくとよいだろう。

◆ATOK Sync AP

登録した単語や学習情報などを複数の端末(PC/スマホ/タブレット)で同期したり、バックアップしたりできるサービス。自宅と職場、PCとスマホなど、使用する端末が異なる場合であっても、同じ日本語入力環境を再現できるようになる。

  • 「ATOK Sync AP」のイメージ図

    「ATOK Sync AP」のイメージ図

◆ATOKキーワードExpress

設定したジャンルの最新キーワードが推測候補に自動追加されるサービス。ATOKパレットにある「メニュー」アイコンをクリックし、「ATOKクラウドサービス」→「ATOKキーワードExpress」を選択すると、キーワードの配信を受け取るジャンルを指定できる。また、ここで各ジャンルをクリックすると、前回の更新時に受け取ったキーワードのサンプルを確認できる。

  • 「ATOKキーワードExpress」の設定画面

    「ATOKキーワードExpress」の設定画面

◆ATOKクラウド推測変換

クラウド辞書と連携することにより、推測変換を強化してくれるサービス。よく入力するジャンルを優先した候補が表示されるため、使いこむほど“自分向けの候補”を提案してくれるようになる。また、確定した単語は端末内の辞書に学習されるため、以降はインターネットに接続していなくても候補として表示されるようになる。なお、ATOKクラウド推測変換から取得した候補は、右端に各ジャンルのアイコンが表示される仕組みになっている。

  • 「ATOKクラウド推測候補」の例

    「ATOKクラウド推測候補」の例

◆ATOKナントカ変換

最初に「なんとか」を付けてタイピングすると、“それ以降の文字”に後方一致する推測候補を一覧表示してくれるサービス。「あれ、何だったっけ?」という感じで、単語を思い出せない場合などに活用できる。「なんとか」の代わりに「まるまる」や「?」とタイピングしてもよい。

  • 「ATOKナントカ変換」の例

    「ATOKナントカ変換」の例

◆ATOKクラウド文章校正

文章の間違い(誤字・脱字、表記揺れなど)を校正してくれるサービス。こちらは「プレミアム」プラン限定のサービスとなる。ブラウザで「ATOK クラウドチェッカー」のWebサイトを開き、校正したい文章を貼り付けて利用する。

  • 「ATOKクラウド文章校正」で文章を構成した例

    「ATOKクラウド文章校正」で文章を構成した例

◆8カ国語クラウド翻訳変換

変換中の日本語を、英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の8カ国語に翻訳できるサービス。こちらも「プレミアム」プラン限定のサービスとなる。

この機能を利用するときは、ATOKパレットにある「メニュー」アイコンをクリックし、「クラウド翻訳変換」→「オン」を選択しておく必要がある。また、英語以外に翻訳するときは「翻訳言語の選択」も指定しておく必要がある。

  • 「クラウド翻訳変換」をオンにする操作

    「クラウド翻訳変換」をオンにする操作

あとは“読み”を日本語でタイピングして「Space」キーを押すだけ。すると漢字変換が実行され、その下に翻訳結果が表示される。この状態で「Shift+Enter」キーを押すと、翻訳結果を文書に入力できる。いちいち翻訳ツールを使う必要はない。

  • 「8カ国語クラウド翻訳変換」の例

    「8カ国語クラウド翻訳変換」の例

以上が「ATOKクラウドサービス」に分類されている機能となる。このように、ATOKにはインターネットを活用した先進的なサービスも用意されている。あとは1カ月あたり数百円程度のサブスク料金をどう捉えるか? 「Microsoft IME」や「Google 日本語入力」のように無料で使用することはできないが、日本語入力が速くなり、その結果、仕事が早く終わるのであれば、検討してみる価値は十分にあるだろう。