今回は、動画に関連する拡張機能として「Glarity」と「Selectext」の使い方を紹介していこう。「Glarity」は動画の要約を自動生成するもので、「Selectext」では動画内の文字をOCRしてテキストデータを取得してくれる。これらの使い方を学んでおけば、YouTube動画をもっと便利に活用できるようになる。

  • 動画の要約とOCR「Glarity」&「Selectext」

動画の要約とOCRを実現してくれる拡張機能

今回、紹介する拡張機能は、動画の要約を自動生成してくれる「Glarity」と、動画内の文字をOCRしてテキストデータを取得してくれる「Selectext」だ。

それぞれの正式名称は、

  • Glarity-ChatGPT4で要約と翻訳、YouTube対応
  • Selectext: Copy Text from Videos

という名前になっているが、このままでは少し長すぎるので、ここでは「Glarity」と「Selectext」に略して使い方を紹介していこう。

Glarityの追加手順

まずは、AIにより「動画の要約」を自動生成してくれるGlarityの使い方を紹介する。拡張機能の追加手順はいつもと同じ。Glarityの紹介ページを開き、右上にある「Chromeに追加」をクリックする。続いて、「拡張機能を追加」ボタンをクリックするとインストールが完了する。

  • 「Glarity-ChatGPT4で要約と翻訳、YouTube対応」の紹介ページ

インストールが完了すると、Glarityの各種機能を紹介する画面が表示される。この画面は「×」をクリックして閉じてしまって構わない。

  • インストール直後に表示される画面

続いてGlarityの設定画面が表示される。ここでいろいろと設定を変更することも可能であるが、とりあえずは初期設定のまま動作を試してみよう。

  • Glarityの設定画面

ChatGPTを使って「動画の要約」を生成

Glarityは、基本的にアカウント登録して利用するタイプの拡張機能となる。とはいえ、「もっと気軽に試してみたい」という方もいるだろう。そこで「アカウント登録なし」のまま利用する方法から紹介していこう。

以下の図は、JAF Channelが配信している「タイヤチェーンの取り付け方」の動画ページを開いた様子だ。この動画を例に「動画の要約」を生成する手順を紹介していこう。画面の右端に表示されるGlarityのアイコンをクリックする。

  • サイドパネルを開く操作

すると、以下の図のようなサイドパネルが表示される。ここにある「ビデオの要約」をクリックする。

  • Glarityのサイドパネル

リマインダーが表示され、Glarityにログインするように促される。ログアウト(アカウントなし)の状態のまま「動画の要約」を生成したい場合は、すぐ下にある「ChatGPTで生成」をクリックすればよい。

  • ChatGPTで要約を作成

ChatGPTのWebサイトが開き、自動取得された「動画の字幕」がコンテンツとして入力される。ちなみに、ChatGPTもログインしていない状態のまま利用することが可能だ。よって、ChatGPTのアカウントは必須ではない。

  • 自動入力された「動画の字幕」

この画面を下へスクロールしていくと、ChatGPTにより生成された「動画の要約」を確認できる。

  • 自動生成された「動画の要約」

あとは、この要約を読んで動画の大まかな内容を把握するだけ。今回の例の場合、「金属製チェーン」と「非金属チェーン」の取り付け手順が詳しく紹介されている、ということを確認できる。なお、要約の生成にかかった時間はほんの数秒程度で、待たされる印象はまったくなかった。

最近は、作業手順やノウハウなどを「動画」で紹介しているケースが多くなってきたが、動画を見終えるには少なくても数分、場合によっては10分以上の時間が必要になる。さらには、せっかく時間をかけて動画を見たのに、求めている情報が含まれておらず、「無駄な時間を過ごしてしまった……」という経験がある人もいるだろう。

このような無駄を省くためにも、あらかじめ「動画の要約」を確認しておくとよい。状況によっては、要約を読むだけで「求めている情報」を入手できる可能性もある。

「タイヤチェーンの取り付け方」のように、実際に動画を見ないと手順を理解しづらい事例もあるが、このような場合も「動画の要約」が有効に活用できる。事前に動画の内容を把握しておくだけでなく、動画を視聴した後の「復習用テキスト」としても要約を活用できるはずだ。

このように、Glarityを使うとYouTube動画の要約を手軽に生成できるようになる。求めている情報を提供してくれる、有益な動画を素早く見極められるように、上手に活用していくとよいだろう。

ログインして「動画の要約」を生成

続いては、Glarityにログインした状態で「動画の要約」を生成する方法を紹介していこう。適当なYouTube動画を開き、Glarityのアイコンをクリックしてサイドパネルを開く。続いて、「ビデオの要約」をクリックし、さらに「ログイン」ボタンをクリックする。

  • ログインの開始

Glarityの開発元であるFeloにログイン(サインイン)するための画面が表示される。ここでは、Googleアカウントに紐づけてサインインするか、もしくはメールアドレスとパスワードを新規登録してログインすればよい。

  • サインイン方法の選択

ログインできたら、いちどWebページ(YouTubeのページ)を再読み込みする。その後、Glarityのアイコンをクリックしてサイドパネルを開き、「ビデオの要約」をクリックする。すると、今度はサイドパネル内に「動画の要約」が表示されるようになる。

  • サイドバーに表示された「動画の要約」

このように、ログインした状態でGlarityを操作すると、サイドパネル内で操作を完結することが可能となる。ChatGPTのWebサイトへ移動する手間を省けるため、より快適に「動画の要約」を生成できるようになる。

以上が、「動画の要約」を生成するときの基本的な操作手順となる。なお、拡張機能Glarityは、YouTube動画だけでなく、通常のWebページの要約にも対応している。そのほか、外国語の翻訳など、AIを活用した数多くの機能が用意されている。気になる方は、他の機能についても試してみるとよいだろう。

Selectextの追加手順

続いては、動画内に表示される文字をOCRして、テキストデータを取得してくれる拡張機能Selectextの使い方を紹介していこう。

拡張機能の追加手順はいつもと同じ。Selectextの紹介ページにある「Chromeに追加」をクリックし、続いて「拡張機能を追加」ボタンをクリックすればよい。

  • 「Selectext: Copy Text from Videos」の紹介ページ

インストールが完了すると、以下の図のようなWebページが表示される。このWebページはSelectextの使い方を紹介しているだけなので、そのまま閉じてしまって構わない。

  • インストール直後に表示される画面

以上でSelectextのインストールは完了。さっそく、詳しい使い方を紹介していこう。

動画内の文字をOCRする手順

ここでは、国税庁がYouTubeで配信している「医療費控除の入力方法」という動画を例に、詳しい操作手順を紹介していこう。

動画の再生を開始し、画面に文字が表示された状態で動画を一時停止する。続いて、左上に表示される「S」のトグルボタンをクリックすると、Selectextへのサインインを促す画面が表示される。この画面にある「Sign in with Google」をクリックする。

  • サインインを促す表示

以降は画面の指示に従って、Googleアカウントと紐づけていけばよい。このようにSelectextはサインインが必須の拡張機能となっている。

サインインが済むと、一時停止した動画の画面がOCRされ、文字がテキストデータとして認識される。

  • OCRされた動画内の文字

この状態になったら、コピーしたい範囲をドラッグして選択する。今回は、以下の図のようにコピーする範囲を指定した。

  • コピーする範囲の指定(1)

あとは「Ctrl」+「V」キーを押して、好きなアプリに「コピーした文字」を貼り付けるだけ。以下の図は、コピーした文字をWordに貼り付けた例だ。

  • OCRされた文字をWordに貼り付けた例(1)

左端に表示されていた「1、2、3、4、5」の数字までコピーされてしまうため、少し配置がおかしくなっているが、動画内の文字を正しく取得できていることを確認できるだろう。この程度の不具合であれば、簡単に修正できるはずだ。画面を見ながら自分で文字を入力していくより、はるかに簡単である。

もうひとつ例を紹介しておこう。今度は「住宅ローン控除の入力方法」という動画内にあった文字をコピーした例だ。

  • コピーする範囲の指定(2)

コピーした文字をWordに貼り付けると、以下の図のような結果が得られた。特に問題なく、正しく文字を取得できていることを確認できるだろう。

  • OCRされた文字をWordに貼り付けた例(2)

このようにSelectextを使うと、動画内の文字を「テキストデータ」として取得することが可能となる。OCRの精度も「十分に使えるレベル」といえるだろう。

ということで、今回は「動画」に関連する拡張機能をふたつ紹介した。情報収集や資料作成にYouTube動画を利用する機会がある方は、これらの拡張機能も追加しておくと、よりスムーズに作業を進められるだろう。いちど試してみるとよい。