今回は、海外のYouTubeを見るときに役立つ拡張機能をふたつ紹介していこう。ひとつめは、日本語に自動翻訳した吹き替え(ナレーション)を付けてくれる拡張機能「CCDub」。ふたつめは、2言語の字幕を同時表示してくれる拡張機能「Dualsub」だ。上手に活用すれば、外国語の動画であっても臆することなく視聴できるようになるだろう。
YouTubeの自動翻訳字幕
YouTubeには、日本語以外の動画も数多く投稿されている。英語、フランス語、スペイン語など、その言語は実に多種多様だ。こういった動画を楽しみたい、もしくは仕事の役に立てたいと思っていても、外国語が堪能でないため視聴を諦めていた人もいるのではないだろうか。
このような場合にぜひ活用したいのが、海外のYouTube動画を日本語に自動翻訳してくれる拡張機能だ。今回は、その一例として「CCDub」と「Dualsub」の使い方を紹介しよう。
まずは、YouTube本体に用意されている自動翻訳機能の使い方から。この機能は「字幕」が用意されている動画で利用できる。
YouTube動画の再生を開始したら、「設定」アイコンから「字幕」を選び、適当な言語(英語など)を選ぶ。
選んだ言語の字幕が表示されるので、もういちど「設定」アイコンから「字幕」を選択する。すると、字幕の選択画面に「自動翻訳」という項目が追加されているのを確認できる。この「自動翻訳」を選ぶと……
翻訳先の言語が一覧表示されるので、この中から「日本語」を選ぶ。
以上で設定変更は完了。もとの字幕を日本語に自動翻訳した字幕が表示されるようになる。
このように「字幕あり」のYouTube動画であれば、拡張機能を使わなくても海外動画を日本語で視聴できる。
外国語を日本語に吹き替えできる「CCDub」
前述したように、拡張機能を追加しなくても「日本語に自動翻訳した字幕」で動画の内容を理解することは可能だ。ただし、常に字幕を追っていく必要があるため、気楽に動画を視聴できないのが難点といえる。
このような場合に活用できるのが、自動翻訳した字幕を音声で読み上げてくれる拡張機能「CCDub」だ。これまで「字幕版」だった動画を「吹き替え版」にしてくれる、と考えれば、そのメリットを理解しやすいだろう。
拡張機能の追加方法はいつもと同じ。「CCDub - YouTube 字幕翻訳と日本語吹き替え」の紹介ページを開き、右上にある「Chromeに追加」ボタンをクリックする。続いて、「拡張機能を追加」ボタンをクリックするとインストールが完了する。
拡張機能を追加した後、YouTubeのWebサイトへ移動すると、以下の図のようなメッセージが表示される。ここで「はい」ボタンをクリックすると、サンプル動画で「日本語吹き替え」の様子を確認できる。サンプル動画を見なくてもよい場合は、ここで「いいえ」ボタンをクリックしても構わない。
あとは普通に海外のYouTube動画を再生するだけ。これで「自動翻訳された字幕」を「日本語の吹き替え」として聞きながら動画を視聴できるようになる。
ただし、「オリジナルの音声」と「日本語の吹き替え」が両方とも聞こえてしまうことに注意しなければならない。ふたつの音声がダブってしまうため、何を言っているのか聞き取りづらくなってしまう。この対策法として「オリジナルの音声」をオフ(消音)にして、「日本語の吹き替え」だけを再生するように促すメッセージが表示される。
この問題にどう対応するかは各自の自由だ。「オリジナルの音声」をオフにすると、BGMや環境音(周囲の音)なども聞こえなくなってしまう。「オリジナルの音声」の音量を下げるなど、状況に応じて対応するとよいだろう。
以上が「CCDub」の基本的な使い方となる。簡単な設定画面も用意されているので、あわせて紹介しておこう。
動画の下部に表示されている「CC」のアイコンをクリックすると、「日本語に自動翻訳した字幕」のサイズと位置を変更できる。ここで「日本語の吹き替え」のボリューム調整もできる。
そのほか、翻訳エンジン(Google/ChatGPT)を選択する項目も用意されているが、「ChatGPT」を選べるのは「CCDub」にログインしているユーザだけ。ログインしていない場合は「Google」のみとなる。
「拡張機能」のアイコンから呼び出す設定画面についても紹介しておこう。「拡張機能」のアイコンをクリックし、「CCDub」を選ぶと……
以下の図に示したような設定画面が表示される。ここでは「翻訳先の言語」と「吹き替えに使用する音声」を選べる。ただし、男性(圭太)の音声は「CCDub」はログインしている状態でないと選べない。
最後に、拡張機能の利用制限についても補足しておこう。音声による「吹き替え」を聞けるのは最初の20分だけ。20分が経過した時点で、以下の図のような警告画面が表示される。以降も利用を続けたい場合は「ログイン」ボタンをクリックし、「CCDub」にログインしなければならない。
「CCDub」へのログイン方法は、Googleアカウントと連携する形になっている。よって、メールアドレスやパスワードの入力は不要だ。無事にログインが完了すると、再び「CCDub」を利用できるようになる。
なお、「CCDub」には無料版を含めて3つのプランが用意されている。無料版のままで利用できる範囲は以下のとおり。
- ChatGPTを使った翻訳:動画2本まで
- 吹き替え時間:各動画40分まで
多少の制限はあるものの、各動画40分まで利用できるのであれば、無料版でも十分に使える拡張機能といえるだろう。常に字幕を追いながら動画を見るのではなく、もっと気軽に動画を楽しみたい方はぜひ試してみるとよい。意外と快適な環境で「外国語の動画」を見られるのを実感できるだろう。
2つの字幕を同時に表示「Dualsub」
続いて紹介するのは、YouTube動画に「2つの字幕」を同時に表示できる拡張機能「Dualsub」だ。たとえば、英語と日本語(自動翻訳)の2言語を同時に表示すれば、リスニング能力の不足分を英語字幕で補い、さらに日本語訳も確認できる、という状況を作り出せる。こちらは海外動画の視聴というより、英語学習に使える拡張機能といえる。
拡張機能の追加方法は、いつもと同じ。「Dualsub - Dual Subtitles for YouTube」の紹介ページにある「Chromeに追加」ボタンをクリックし、続いて「拡張機能を追加」ボタンをクリックすればよい。
拡張機能をインストールできたら、適当なYouTube動画を再生する。その後、「拡張機能」のアイコンをクリックして「Dualsub」を選ぶと、字幕の設定画面を表示できる。
まずは「ひとつめの字幕」から設定していこう。この設定は「各動画に用意されている字幕」もしくは「自動生成された字幕」の中から選ぶ仕組みになっている。
続いて、「Use auto-translate」にチェックを入れ、「ふたつめの字幕」を設定する。こちらは翻訳先に「日本語」を選べばよい。
以上で、字幕の設定は完了。動画の再生に合わせて「外国語の字幕」と「日本語に自動翻訳された字幕」が表示されるのを確認できるはずだ。
なお、「Dualsub」を使用するときは、YouTube自体の字幕を「オフ」にしておくのが基本だ。そうしないと、「YouTubeの字幕」と「Dualsubの字幕」が重なって表示されてしまい、文字が読みにくくなってしまう。
このように、ふたつの字幕を同時に表示できるのが「Dualsub」の特長だ。ただし、「外国語」と「日本語訳」の字幕が完全に対応する形で表示されるとは限らない。
たとえば、以下に示した図の場合、英語の字幕が「E5 ENGINES WHICH ARE ON」しか表示されていないのに、日本語訳の字幕は「……にあるE1エンジンとE5エンジンの順に3つのエンジンを再点火します」と、英語字幕の前後を含めた形で訳文が表示されている。
このため、外国語の学習には少し使いづらい部分もある。それぞれの字幕に表示できる文字数が限られており、英語と日本語は語順が異なる、ということを考慮すれば、「完全に一致するようにふたつの字幕を表示する」というのは無理難題かもしれない。よって、ある程度は仕方のない問題と割り切るしかない。
また、字幕表示が次々と更新されていくため、「両方を見比べる余裕がない」という問題も発生する。人が話すスピードと同じ速度で、外国語と日本語のふたつの字幕を読み取る、というのは相当に難しい作業だ。なるべく、ゆっくりと話してくれる動画を探すか、もしくは再生速度を0.75などに落としてスロー再生する、といった工夫も必要になるだろう。
このように多少の難点はあるものの、YouTubeにある膨大な数の動画を「語学学習の教材」にできるのは大きな利点といえる。動画の内容を知るだけでなく、「外国語そのものを習得したい」という人には便利な拡張機能といえるだろう。
ということで、今回は「CCDub」と「Dualsub」の使い方を紹介した。海外の動画を日本語音声で視聴したいのなら「CCDub」、外国語そのものを学習したいのなら「Dualsub」が便利に活用できると思われる。どちらも「無料で使える拡張機能」と考えれば、十分に利用価値のある拡張機能といえるだろう。