今回は、いくつものWebページをまとめて開いたり、特定のWebページを定期的に巡回したりするときに役立つ拡張機能として、「Pasty」と「Open Multiple URLs」の使い方を紹介していこう。これらの拡張機能を使うと、クリップボードにコピーされているURLを一気に開くことが可能となる。
コピーされているURLをまとめて開く拡張機能
前回の連載では、いま開いているWebページの「タイトル」と「URL」をクリップボードにコピーしてくれる拡張機能を紹介した。これとは逆に、クリップボードにコピーされているURLをもとにWebページを一気に開いてくれる拡張機能もある。その一例として、今回は「Pasty」と「Open Multiple URLs」の使い方を紹介していこう。
「Pasty」の使い方
まずは、「Pasty」の使い方から紹介していこう。拡張機能の追加手順はいつもと同じ。「Pasty」の紹介ページの右上にある「Chromeに追加」をクリックする。続いて、「拡張機能を追加」ボタンをクリックするとインストールが完了する。
続いて、使い勝手をよくするために「Pasty」をツールバーに固定しておこう。「拡張機能」のアイコンをクリックし、「Pasty」のピンをONにする。
これで準備は完了。さっそく「Pasty」を試してみよう。「Pasty」を使用するには、あらかじめ「URLのリスト」をクリップボードにコピーしておく必要がある。このリストは、テキストとしてコピーできるものであれば、どのアプリで作成してもよい。また、Webページのタイトルなど「URL以外の文字」が含まれていても構わない。
今回は、Word文書として保存されている以下のリストを例に操作手順を紹介していこう。なお、こういったリストの作成には、前回の連載で紹介した拡張機能が便利に活用できる。あわせて使い方を覚えておくとよいだろう。
開きたいWebページのURLをまとめて選択し、「Ctrl」+「C」キーを押してクリップボードにコピーする。
続いて、Chromeを起動し、ツールバーに固定した「Pasty」のアイコンをクリックする。
すると、クリップボードにコピーされている文字の中からURLが自動抽出され、それらのWebページを一気に開くことができる。今回の例では6個のURLが記されていたので、新たに6個のタブが追加され、それぞれに該当するWebページが表示されることになる。
このように「Pasty」を使うと、コピーしたURLをもとに複数のWebページを一気に開くことが可能となる。各URLをクリックして(またはコピペして)Webページをひとつずつ開いていく、という手間をかける必要はない。
もちろん、URLのリストはWordで作成したものでなくても構わない。受信したメールの本文に記されているURLをコピーしてもよいし、Excelに保存されているデータからURLの部分をコピーしてもよい。
参考までに、上図のExcelからコピーしたURLを「Pasty」で開いた例も紹介しておこう。このリストには、携帯電話会社のニュースリリースのページが記録されている。これを「Pasty」で一気に開くと、タブを切り替えるだけで各社の最新情報を確認できるようになる。
このように、定期的に巡回するWebページを「URLのリスト」として作成しておき、それらを一気に開いて効率よく確認していく、というのが「Pasty」の一般的な使い方となる。
なお、URLの自動抽出はそれなりの精度を有しているようで、以下の図のようにURL以外のセルを含むデータをコピーしても、正しくWebページを開くことができた。
「Pasty」は、Chromeのメジャーな拡張機能として名前が知られているだけあって、その動作も安定しているようだ。
「Open Multiple URLs」の使い方
続いては、もうひとつの拡張機能となる「Open Multiple URLs」の使い方を紹介していこう。
こちらも拡張機能の追加手順に特に変わった点はない。「Open Multiple URLs」の紹介ページの右上にある「Chromeに追加」をクリックし、「拡張機能を追加」ボタンをクリックするとインストールが完了する。
こちらも使い勝手をよくするために、アイコンをツールバーに固定しておくとよい。「拡張機能」のアイコンをクリックし、「Open Multiple URLs」のピンをONにする。
それでは、さっそく動作を試していこう。まずは、「URLのリスト」をコピーする。今回は、Wordで作成した以下のリストを例に動作を検証してみる。文字をドラッグして選択し、「Ctrl」+「C」キーでコピーする。
続いて、Chromeを起動し、「Open Multiple URLs」のアイコンをクリックする。すると、以下の図のような画面が表示されるので、「Ctrl」+「V」キーを押して、先ほどコピーした文字を貼り付ける。あとは「Open URLs」ボタンをクリックするだけだ。
これで、コピー元に含まれていたURLのページを一気に開くことができるが、一部、正しく表示されないページもある。これは「Webページのタイトル」をURLとして勘違いして、強引に開こうとしてしまうことが原因だ。
こういった不具合を回避するには、「Open URLs」ボタンをクリックする前に「Extract URLs from text」ボタンをクリックしておく必要がある。すると、貼り付けたテキストが「URLだけを抽出したもの」に置き換わる。
この状態にしてから「Open URLs」ボタンをクリックすると、それぞれのURLを正しく開くことができる。今回の例では「コピーしたリスト」に9個のURLが含まれていた。これら9個のWebページが、各タブに配置されているのを確認できるだろう。
このように、「Open Multiple URLs」にもURLを自動抽出する機能が用意されている。ただし、そのつど「Extract URLs from text」ボタンをクリックする必要があり、少しだけ手数が増えてしまう。
その反面、さまざまなオプションが用意されているのが「Open Multiple URLs」の特長となる。
順番に解説していこう。「Do not load tabs until selected」をONにした状態でURLを開くと、各タブを選択するまでWebページが読み込まれなくなる。以下の図に示した例の場合、赤線で囲ったタブはまだクリックしていないため、これらのWebページはまだ読み込まれていない状態になっている。
この機能は、一気に複数のWebページを開くと回線が混雑してしまい、「Webの表示が遅くなってしまう……」といった状況を回避したいときに利用できる。各自の通信環境にあわせて活用するとよいだろう。
その他のオプションについても簡単に紹介しておこう。
「Load in random order」をONにすると、各URLをランダムな順番に並べ替えて開くことができる。この機能は、YouTube動画をランダム再生する場合などに活用できるかもしれない。
「Load in reverse order」はコピー元の記述とは逆の順番で各URLを開いていく機能、「Ignore duplicate URLs」は重複しているURLを無視する機能、となる。
「Preserve input」は、現在のURLリストを保存しておく機能となる。このオプションをONにすると、現時点のURLリストが保存され、次回以降はクリップボードから貼り付けなくても、保存されているURLリストを一気に開くことが可能となる。同じWebページ(URLリスト)を定期的に巡回する場合などに便利に活用できるだろう。
そのほか、「Open Multiple URLs」はタブグループにも対応している。この機能を使用するときは、以下の図に示した部分で「New Tab Group」を選択してから「Open URLs」ボタンをクリックすればよい。
すると、一気に開いたタブがグループ化され、グループに名前を付ける、色で区分する、などの操作を行えるようになる。グループ内のタブを一気に閉じることも可能になるため、より快適にタブを操作を行えるようになる。
ちなみに、タブグループは2024年にChromeの新機能として実装されたものとなる。新しい機能にも、いち早く対応している拡張機能といえるだろう。
「Pasty」と「Open Multiple URLs」の比較
最後に、今回紹介した2つの拡張機能を比較しておこう。どちらも「URLを一気に開く」という目的は果たしてくれるので、どちらを選んでも大きな問題は生じない。ただし、その操作性には違いがある。
「Pasty」の魅力は、アイコンをクリックするだけで即座に使用できること。コピーした文字に「URL以外のテキスト」が混ざっていても問題なく動作してくれる。一方、「Open Multiple URLs」は、コピーしたテキストを「Ctrl」+「V」キーで貼り付けてあげる必要がある。さらに、「Extract URLs from text」ボタンをクリックして、URL以外の文字を削除してあげる必要もある。つまり、手数が2つも多くなってしまう訳だ。
このように考えると、「Pastyの方が操作性に優れている」といえるが、その反面、何も設定できないことがデメリットとなる。タブグループは使えないし、URLリストの保存にも対応していない。毎日、同じWebサイトを巡回する場合は、前回のURLリストを保存できる「Open Multiple URLs」のほうが快適に作業を進められるだろう。いちいちURLリストのファイルを開いて、文字をコピーして……といった操作を行わなくても、即座にWebページを開くことができる。
よって、「どちらが優れている」というのではなく、「各自の使い方に応じて選択すべき」といえる。「複数のURLを開く」という操作は、拡張機能がなくても実行できる操作である。わざわざ拡張機能を使用するのであれば、より快適かつ迅速に操作できる拡張機能を選択すべきだ。今回の記事が、その参考になれば幸いである。