個人用連絡先と組織の連絡先
Office 365(Exchange Online)の連絡先(アドレス帳)には、Office 365の各ユーザーが自由に使える個人用連絡先と、管理者のみが作成・修正・削除できるテナントの連絡先があります。テナントの連絡先は、ディレクトリーあるいは共有連絡先とも呼びます。
当連載の第29回では、個人用連絡先の作成方法を紹介しました。今回はテナントの連絡先の作成方法を紹介します。テナントの連絡先は、管理者だけが作成、編集、削除できるもので、管理権限を持たない一般のユーザーは閲覧のみ可能です。組織で共通に使用する連絡先情報などは、連絡先の管理権限を持つ管理者が一括管理、登録するとよいでしょう。各ユーザーが個別に同じ連絡先を重複して作成する無駄を省いたり、顧客などの連絡先情報の改訂前と改訂後が混在・混乱するトラブルを防いだりすることができます。また、テナント全体におよぶメールのルールを設定する時にも、テナントの連絡先が必要になることがあります。
※なお、Office 365で管理する連絡先には、他にLync連絡先(Skype for Business連絡先)もあります。
テナントの連絡先の作成
(1)連絡先の管理権限を持つユーザーアカウントでOffice 365にサインインし、トップページで「管理者」をクリックするか、左上のOfficeボタンをクリックして「管理者」をクリックします。
(2)ダッシュボード(Office 365の管理ページ)で、左サイドメニューの「ユーザー」→「連絡先」をクリックします。連絡先の管理ページを開いたら、「+」(新規作成)ボタンをクリックします。
(3)「姓」、「名」、「表示名」、「電子メールアドレス」を入力して、「作成」をクリックします。
以上で、連絡先の作成は終了です。
(4)作成済みの連絡先を修正する時、あるいは連絡先に住所や電話番号などのより詳細な情報を追加する時、修正する連絡先のチェックボックスをオンにして、「連絡先の編集」をクリックします。
(5)必要事項を修正して、「保存」ボタンをクリックします。より詳細な情報を登録または修正したい時は、「プロパティをさらに編集」をクリックします。
Exchange管理センターで連絡先を作成
ダッシュボード(Office 365の管理ページ)から、テナントの連絡先を作成するには、2つの方法があります。もう一つの方法も紹介します。
(6)ダッシュボードで、左サイドメニューから「管理者」→「Exchange」をクリックし、クラウド版Microsoft Exchange ServerであるExchange Onlineの管理ページ「Exchange管理センター」を開きます。
(7)Exchange管理センターで、「ダッシュボード」→「連絡先」をクリックします。あるいは「受信者」→「連絡先」をクリックします。
(6)連絡先管理ページで、「+」→「メール連絡先」をクリックします。
連絡先には、メール連絡先とメールユーザー連絡先があります。どちらもテナント外のメールアドレスを連絡先に登録し、登録した内容はテナントの全ユーザーの連絡先(People)に表示されるという点では同じです。しかし、「メール連絡先」が単純にテナント外のメールアドレスを登録するだけなのに対して、メールユーザーはOffice 365テナントへのアクセス権を含みます。Office 365の情報一部へのアクセスを部外者に許可する時に使うのが、メールユーザーです。
部外者の単なるアドレスとしてだけ利用するのであれば、セキュリティ上、「メール連絡先」として作成すべきです。
(9)連絡先情報を入力し、「保存」をクリックします。
(10)作成した連絡先を修正したい時、あるいは追加情報を登録したい時は、修正したい連絡先をクリックして選択してから、「編集」(ペン)ボタンをクリックします。
現状では、手順1~5の方法、手順6~10の方法、どちらを使ってもかまいません。同じ様にテナントの連絡先に情報を登録できます。
連絡先はExchange Onlineの機能です。本来はExchange管理センターで管理するもので、それが手順6~10です。一方、操作を簡便にするために、Office 365メインのダッシュボードから簡単に連絡先を登録できる様に、Exchange Onlineへのショートカットメニューとして装備されたのが手順1~5の方法ではないかと思われます。
ただし、手順1~5が最近のOffice 365のデザインになっているのに対し、手順6~10は古いタイプのExchange Onlineのデザインのままです。一方、バラバラの独立したサービスとしても機能するExchange Online、SharePoint Online、Lync Online(Skype for Business Server)は、Office 365で統合化・融合化が進んでいます。
今後のOffice 365のバージョンアップでは、伝統的な手順6~10の方法が大きく変わっていく可能性があります。