Office 365は、マイクロソフトのクラウドサービスです。当初、BPOS(Microsoft Business Productivity Online Suite)という名称でExchange Onlineを中核に始まったサービスで、その後、2011年にOffice 365と名称を変え、改良と機能拡張を経て現在に至っています。この連載では、Office 365の主な機能と使い方を紹介していきます。
Office 365の最新バージョンでは、Office 2013の機能をサポートしており、2013年2月27日より提供されています。
基本的にはメールサービス、インスタントメッセージングサービスに、公開Web サイト、オンライン会議、ドキュメント共有、そしてMicrosoft Office(Office 365 ProPlus)を加えたサービスとなります(プランにより、利用できる機能が異なります)。
従来のオンプレミス環境では、このようなサービスを利用しようとすれば、Microsoft Exchange Server、Microsoft SharePoint Serverなどの各種サーバ環境を構築して利用してする必要がありますが、Office 365ではこれらの機能をクラウド化して、インターネット上のサービスとして利用できるようにしています。
最新版ではMicrosoft Officeのサブスクリプションも含められるようになったので、Microsoft Officeも一元的に契約できるようになりました。
※オンプレミス(on premises):自社内にサーバ環境を設置して運用管理する利用形態。
Office 365を利用すると、以下のようなメリットがあります。
自社内にサーバ設備不要-コストの大幅削減
Office 365と同じ環境をオンプレミスで構築しようとすると、ファイルサーバやライセンスサーバ、Exchange Server、SharePoint Server、ゲートウェイなど何台ものサーバ機を用意しなければなりません。しかも、信頼性を確保するためには、システムを多重化するなどの対策も必要です。しかし、Office 365を利用すれば、そういったサーバの設置や運用管理のコストはかかりません。
信頼性の高さ
ダウンタイムはほとんどなし、世界各地のデータセンターで情報を多重化しているため、広域災害にも耐えられる高信頼性システムです。通常、これだけの信頼性を一企業が独自に構築することは不可能です。
どこからでも利用できる
クラウドサービスですので、オフィス、自宅、出張先など、どこからでも利用できます。支社や支店などの遠隔地と情報共有するにも、専用線を引いたり、VPN接続を構築したりする必要はありません。また、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯端末でもメールの送受信、スケジュールやアドレス帳の利用、Office文書の閲覧や編集が可能です。
SkyDrive連携
マイクロソフトのオンラインストレージサービスであるSkyDriveと連携できますので、ローカル環境のフォルダをSkyDriveと同期して、バックアップに利用したり、複数の拠点から同じファイルを利用したり出来ます。Microsoft Officeをインストールしていない環境でも、Web版のOfficeで文書を閲覧・編集できます。
常に最新のMicrosoft Office
Microsoft Officeサブスクリプション付の契約の場合、常に最新のMicrosoft Officeをダウンロードして使用できます。また、月払い、年払いのサブスクリプション(購読)型契約なので、導入時に高額な初期投資をせずに済みます。
用途に応じたプラン
ユーザーの目的や規模に合わせて、複数の契約プランがあります。たとえば、メールサービスのみ使いたい、Microsoft Officeも使いたい、など。無駄なコストをかけることなく、必要最小限の支出で最適な環境を構築できます。営業所の社員はOffice付だけれども、工場の社員はメールのみなど、複数のプランを組み合わせて利用することも可能です。 プランの選択基準としては、SOHO環境でOffice不要の場合はP1、Officeが必要なときはP2、中小企業で全ユーザーがOffice付の場合はM、一般企業でOfficeなしはE1、Office付ならE3かE4、メールのみの利用であればKといったところでしょう。
プラン一覧
プラン名 | P1 | P2 | M | E1 | E3 | E4 | K |
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料金(年間) | 4,920円 | 12,360円 | 14,760円 | 7,920円 | 21,600円 | 23,760円 | 3,960円 |
料金(月払い) | 490円 | 1,250円 | - | - | - | - | - |
最大ユーザー | 25名 | 25名 | 300名 | 5万名以上 | 5万名以上 | 5万名以上 | 5万名以上 |
メールボック容量 | 25GB | 25GB | 25GB | 25GB | 25GB | 25GB | 1GB |
Rights Management対応 | - | - | - | - | ○ | ○ | - |
コンプライアンス対応 | - | - | - | - | ○ | ○ | - |
複数メールボックス検索 | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
転送規則 | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
SharePointサイトコレクション数 | 1 | 1 | 20 | 3000 | 3000 | 3000 | - |
SharePointゲストユーザー数 | 500 | 500 | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 | - |
Lync | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
Office 365 ProPlus | △ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | △ |
電話サポート | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ActiveDirecory統合 | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※△は機能制限あり、または要オプション契約
※P1とP2は組み合わせて利用できます。E1~E4とKは、組み合わせて利用できる
※詳細はこちらを参照
一方デメリットとしては、システム環境はサービスサイドでバージョンアップするため、古いバージョンを使い続けたいということがあっても、自動的に新バージョンにアップグレードされる、オンプレミスでExchange ServerやSharePoint Serverを運用するときほどのカスタマイズの自由さはない、基本的にユーザー単位で課金されるため、一時的な利用、1人のユーザーが用途によって複数のメールアドレスを使い分けるなど、気軽にメールアカウントを追加することができないなどがあります。