
高市政権が社会保障と税の一体改革の目玉と位置付ける「給付付き税額控除」の創設に向け、超党派による「社会保障国民会議」の議論がスタートした。夏前の中間取りまとめを目指すが、自民党内でこれまで検討してきた制度でないばかりか、政府内でも「どんな制度案があり得るのか見当が付かない」(厚生労働省幹部)と困惑の声が上がる。
給付付き税額控除は、税や社会保険料の負担に苦しむ中低所得者に対し、正確に所得を把握した上で税額控除や給付で支援を行う仕組み。
欧米に先行事例があり、税額控除をメインとする制度から現金給付に重点を置いたものまで様々な類型がある。失業率が高い国では低所得者の就労支援策、または子育て支援策として機能させているという。
日本でも具体的な制度設計のイメージは各党や有識者の間でも隔たりが大きい。一般的に所得の低い人は所得税が全額控除されるケースが多く、住民税と社会保険料が負担軽減のターゲットになりそうだ。
そこで国民民主党は社会保険料の還付制度を唱える。厚労省幹部は保険料還付について、「サラリーマンの健康保険と、自営業者らの国民健康保険では保険料算定に用いる収入の概念や徴収方法が大きく異なるので、還付水準が保険の種類でばらばらの複雑な仕組みになるのでは」と指摘する。また、年金保険料は還付すると、老後の支給額に影響するため対象外になる可能性が高い。
給付付き税額控除は、手取り収入を増やしたいという国民の素朴な思いに寄り添った政策だ。国民会議はこの制度を社会保障サービスに位置付けようとしているが、病気や貧困といった救済事由に対応してきた従来の社会保障の発想とは大きく異なる。税や社会保険料の負担そのものが社会保障制度でカバーすべき救済事由と捉えられているためだ。そのため違和感を抱く官僚も少なくない。
厚労省幹部は「現行の低所得者向けの支援策との整理・統廃合も必要になりそうだ」と語っている。