NTTドコモビジネスは4月8日、RTK(Real Time Kinematic)測位技術(衛星測位システムから取得した位置情報をベースに地上に敷設されている基準局からの補正情報を加えることで位置情報の精度を上げる技術)を活用した高精度位置測位サービス「Mobile GNSS」において、新たな付加価値を備えたアドバンスドモデルを提供開始することを発表した。

新モデルとなるアドバンスドモデルは、センサーフュージョン(複数のセンサーから取得したデータを統合しより正確な情報を得る技術)を活用することで、従来は正確な位置測位が困難であった一時的な遮蔽環境下でも安定した測位精度を実現する。

  • アドバンスドモデルの外観イメージ

    アドバンスドモデルの外観イメージ

Mobile GNSS開発の背景

NTTドコモビジネスは2023年10月18日より、超小型GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)受信端末、通信サービス、GNSS位置補正情報サービスをワンパッケージとした高精度位置測位サービス「Mobile GNSS」を提供している。同サービスは建設、鉄道、放送、電力、公共などの業界で利用されているという。

従来のモデルはRTK測位技術を用いて衛星信号のみを元に位置情報を算出していたため、アーバンキャニオンと呼ばれるビル街では、衛星信号がビルに反射することで起こるマルチパス(衛星からの電波がまっすぐ来るもの以外に、反射により回り道して届いてしまう現象)の発生や、トンネル出入り口などの一時的な遮蔽環境においては衛星信号が遮られる場合があった。そのため、正しい測位結果が得られず、測位精度が不安定になる課題があった。

そこで今回は、このような測位精度の課題を解消するとともに、バッテリー駆動時間などの機能改善を加えたデバイスを開発し、アドバンスドモデルとして提供を開始する。なお、これまで提供してきた従来のモデルについては、スタンダードモデルとして引き続き提供する。

アドバンスドモデルの特長

今回提供を開始するアドバンスドモデルでは、従来のRTK測位技術で得られた位置情報に、端末の姿勢・方位・角速度の算出が可能な9軸センサーから得られる情報を組み合わせることで、一時的に衛星信号が乱れる環境下においても測位精度の乱れを抑制可能。新たに外部GPSアンテナ端子も搭載。

バッテリー駆動時間がスタンダードモデルと比較して約2倍となり、長時間の現場利用にも対応する。また、より高性能なLTEモジュールを採用したことで、従来以上に安定した通信で位置測位を実現するという。

スタンダードモデルは内蔵型のeSIMを搭載していたが、アドバンスドモデルはカード型のnanoSIMに変更することで、ドローンなどの飛行体への搭載も可能となり、より幅広いシーンでの利用を可能としている。

加えて、外部からの給電時に、デバイスの物理ボタンを操作することなく外部電源に合わせた電源のON / OFFが可能となった。これにより、車載利用などにおいてエンジン始動に合わせた測位の開始や、ソーラー発電との併用にも対応する。

オールスター感謝祭「赤坂五丁目ミニマラソン」でも有効性を確認

アドバンスドモデルの提供開始に先立ち、TBSテレビの協力の下で、4月4日に放送された「オールスター感謝祭'26春」に向けて、同モデルを用いた効果検証を実施した

TBSのオフィス敷地内にある坂は周囲が高いコンクリートやビルに囲まれており、途中には通路があることから、高精度な位置測位が難しい環境とされていた。そのため、この環境でアドバンスドモデルのセンサーフュージョン機能を活用し、測位精度の乱れを改善可能か、効果検証を実施した。

同番組内の「赤坂五丁目ミニマラソン」において活用したところ、衛星測位情報のみのデータの場合は遮蔽エリア(通路の下)を通過した際に実際の走行ルートと比べて測位結果がぶれてしまったのに対し、センサーフュージョンを活用したアドバンスドモデルは同様の環境下でも正確な測位を維持し乱れを抑制できることが確認された。

  • 「赤坂五丁目ミニマラソン」検証結果

    「赤坂五丁目ミニマラソン」検証結果