DeepL日本法人はこのほど、リアルタイム音声翻訳サービス「DeepL Voice」に関する記者説明会をオンラインで開催した。Web会議などオンラインの翻訳に対応する「DeepL Voice for Meetings」や、対面での会話を翻訳する「DeepL Voice for Conversations」などを展開する。
DeepLジャパンのソリューションズコンサルタント、塩屋通宏氏はDeepL Voiceについて「会議や商談といった、その場ですぐに対応しなければいけないような場面でも、言葉の壁を感じないコミュニケーションをサポートする」と紹介していた。
多言語会議はなぜ非効率なのか?3分の1が無駄になる理由
NBER(National Bureau of Economic Research:全米経済研究所)の調査によると、複数の外国人メンバーと働く多国籍企業では、会議時間の34%が言語の壁によって無駄になっているという。外国語での言い回しを考えている時間や、聞き返す時間、訳語を検索している時間などが生じるためだという。
他の調査では、会議参終了後に正確に会議の内容が伝わっているのは、全体の約60%だという結果もある。理解が合っているのか確認するのが面倒、わかったふりをしてしまう、といった原因が考えられる。
その結果、認識のずれや誤解による業務への影響、確認作業や認識合わせの増加による生産性の低下、言語の不安による意見や知見の取りこぼしなどが生じる。こうした背景から、「言語の壁を、個人の課題ではなく会社の課題として捉える」(塩屋氏)ことをサポートするために、同社はDeepL Voiceを提供する。
ビジネス利用におけるDeepL Voiceの優位性は、「言語分野における高い専門性」と「データセキュリティ」とのことだ。
専門性の点では、多様なデータセットで学習したモデルにより、音声と言語の多様性に対応している。また、人による評価を通して、自然な翻訳品質を実現している。
セキュリティにおいては、モデルを自社開発しているほか、すべてのデータ通信を暗号化している。シングルサインオンによるアクセス制御にも対応。ユーザーの同意のない翻訳データや文字起こしデータは保存しないポリシーだ。
DeepL Voiceで会議はどこまで効率化できる?年間194時間削減の実態
DeepL Voiceでは主に、オンライン会議などを翻訳する「DeepL Voice for Meetings」と、対面の会話を翻訳する「DeepL Voice for Conversations」の2つのサービスを提供している。
DeepL Voice for MeetingsはMicrosoft TeamsやZoom Meeting、Webブラウザから利用可能。1つの会議内に複数の言語で発話される場合でも、翻訳可能だ。発話内容はリアルタイムに文字起こしされ、同時に翻訳された文章も表示される。
DeepL Voice for Meetingsを実証利用したという企業では、会議の生産性向上と効率化により、1人当たり年間約194時間の削減効果が確認されたという。これを金額に換算するとおよそ96万円とのことだ。会議終了後の確認作業は26%削減された。
さらに、単なる効率化とコスト削減にとどまらず、会議の質も向上し、新たなビジネス機会の創出にもつながったそうだ。
将来的には音声から多言語の音声に直接翻訳する機能もリリース予定だ。
もう一方のDeepL Voice for Conversationsは、スマートフォンを使って音声を翻訳したテキストをリアルタイムに表示するサービス。翻訳したテキストは音声での読み上げ(text-to-speech)も可能。スマートフォンアプリ、もしくはWebブラウザから利用できる。
DeepL APIで何ができる?自社サービスへの翻訳機能の組み込み事例
上記の2つのサービスに加えて、企業が自社サービスに翻訳機能を組み込める「DeepL API」も提供する。同社が得意とする翻訳性能や処理速度、高いセキュリティなどをAPIで利用できるようになる。
メモやナレッジ共有などに使えるワークスペース「Notion」は、先行してDeepL APIの利用を開始している。その結果、グローバル展開が加速したほか、海外ユーザーの定着率も改善したとのことだ。
また、外部ツールを使うことなくNoitonアプリ内で翻訳が完結するため、シームレスなユーザー体験にもつながり、利用者のストレス軽減も実現している。





