業界を驚かせたOpenAIの動画生成ツール「Sora」の終了発表。ローンチから6カ月での終了判断の内幕はどのようなものだったのか--。
収益化の見通しが立たず
Soraの発表は2024年2月、テキストから動画を生成するAIとして話題となった。OpenAIは同年9月にChatGPT Plus/Proユーザーを対象に一般公開し、10月には日本にも拡大した。なお、Soraは日本語の「空」に由来する。DALL-E 3の技術を応用したもので、テキストから簡単に動画を作成できることが大きな話題を呼んだ。同時に、著作権の観点で議論も醸した。OpenAIは同年12月、Disney(ディズニー)と3年間のライセンス契約を結んでいた。
そのSoraの終了は、3月24日に発表された。最大の要因はAIチップの消費量だという。Soraは言語モデルと異なり、動画の動く世界全体を学習する必要があるため、計算コストが極めて高い。1日あたり約100万ドルの損失を出す一方、収益化の見通しは立たなかった。OpenAI社内では、収益に貢献しないSoraチームへの計算資源の配分を疑問視する声が上がっていたという。
決断を後押ししたのが競合との差だという。Anthropicの「Claude Code」が開発者の間で急速に普及し存在感を増しており、OpenAIはエージェントAI分野での遅れを痛感していたという。
Soraの終了で受ける小さくない代償
計画しているIPO(新規上場)を前に、コーディングやデータ分析、旅行予約などをAIが自律的にこなす「スーパーアプリ」構想を推進するうえで、Soraへのリソース投入は続けられないと判断したとのことだ。
代償は小さくなかったようだ。ディズニーとは200以上のキャラクターのライセンス契約と10億ドルの投資で合意していたが実現しなかった。Sora終了の通知はディズニー側にわずか1時間前に届いたとされ、幹部らは衝撃を受けたという。
OpenAIは「計算資源を長期的な経済価値の高い領域に集中させる」と同紙に説明。CEOのサム・アルトマン氏は社内向けメッセージで、困難な判断をした社員たちを称えるとともに、Soraチームはロボティクスなど長期的な研究へ移行すると伝えたという。Wall Street Journalが関係者への取材にもとづき報じている。