富士通とUmios(旧 マルハニチロ)は3月24日、水産物の流通情報をトレースし可視化する電子トレーサビリティシステムの実証実験を2月1日に共同で実施した結果について公表した。

今回の実験ではUmiosグループが和歌山県で養殖するクロマグロを対象に、養殖場から販売店までの流通情報を消費者がスマートフォンで確認できる仕組みを構築し、社会実装に向けた有効性を確認した。両社は2027年度までに、Umiosグループが取り扱う魚種の一部を対象に同システムの運用開始を目指す。

取り組みの背景

近年、世界的な人口増加や健康志向の高まりを背景に水産物の需要が増加している一方で、天然水産資源量は減少傾向にあり、持続可能な水産資源の確保が喫緊の課題となっている。

特にIUU漁業(Illegal:違法、Unreported:無報告、Unregulated:無規制で行われる漁業)への対策は重要性を増しており、各国では水産資源管理や漁獲規制の厳格化が進められている。

そのため、水産業界においては、調達から流通に至るまでの各プロセスでIUU漁業との非関与を明確にし、証明する仕組みの整備が共通の課題となっている。

Umiosグループは中期経営計画「For the ocean, for life 2027」のサステナビリティ戦略において「生物多様性と生態系の保全」をマテリアリティの一つに位置付け、取り扱い水産物がIUU漁業と無関係であることを迅速かつ確実に証明できる電子トレーサビリティ体制の構築を進めている。

実証によりトレーサビリティの記録・可視化を確認

実証実験を実施したのは、Umios Marine 串本事業所(和歌山県、養殖場)およびオークワ 和泉小田店(大阪府、販売店)。Umios Marine 串本事業所で養殖したクロマグロが対象となった。

オークワ 和泉小田店で対象のクロマグロを購入した消費者が、スマートフォンを使って生産履歴(養殖・水揚げから加工、販売に至るまで)を確認できる、電子トレーサビリティシステムの実証実験を実施し、アンケートによる消費者意識も調査した。

富士通がプロトタイプとして開発した、生産履歴のすべてを記録するシステムには、同社の事業モデル「Uvance」を通じて提供する「Sustainability Value Accelerator」のトレーサビリティソリューションが活用された。

実験の結果、システムを用いて、対象クロマグロの生産履歴情報をシステム上で問題なく記録し可視化できることが確認された。

消費者意識調査(有効回答数35)では、約91%が「購入時に重視または参考にしたい」、約77%が「安心感・信頼感につながる」と回答したほか、約77%が「トレーサビリティ情報が付いた商品には追加で対価を支払える」と回答した。電子トレーサビリティが商品の付加価値としても機能し得ることを示す結果も得られた。