
国土交通省が、京都市のオーバーツーリズム(観光公害)対策に注目している。同市は、市中心部での市営バス運賃について、27年度中に二重価格を導入する方針を決定。一律230円から市民は200円、市民以外は350~400円に変更し、増収分はバスの混雑状況をリアルタイムで伝えるシステムの強化や、多言語対応の観光案内人の委託費といった観光対策に使うという。
二重価格は、市民がマイナンバーカードとひも付けた交通系ICカードを運賃箱にかざすと、割引が適用される仕組みで行う。マイナカードと連携した市民割引は、前橋市がバス利用促進のため24年から実施しているが、観光対策を目的としたものは「他に聞いたことがない」(国交省物流・自動車局担当者)という。
道路運送法では、バス運賃の「不当な差別的取り扱い」を禁じているが、この担当者は「事案ごとに判断する」と説明。まだ可否を判断する段階ではないとしつつ、「観光対策という市の説明には一定の合理性がある」と理解を示す。
もっとも、国交省は二重価格が観光対策として効果があるかどうかについては、「内容を承知していないためコメントは控える」(国交相の金子恭之氏)と明言を避ける。現時点では、対策の詳細に未確定の部分が多いためだ。
物流・自動車局幹部は「多言語対応などをどういう規模でやるかによって二重価格への評価も変わる。効果が出ればと期待してはいるが……」と打ち明ける。
これらの対策に必要なコストの透明性を確保し、価格差を設けることに理解をえられるかどうかが成否を分けるとみられ、観光庁幹部は「二重価格を導入するなら、観光客も含めて納得させるストーリーが大事だ」と訴えていた。