【 厚生労働省 】政治主導で抜本改革へ 年金抜本改革へ研究会が始動

年金制度改革に関する超党派の研究会が3月から本格的に活動を始めた。自民党の河野太郎元外相が代表呼び掛け人となって昨年末に設立したもので、衆院選後に初めて開かれた会合には与野党から若手を中心に約20人の国会議員が集まった。

 河野氏の狙いは「国会議員の年金に関する知識を底上げし、政治主導で抜本改革すること」にある。現時点で、各党の研究会への注目度は低いものの、出生数減少に伴う年金制度への不安が高まれば改革に向けた「台風の目」になる可能性もありそうだ。

 河野氏と言えば、昨年の通常国会で成立した年金制度改革関連法を巡り、厚生年金の積立金と国費を活用する将来世代の基礎年金底上げ策について、「厚生年金保険料の目的外使用だ」として猛反発したことで知られる。この影響で政府・与党は底上げ策を法案の国会提出時に盛り込むことを断念。最終的には、基礎年金を重視する当時の立憲民主党との修正協議で復活させて成立にこぎ着けた。

 こうした経緯から厚生労働省内には河野氏に対する忌避感が非常に強い。「河野先生の反対で改革が頓挫しかけた」と憤慨する幹部もいる。

 そもそも、同省の年金官僚らは「2004年改正でマクロ経済スライドを導入したことにより、年金にはもう抜本改革は不要」との立場だ。マクロ経済スライドとは、現役世代が支払う保険料に上限を設ける一方、財政が均衡するまで年金額を抑制する仕組みだ。

 しかし、マクロ経済スライドは当初見込んだような効果を発揮できず、今後も年金の目減り調整が長期間続く見通しで国民の年金不信を招いている。加えて日本の出生数は年金制度の前提を大きく下回って推移している。

 河野氏は「年金制度は破綻しなくても、年金生活が破綻しては意味がない」と訴えており、30年の次期年金改革までに機運を高めようとしている。現状では年金制度は官僚主導で運営されている。抜本改革を行うと痛みも伴うため、政治家の説明責任も不可欠となる。

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