デル・テクノロジーズ(以下、デル)は3月16日(米国時間)、リリースから2年を迎えた「Dell AI Factory with NVIDIA」についてアップデートを発表した。今回のアップデートによって、企業がAIをパイロット運用から実稼働に移行支援するAIデータプラットフォーム、エンド・ツー・エンドのAIインフラストラクチャ、およびAIソリューションとサービスポートフォリオを強化する。

組織の知識をAIの燃料に変えるデータプラットフォーム

AIは支援ツールから自律的なエージェントシステムへと進化しているが、その有効性は、アクセス可能で信頼性が担保され、意思決定に活用できるデータによって制約されている。

「Dell AI Data Platform with NVIDIA」は、デルのハイパフォーマンスストレージ、モジュール型データエンジン、そしてNVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティング、ネットワーキング、ソフトウェア、CUDA-Xライブラリを組み合わせたAI統合プラットフォームによって課題を解決する。

「Dell AI Factory with NVIDIA」のデータ基盤として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)やマルチモーダル検索から、エージェント型ワークフロー、大規模なデータ処理に至るまでのワークロードに対応。今回発表された機能強化により、データをより迅速かつ容易に実質的なAIの成果へと変換できるようになるとのことだ。

デスクトップからデータセンターまでAIワークフローを可能にするインフラストラクチャ

例えば、デスクトップでのAIの開発および自律型エージェントの場合、「Dell Pro Max with GB10」「Dell Pro Max with GB300」は、AIの構築と実行に特化して設計されたデスクトップ型AIスーパーコンピュータで、エージェンティックAIワークフローと自律型エージェントの開発に不可欠なコンピューティング能力、メモリ容量、および常時稼働の信頼性を提供する。

「NVIDIA NemoClaw」と「NVIDIA OpenShell」により、データのセキュリティとプライバシーを保護するローカルAIを活用し、デスク上で安全かつ自律的で長時間稼働するエージェントを構築できる。

デルは「NVIDIA GB300 Grace Blackwell Ultra Desktop Superchip」 を搭載したデスクトップを初めてOEMとして出荷。最大20ペタフロップス(petaFLOPS)のFP4パフォーマンスと748ギガバイトのコヒーレント メモリを搭載し、1兆パラメータ規模の自律型AIエージェントの開発と展開を実現する。

また、「Dell Pro Precision」ワークステーションでは、AI開発者とデータサイエンティストが必要とするパワーと拡張性を提供。最大5つのNVIDIA RTX PRO Blackwell世代のデスクトップ向けGPUが搭載できるタワー型をはじめ、NVIDIA RTX PRO Blackwell世代のノートPC向けGPUを搭載したモバイルワークステーションでは、より薄くてスマートなデザインでより高いパフォーマンスを発揮するとのことだ。

大規模なプロダクションAIでは、「Dell PowerEdge XE9812」はデルのフラッグシップとなる水冷サーバであり、NVIDIA Vera Rubin NVL72プラットフォームを活用して大規模なリアルタイム トレーニングと推論を実現する。

「Dell PowerEdge XE9880L」「XE9882L」「XE9885L」はNVIDIA HGX Rubin NVL8を搭載した水冷サーバで、既存のデータセンターの設置面積や電力といった制約の中でも検証済みのAIパフォーマンスを発揮できるように設計された。

データセンターのエンタープライズワークロードの場合、「Dell PowerEdge R770」「R7715」「R7725」は新たなNVIDIA RTX PRO 4500 Blackwell Server Edition GPUを搭載するコンフィギュレーションにより、汎用インフラストラクチャにAIアクセラレーションを追加できる。

「Dell PowerEdge R9822」「M9822」はNVIDIA Vera CPUを初めて搭載し、要求の厳しいエンタープライズワークロードの選択肢を拡大。

高性能ネットワーキングと新たなテクノロジー向けとなる、「Dell PowerSwitch SN6000」シリーズはVera Rubinベースのデルのプラットフォーム向けに、1.6Tbs、水冷式およびオプティクスを同梱したNVIDIA Spectrum-6 イーサネットスイッチ。

「Dell PowerSwitch SN5610」「SN2201」はCumulus Linuxやデルによるエンタープライズ SONiC ディストリビューションなど、ネットワークOSの選択肢が広げた。

「NVIDIA Quantum-X800 InfiniBand Q3300-LD」は液冷式スイッチで、AIとクラウドネイティブのワークロードに高帯域幅のネットワーキングを実現する。

「Dell Integrated Rack Scalable Systems(IRSS)」は「Dell PowerSwitch」とNVIDIAの水冷スイッチを新たに統合し、AIインフラストラクチャの電源と冷却をラックレベルで一元的に管理できるようになった。

デルはNVIDIAのAIインフラストラクチャを搭載した「PowerEdge」サーバにおいて、NVIDIA NVQLinkおよびCUDA-Qを統合した最初のOEMとなる。これにより、企業や研究機関は量子コンピューティングとクラシックコンピューティングを組み合わせた新たなユースケースを探求できるようになる。

具体的には、量子プロセッシングユニット(QPU)の処理能力とNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングを組み合わせて、「PowerEdge」サーバの信頼できる基盤上で量子システムの制御とエラー修正が可能。これにより、高度な医薬品開発や材料科学シミュレーションにおける成果創出の加速が期待される。

導入を促進しROIを実証するソリューションとサービス

デルのAIソリューションでは、新たなモジュラー型アーキテクチャと「Dell Automation Platform」の設計図、およびNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアを組み合わせることで、運用を簡素化して導入の複雑さを軽減しながら、企業に成果をもたらすという。新たなサービスによってスキルギャップを埋め、実証実験から実稼働への移行を支援する。

Aible、Cohere's North、NVIDIAなどのパートナーと連携しながら、インテリジェントアシスタントの設計、導入、管理の基盤となる。また、ClearML blueprintのセキュアで効率的なGPUクラスタ管理とワークロードスケジューリングにより、企業のエージェントAI環境を改善。

Agentic AIプラットフォームでは、Cohere's North、DataRobot、NVIDIAと連携しているため、企業はオーケストレーション、ガバナンス、オブザーバビリティを備えたAIエージェントを安全にデプロイして管理できる。

「Dell Accelerator Services for Agentic AI」は実験や検証から全社的な統合までの各段階でビジネスをサポートするパッケージ機能を提供し、スキルギャップの解消と技術的な複雑さの軽減を実現する。

モジュラーアーキテクチャを採用した「Dell AI Factory with NVIDIA」は、導入の複雑さの解消、急速なテクノロジー変化への対応、継続的な導入の支援を通じて、エンタープライズAI導入への明確でシンプルな道筋を提供するという。統合された自動化機能により適切な規模で導入を開始し、ニーズの変化に応じて柔軟に規模を拡大できる。