気づかれないまま撮影される――そんなAIグラスの特性が、新たなプライバシー問題として浮上している。

Security Boulevardが3月16日(現地時間)、「The Privacy Problem With Meta’s Ray-Ban Smart Glasses - Security Boulevard」において、Metaが開発および販売しているAIグラスのリスクを伝えた。

複数のAIグラスが製品化され、いずれもカメラ、マイク、AI機能、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS: Social networking service)の連携機能を搭載する。見た目は美しく、従来のスマートグラスよりも威圧感の少ない外観となっているが、周囲の人々にとって脅威になる可能性があるという。

  • 気づかれず撮影。その映像、共有されている可能性も 出典:Meta

    気づかれず撮影。その映像、共有されている可能性も 出典:Meta

気づかれずに撮影されるリスク

Metaが開発したAIグラスにはカメラが搭載されており、周囲の様子を撮影することができる。公共の場における撮影は、人々にとって脅威となるが、この脅威はスマートフォンのカメラ機能でも同様だ。盗撮が主な脅威となるが、国内製品ではシャッター音を再生するなどの対策で影響を軽減する措置がとられている。

また、スマートフォンによる撮影は、シャッター音を消した場合においても撮影者の様子から識別可能なことが多く、脅威を回避できる可能性が高い。ところがAIグラスの場合は撮影動作を伴わないため、撮影者の様子から識別することはできない。シャッター音の代わりにLEDインジケーターの点灯で知らせる機能を搭載しているが、周囲からは認識困難とされ、近くにいても撮影に気づかないことが指摘されている。

撮影データが社内共有・AI学習に利用される可能性

この脅威は周囲の人々のものだが、それだけにとどまらないことも明らかになっている。一部報道によると、MetaのAIグラスを利用したカメラ撮影は、その一部がMetaおよび関連企業で共有され、AI学習に利用される。これは利用規約に記載があり、合意に基づく動作とされる。

実際にトイレなどのセンシティブな動画が共有され、従業員によりレビューされたことが伝えられている。また、撮影していることを忘れ、カメラをサイドテーブルに置いた例では、家族の着替えが共有されたという。これは撮影者本人を含めすべての人の脅威であり、リスクの高い製品と言える。

盗撮・盗聴・顔認識、拡大するセキュリティリスク

セキュリティ面では製品自体の安全性よりも、カメラ撮影やマイク録音による脅威が想定されている。具体的には肩越しにパスワードを覗き見るショルダーハッキングや、盗聴の可能性などだ。

将来の可能性としては、スマートグラスと接続しているスマートフォンのAI技術を使用した顔認識技術の導入が予想されている。これはMetaなど製品提供側で導入した場合の脅威となるが、世界中の任意の人間の居場所を容易に特定できるようになる可能性を秘めている。この技術は政府など、監視を必要とする組織の利用が想定される。

スマートグラスはMetaに限らず、GoogleやAppleも参入を目指して開発を進めている。Metaのようにプライバシーを積極的に侵害するかは定かでないが、普及が進むにつれて、将来的には安価な製品が出回ると予想される。そのような製品に高度な保護機能の組み込みを期待することはできず、社会的不安はさらに高まる可能性がある。

スマートグラスはスポーツ風景の撮影や、車の運転風景の撮影などに利用されている。しかしながら、休憩の合間にそのまま公衆トイレに入ると、罪に問われることになる。カメラを保持するという動作を伴わないため、不意に忘れる可能性があり、慎重に取り扱うことが求められる。今後スマートグラスの普及は徐々に進むと予想されるが、法規制よりも技術が先行する状況となっている。