ソフトバンクは、自社開発した通信業界向けの生成AI基盤モデル「Large Telecom Model」(LTM)におけるマルチAIエージェント基盤を構築したと3月12日に発表。複数のAIエージェントが相互連携して分析から判断、実行まで自律的に行うもので、これまで熟練者による判断や引き継ぎが必要だった運用プロセスの属人化を防ぎ、迅速な判断による対応スピードの向上を実現するとしている。

  • 通信業界向け生成AI基盤モデル「Large Telecom Model」のマルチAIエージェント基盤の構築イメージ

    通信業界向け生成AI基盤モデル「Large Telecom Model」のマルチAIエージェント基盤の構築イメージ

また、通信ネットワークの運用業務の自動化に向け、基地局の開設時やハードウェア構成の変更時などに行われるインテグレーション業務で、マルチAIエージェント基盤を活用した検証を開始した。

マルチAIエージェント基盤の開発や、基地局インテグレーション業務の自動化の背景には、ネットワーク運用現場におけるいくつかの課題がある。

近年、通信トラフィックの増大やサービスの多様化に伴い、ネットワーク構成の高度化・複雑化が進んでいる。このため、運用現場ではリアルタイムかつ高度な判断が求められる場面が増える一方で、業務の属人化や人手不足への対応といった課題が顕在化しているとのこと。

従来の生成AIは分析や回答といった機能が中心だが、実際のネットワーク運用業務では分析結果を踏まえた判断や設定変更、関係者との連携といった、一連のプロセスを各担当者が実行する必要がある。そうした運用業務を段階的にAIへ移行することをめざして、ソフトバンクでは前出のLTMのマルチAIエージェント基盤を構築した。

ソフトバンクは今後、基地局のインテグレーション業務に加え、障害対応やトラフィックの最適化、品質改善、設備保全などの多様な業務において積極的にAIを活用し、段階的に自律化。

実運用で得られた知見を基に、LTMやAIエージェントの高度化を図り、ネットワークの安定性・信頼性のさらなる向上と、迅速かつ柔軟なサービス提供を実現し、次世代ネットワークの進化に寄与するとしている。

マルチAIエージェント基盤の概要

今回構築したマルチAIエージェント基盤は、役割ごとに最適化された複数の業務特化型AIエージェントが相互に連携して動作し、これまで人が分担して行っていた分析から判断、実行までの一連の業務を担う。

各AIエージェントが検知・分析した結果を別のAIエージェントが引き継いで判断や対応を行うなど、必要に応じて相互に情報を受け渡しながら協調することで、業務全体をひとつの流れとして自律的に処理する。

各業務や役割に特化したAIエージェント同士が相互に連携することで、個別業務の自動化にとどまらず、ネットワーク運用全体を横断した高度な自動化をめざす。

基地局インテグレーション業務の自動化検証

この検証でマルチAIエージェント基盤は、各種ログや設定情報、蓄積されたネットワークの設計・管理・運用ノウハウを基に、検知された異常を分析。原因の特定から解決策や対応方針の提示、必要に応じて関係者への報告、対応まで自律的に行う。

これにより、これまでは担当者が個別に判断していた対応方針の策定や関係部署との連携などを自動化し、基地局インテグレーション業務全体の自動化を実現するという。