【財務省】「消費税減税」に現実味 存在感増す片山大臣

先の衆院選で自民党が大勝し、消費税減税が現実味を帯びたことで財務省に強い逆風が吹きつけている。

 選挙戦で、自民党は高市早苗首相に対する高い支持に加え、飲食料品の消費税率を2年間ゼロにすると公約したことで減税を掲げる大半の野党に圧勝。首相は減税に対する国民の支持という”御旗”を得たうえ、歴史的な勝利で長期政権の橋頭堡を築いたともいわれる。

『高市1強』について、財務省幹部は「なすすべもない」と鎮痛な面持ち。一方、片山さつき財務相は首相の『責任ある積極財政』を支える支柱として、2月18日中にも首相指名選挙を経て発足予定の第2次高市内閣で財務相を続投するとみられ、今後さらに存在感を増しそうだ。

 片山氏は2月10日、投開票後最初の閣議後会見で飲食料品の「2年間消費税ゼロ」に関し「(選挙で)約束したことは真摯に実行を考えないといけない」と述べた。一度税率を下げると元に戻すのは難しいとの見方については「(首相は)ぶれないから、そういうことだ」とし、あくまで2年間に限る方針だと強調。5兆円規模の必要な財源は「補助金や租税特別措置の見直し、税外収入などによって2年分確保してできるだけ早く実現できるよう知恵を絞りたい」と語った。

 こうした高市政権の方針をめぐって、財務省の”地盤沈下”が目立つ。特に財務省出身の吉野維一郎首相秘書官は”戦犯”とさえ囁かれる。衆院解散の時期に加え、自民公約に消費税減税を盛り込むことを首相や首相側近に「何もできずにあっさり」(官邸筋)押し切られたためだ。

 新川浩嗣財務次官は安倍晋三元首相秘書官を務め、財務省嫌いの安倍氏の信頼を得るなど、政治家との交渉能力の高さは歴代次官の中で随一といわれてきたが、高市政権では首相と関係を密にする片山氏を前に守勢に立たされている。

 ただ、財務省が白旗をあげるとは言い切れない。高市政権の財政運営に対しては金融市場の懸念が根強い。

 片山氏は10日の記者会見で、超党派の国民会議を早期設置し、消費税減税に向けた論点整理に着手する意向を明言した。財務省が「安倍氏より強力になった高市首相にどう対抗できるか」(中堅)、正念場はむしろこれからだ。

【改めて賃上げは進むのか?】第一生命経済研究所・首席エコノミスト 熊野 英生