三菱重工業(三菱重工)とソフトバンクは3月2日、三菱重工の横浜製作所(横浜市中区)のYokohama Hardtech Hub(YHH)に設置されたエッジデータセンター「DIAVAULT(ディアヴォルト)」で、ソフトバンクのAI-RANプロダクト「AITRAS(アイトラス)」を活用したエッジAIアプリケーションの実証実験を行うと発表した。
実証実験の概要
近年、エネルギーや産業機械分野をはじめ、さまざまな業界でAIを活用して設備の運用・保守を高度化するAIトランスフォーメーションの取り組みが加速し、現場でのAI活用においては、より近い場所に設置可能なデータセンターと、通信の安定性とデータセキュリティを両立させたAIの実行環境が求められている。
実証では、外部ネットワークから隔離されたオンプレミス環境での安全かつ安定した通信による高速なAI推論の有効性を検証。また、三菱重工が有する拡張性の高いエッジデータセンターのファシリティ技術とAITRASを融合し、現場環境でのAIの実行を可能にする新たなAIインフラの社会実装を目指すことで両社は合意した。
具体的には、オンプレ型のDIAVAULT内に、AITRASを用いたAI-RAN環境を構築し、この環境下で三菱重工が開発する「製品の故障・修理特定を支援するAIアプリケーション」を展開し、実証実験を行う。現場作業員がスマートデバイスから送信した画像・映像データを閉域環境内でリアルタイムに解析し、故障箇所の特定や適切な修理方法の提示を行う方針だ。
3つの検証事項
実証実験を通じて、両社は「エッジAI処理によるリアルタイム解析」「高度なセキュリティと閉域性の実現」「修理業務の効率化と標準化」を検証。
エッジAI処理によるリアルタイム解析ではクラウドを介さず、閉域環境内でAI処理が完結するため、安定した通信基盤のもとで、データ送信や解析の遅延を短縮させる。
高度なセキュリティと閉域性の実現については、製品に関する企業の機密データを外部に出すことなく、安全にAI推論を行える環境を構築するほか、修理業務の効率化と標準化においてはAIによる故障箇所の特定で、従来は熟練技術者の知見に依存していた業務の負荷を軽減を図る。
今回の協業合意と実証実験により、両社の強みを生かし、AIの進化に対応し続けるスケーラブルかつ信頼性の高いエッジAI運用基盤の構築を目指すとともに、顧客の現場のAIトランスフォーメーションを加速させる新たなソリューションの創出に向けた取り組みを推進していく考えだ。

