Notion Labs Japanと慶應義塾は2月26日、慶應義塾における「世界最高峰のAIキャンパス」実現に向けた戦略的連携を開始することを発表した。両者は包括的連携覚書(MOU)を締結し、教育・研究・大学運営におけるAI活用と、知識・業務情報の統合的な管理基 盤の整備を共同で推進する。

それに伴い、両社は慶応義塾大学 三田キャンパスにて、調印式を実施。慶應義塾 塾長の伊藤公平氏、Notion Global head of SalesのPravesh Mistry氏が登壇した。以下、調印式の模様と戦略的連携の概要を紹介する。

  • 調印式の様子

    調印式の様子

慶応義塾のAIの取り組み

慶應義塾では、AIを全学的な知的インフラと位置づけ、文理を問わず全学生・研究者がAIと対峙し社会の発展に資する活動に従事するためのビジョンとして「AIキャンパス構想」を掲げている。

その一環として、同校は、学生・研究者にとって「世界最高峰のAIキャンパス」を3年以内に形作るために、最先端のAI・デジタル環境の整備に加え、世界トップのプラットフォーム企業との連携を促進している。

慶応義塾は2018年に「AIホスピタルによる行動診断・治療システム」に取り組んだことを皮切りに、さまざまなAI研究・教育に取り組んできた。

例えば、2019年にスタートした「AI・高度プログラミングコンソーシアム(AIC)」は、塾生が主体となりAI技術を学び、教え合うことで次世代のリーダーを育成する学習団体。大学生が慶應義塾一貫校生にAIやプログラミングを教えることで、社会で活躍するAI・IT人材の育成・輩出を支援しているという。

  • 「AI・高度プログラミングコンソーシアム(AIC)」のイメージ

    「AI・高度プログラミングコンソーシアム(AIC)」のイメージ

また直近の取り組みでは、2024年9月に「慶應AIセンター」を設立。慶應AIセンターでは、慶應義塾大学・カーネギーメロン大学(CMU)・連携機関による共同研究プロジェクトを推進するとともに、ワークショップなどを開催し、AIに関する学際的な連携を行う取り組みを行っている。「身体性を有するAIおよび多言語AI」「人間と共生する自律AI」「科学的発見のためのAI」をテーマに、研究を進めているという。

  • 「慶應AIセンター」のイメージ

    「慶應AIセンター」のイメージ

このような取り組みについて、伊藤氏は「慶應義塾の伝統として『文明の利器を積極的に正しく活用する』という考えがある」と述べた上で、「AI・デジタルを正しく使いこなす学びと研究の環境整備を目指す」と強調していた。

  • 慶應義塾のAIの取り組みについて語る伊藤塾長

    慶應義塾のAIの取り組みについて語る伊藤塾長

一方のNotionは、ドキュメント、プロジェクト、ナレッジ、業務運用を一箇所に集約できるコネクテッドワークスペースとして、組織の知識と実行をつなぎ、人間とAIが「チームメイト」として協働する起点となる環境づくりを支援している企業。

今回の連携では、「慶應の知をつなぎ、新しい学び・研究・挑戦を生む。人とAIが協働し、次の発見が生まれるキャンパス」を目指し、「全学の知」「研究の知」「教職員の知」の循環を進めていく。

  • 慶應とNotionが目指すAIキャンパス

    慶應とNotionが目指すAIキャンパス

「世界最高峰のAIキャンパス」の実現に向けて

連携の下、慶應義塾の全教職員に対してNotionを導入し、学内に分散する168年の間に積み重ねてきた文書、規程、ノウハウ、履歴、業務情報などの知的資産と、日々の業務オペレーションを一つのプラットフォームに集約する。

これにより、人間とAIが同じ「信頼できるコンテキスト」を共有しながら協働できる環境を整備し、検索、情報取りまとめ、重複作業、引き継ぎ負荷などといった「仕事のための仕事」の削減を目指す。

  • 「仕事のための仕事」の削減を目指す

    「仕事のための仕事」の削減を目指す

またこのような取り組みを通じて、教職員がより本質的な教育研究支援や学生対応に注力できる体制の構築を進めていくという。

慶応義塾とNotionは、MOUに基づき、以下の取り組みを共同で推進する。

1.統合的な知識・業務の管理基盤(Integrated Management Ecosystem)の構築

学内の知識資産と業務オペレーションをNotion上に集約し、必要な情報へ迅速にアクセスできる共通基盤を整備する。

2.大学全体の生産性向上とAIトランスフォーメーション(Productivity & AI Transformation)

情報検索、取りまとめ、引き継ぎ等の負荷を軽減し、教職員が教育・研究・学生支援など価値の高い業務へより注力できる環境づくりを推進する。

3.学生のAI活用促進(責任ある活用、実験・創造の後押し)

教職員の導入を起点に、学生の学びや創造の場におけるAI活用も段階的に検討し、責任ある活用と実践知の醸成を支援する。

4.成果・ベストプラクティスの国内外への共有

進捗や成果、運用ノウハウ、ベストプラクティス、公開可能な範囲でのテンプレートなどを発信し、国内外の教育機関や社会に還元していくことを目指す。

今後の展望

今回の慶應義塾におけるNotion導入は、学内の知が育ち続ける状態を作り、教育・研究・運営の質を 向上させることを目指すものとして連携された。

そのためにNotionは、導入設計から定着化まで伴走し、運用相談や優先的なサポート、およびチャンピオン育成とトレーニング設計で利用を促進していくという。

今後、両社は最高水準のAI環境で、好奇心と向き合える人間の主体性を醸成し、「次の発見と挑戦が生まれるAIキャンパス」を後押ししていきたい考え。