地域医療機能推進機構 大阪病院(以下、大阪病院)、富士通Japan、フォーティエンスコンサルティング(旧 クニエ)は2月19日、日本マイクロソフトの技術を活用して、医師や看護師の業務全般に渡り生成AIを安全に利活用するための体制構築を目的とする協定を2月13日に締結し、プロジェクトを開始したことを発表した。

今回のプロジェクトでは、大阪病院の退院サマリ作成と看護申し送りの業務に、富士通Japanが開発し提供する生成AIを活用したサービスを導入。2026年6月の運用開始に向けて、生成AIの利活用に関する院内ガイドラインの整備や情報基盤、運用ガバナンスを構築し、院内における生成AI利活用の普及と浸透に取り組む。

  • 調印式の様子

    調印式の様子

取り組みの背景

近年の医療機関においては、医療の質向上と働き方改革の両立、経営の健全化が喫緊の課題となっており、AIをはじめとするテクノロジーの活用が急務とされる。一方で、職員のITリテラシーのばらつきやデジタル人材不足により、AIが部分的な運用にとどまるなど、導入後の定着には課題も残る。

大阪病院では2024年11月より、日本マイクロソフトおよびフォーティエンスコンサルティングの支援のもと、会議の議事録作成や、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を活用した職員向けのチャットボットシステムの構築など、診療領域を除いた業務への生成AI適用に取り組んでおり、そこで一定の成果が得られたため、生成AIの適用を診療領域に拡大するために今回の協働に至ったとのことだ。

退院サマリ作成と看護申し送りの効率化に向けた生成AI活用

診療領域における生成AI適用の第一弾として、大阪病院の年間退院サマリ約1万6000件に対し、富士通Japanの生成AIを活用した医療文章作成支援サービスを用いてサマリの作成を支援する。また、看護領域では看護申し送り業務で必要な要点整理に生成AIを活用する。

これらの取り組みにより業務効率化を図り、医療の質向上と働き方改革を促す。また、大阪病院でのサービス導入範囲にとどまらず、地域医療機能推進機構、ならびにその他の公的病院などに対して、電子カルテ上の診療データの活用支援を行い、個人情報保護と医療の質向上を両立させながら、診療業務などにおける生成AIの利活用の拡大を目指すという。

生成AIの利活用における運用ガバナンスの構築

プロジェクトでは、医療現場で求められる安心・安全を最優先に、生成AIを継続的に利活用できる仕組みの整備を目指す。

大阪病院は医療情報の機密性を踏まえ、セキュリティ・プライバシー・コンプライアンスを重視した日本マイクロソフトの生成AIプラットフォーム上でのデータや生成AIの出力結果の取り扱いに関する運用ルールを整備し、法令・倫理面に配慮した生成AIの利活用における運用ガバナンスを体系化する。

また、大阪病院において、医師や看護師に加え、事務部門などの多職種のメンバーが参画し医療現場での生成AIの利活用を促進させる「DXアンバサダー(院内推進リーダー)」を設置し、現場課題の把握からユースケースの検証、生成AIの利活用支援までを一体的に推進。これらの知見を生成AI利活用のフレームワークとして整理し、運用ガバナンスを強化することで診療領域への展開と医療DXの継続的な推進につなげる。

組織全体のデジタルリテラシー向上を目指し、教育プログラムを実施

3者と日本マイクロソフトの生成AIの導入知見をもとに、生成AIの利活用の基本方針を定め、その方針に基づいて他の医療機関で生成AIを導入するための運用ガイドラインや、医療従事者向けの生成AIの活用ガイドラインを、フォーティエンスコンサルティングが中心となり策定する予定。

また、同社は教育プログラムを提供し、さらに教育プログラムの実施を支援し、院内全体のデジタルリテラシー向上と生成AIの利活用の定着を図るとのことだ。