
既存の生態系と「ネオメディア」との融合
─ SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝さん、26年の世界全体の概況、SBIの取り組みを聞かせてください。
北尾 私の50年以上に亘るマーケットとの関わりの中で、今ほど難しいと感じるときはありません。デジタルの技術革新のスピードの速さ、そしてトランプ政権の相互関税を米司法がどう判断するかといった政治の問題、ロシア・ウクライナ戦争、中国による台湾侵攻の恐れといった地政学リスク、さらには中々金利の正常化が進まない日本での円安加速化の懸念等々、予測不可能な状況が続くからです。
しかし当社のことで言えば、グループ全体が非常に好調に推移しており、中期目標の「2029年3月期 連結税引前利益5000億円」は今年度中の達成が見通せる状況になっています。来年度以降も、今まで打ってきた様々な手が開花してくると見ており、サステナブルな成長が期待できると思います。
特に米国で金融とメディア、ITの融合が進む中で、我々は「SBIネオメディアホールディングス」という会社を設立しました。このほか、M&Aや出資等も進めており、ユニークなネオメディア生態系が誕生すると思います。既存の生態系との相乗効果で、顧客基盤の拡大と情報発信力の強化が実現できる構図がほぼ出来上がってきています。
─ SBIは全生活領域にまたがるものになりそうだと。
北尾 ええ。我々の生態系は「金融を核に金融を超える」という方向性でどんどん伸びていきます。
例えば先日、サウジアラビアの王族で、アニメやゲームといったコンテンツに関わる分野のトップの方と話したのですが、彼はサウジで格闘技のイベントをやってほしいという希望を述べるなど、エンターテインメント分野に強い関心を寄せていました。我々は中東にも進出しており、こうした新たな地域、新たな領域でも事業を拡大していきます。
─ 世界で新たな動きが出ているということですね。
北尾 はい。今、米国ではGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック=現メタ、アマゾン、マイクロソフト)を中心にデータセンターへの巨額投資が進んでいますが、電力不足が懸念されています。そこで何が必要かというと「核融合」です。この核融合発電が次の革新的技術になると見ており、我々もこの領域への投資を進めています。
─ 「地方創生」への取り組みも進めていますね。
北尾 日本でもようやく金利が上がり始めていますが、これは正常化です。これにより低金利、マイナス金利で苦しめられてきた地域金融機関が潤い、今後は地方創生の可能性が高まることになります。
そこにSBI新生銀行も一緒になって、地域企業の資金需要に応え、地方に新たな企業をつくるための取り組み等を進めていきます。