【2026年をどう占いますか?】 答える人 大和証券グループ本社会長・中田誠司

日経平均株価は年末6万円をうかがう場面も

※本記事は2025年末に収録したものです

 ─ 25年は日経平均が5万円台を付けた年でした。大和証券グループ本社会長の中田誠司さん、26年の展望は?

 中田 世界経済の全体観は、保護主義の影響や地政学リスクの緊張が続く中、安定した成長を模索する過渡期が続くと見ています。一方でコロナ後の世界を襲ったインフレ懸念は沈静化に向かっており、IMF(国際通貨基金)は世界経済成長率を約3%の緩やかな拡大と想定しています。

 世界最大の経済大国である米国では、相互関税によるインフレ懸念は概ね抑制されており、複数回の利下げが見込まれることから、景気は軟着陸がメインシナリオです。さらに、半導体、AI関連投資も継続しており、米国の成長率は2%程度になると想定しています。

 ─ 日本経済の見通しをどう予測しますか。

 中田 日本は緩やかなインフレ経済に移行し、賃上げによる好循環が定着して、安定成長が続くと見ています。企業業績も好調に推移し、当社では26年度の上場企業の1株当たり利益を日経平均ベースで2710円と想定しています。

 現在のPERは約19倍となっていますが、高市政権の経済対策への期待という上振れ要因も考えると、PERが約22倍まで買われてもおかしくない。よって、日経平均は26年末に6万円をうかがう場面もあると見ています。

 リスクは米トランプ政権の動向です。物価高騰が国民生活を圧迫しており、直近では支持率が下落している話も聞こえてきます。中間選挙で共和党が大きく負けると、残り2年の任期中に、経済全体が停滞する可能性がある点に注意が必要です。中東のイスラエル、ハマスは停戦状態ですが、引き続き原油価格への影響をリスクとして頭に置かなくてはなりません。

 ─ 新NISA開始以降、個人の投資も活発化していますが、現在までの手応えは?

 中田 25年は「貯蓄から投資へ」の流れが本格化した年だったと思います。ただ、これが定着するためには4つの要件が必要だと考えています。

 第1に国民の金融リテラシー向上、第2に民間金融機関の主体的役割、第3に資産運用の高度化・多様化、第4に企業の持続的成長です。この4つが相互に作用してインベストメント・チェーンが機能し、国民・家計がその恩恵を享受することが重要です。

 ─ スタートアップ支援への考え方を聞かせてください。

 中田 IPO(新規株式公開)市場の構造的な変化を受けて、これまで以上に大企業が担い手となり、ヒト・モノ・カネを通じて、IPOに限らない多様な形でスタートアップを育成することが必要だと考えています。