【厚生労働省】診療報酬改定、人件費は30年ぶりの引き上げ水準

医師らの人件費に充てる「本体部分」が、30年ぶりの引き上げ水準となるプラス3.09%で決着した26年度の診療報酬改定。年明けからは、厚生労働相の諮問機関で、医療行為ごとの具体的な配分を決める中央社会保険医療協議会の議論が佳境を迎えている。

 2月中旬にまとめる改定案で焦点となるのは医療従事者の賃上げ。勤務医や看護師、などの賃上げに充てる条件で初診料、再診料、入院基本料を上積みする「ベースアップ評価料」で対応することになった。

 政府は、診療報酬改定を通じて26、27年度にそれぞれ3.2%のベースアップを目指すため、本体改定分のうち、1.7%分を賃上げに充てることで決定した。

 厚労省はこの合意に基づき、24年度改定で新設したベースアップ評価料の仕組みを見直す方針。給与改善に全額充てることが条件で、保険局幹部は「医療機関が使途を決められる初・再診料の単純引き上げと比べて確実な賃上げ効果が見込まれる」と説明する。

 前回の24年度改定では使途が賃上げに限定される新設のベースアップ評価料の他、40歳未満の勤務医らの賃上げ原資の確保策として初・再診料などの単純引き上げも行われた。

 しかし、初・再診料の単純引き上げに財務省は「賃上げではなく、開業医らが高級車の購入費や接待費に回るだけではないか」と猛反発。医療費の支払い側である健康保険組合連合会の幹部も「医療機関が賃上げできずに苦しいというから報酬を3%も上げるのに、初・再診料を単純に引き上げるのは納得できない」とクギを刺す。

 このため、初・再診料の単純引き上げを求めていた日本医師会もベースアップ評価料による賃上げ対応を認めざるを得なくなった。医療機関が同評価料を受け取るには、関係書類をそろえて地方厚生局に事前に届け出る必要がある。小規模な診療所にとって、この届け出作業がハードルとなるため、厚労省は簡素化する。

【改めて賃上げは進むのか?】第一生命経済研究所・首席エコノミスト 熊野 英生