
総務省は、海底ケーブルの防護策を検討する有識者会議を設置し、初会合を開いた。国際通信で用いられる海底ケーブルは、経済活動や安全保障上の重要性が増す一方で、日本近海でケーブルが破損する事例も増えている。このため、ケーブルの整備や保守などの具体的な対策を検討した上で、今年6月をめどに提言をとりまとめる。
海に囲まれた日本では、国際通信のほとんどが海底ケーブルを経由している。日本は北米とアジアをつなぐ中継地で、重要な通信インフラを担っている。
人工知能(AI)の普及で国内外の需要が増加する一方、底引き網漁船などによる漁業活動や突発的な自然災害などで破損する頻度が高まっているほか、国家間の緊張関係の高まりなどを受け、意図的にケーブルが切断されたとみられる事例も頻発している。
こうした背景から、検討会では整備や保守に関する具体的な対策や、官民連携のあり方について議論する。林芳正総務相は「これまで政府は、海底ケーブルの切断リスクに備え、通信事業者と連携し海外ケーブルの多ルート化や、障害発生時の連絡体制や事業者間の連絡体制の確立などに取り組んできた」と説明。その上で「海底ケーブルはわが国にとって欠かせないインフラであり、安全確保は極めて重要。検討会での結果を踏まえて必要な施策を講じていく」との考えを示している。
林 芳正・総務相
海底ケーブルを巡っては、総務省は2025年にまとめた30年までのデジタル分野の成長戦略で、海底ケーブルの世界シェアを30年に35%に引き上げる目標を掲げている。
総務省の調査によると、海底ケーブルはフランスのASN、米サブコム、日本のNECが3強。しかし、近年は中国勢が台頭し、受注競争が激化。総務省はケーブル敷設船の新規購入や、ケーブルの生産能力の強化を支援し、自国の敷設・保守能力についても高めていく構えだ。
