サイボウズは2月13日、国際興業の「kintone(キントーン)」活用事例について、kintone製品サイトの導入事例ページで公開した。国際興業は2022年よりkintoneを全社展開し、563のアプリを運用中。2025年からはkintone AIラボの機能を活用し、社内の問い合わせ業務の効率化を実現しているという。

さらに、分析業務へのAI活用も進めており、利用者から寄せられる遅延などの運行情報から運行状況の傾向を分析できるようになった。今後はこういった情報を、運行計画に役立てることも視野に入れているとのことだ。

  • 「kintone AIラボ」活用シーン

    「kintone AIラボ」活用シーン

「kintone AIラボ」活用の背景

国際興業は乗合バス事業を中心に、ホテル・レジャー、流通・商事、不動産開発などの事業を展開している。社員数は約2100人で、そのうち約1400人がバスの乗務員など会社からPCやモバイル端末を貸与されていない現場職であるなど、運輸・交通業界ならではの特性を持つ。

同社は2020年の新型コロナウィルス感染拡大をきっかけに、社内業務のデジタル化を本格的に展開し始めた。他システムからの移行先としてkintoneが採用され、2022年から利用を拡大。全社掲示板、社則管理、お客様の声管理、制服の申請、燃料発注など、現在は563のアプリが業務に使用されている。

しかし、kintoneアプリの数が増えるにつれて、「目的のアプリが見つけられない」という声が従業員から挙がるようになった。約2100人の社員を抱える同社においては、社内規定や届出書類に関する問い合わせは膨大な数となるため、対応部署の業務を圧迫していたという。そこで同社はサイボウズが2025年4月に提供を開始したkintone AIラボの「検索AI」を活用し、問い合わせ対応を効率化した。

経営層からは「個人の業務生産性向上」という方針が示されており、社内データを活用した生産性向上が求められている中で、すでに業務データの大半が集約されているkintoneのデータを活用した業務分析にも取り組むとしている。

「検索AI」機能によって社内データを活用

国際興業は、kintoneアプリに登録されたデータから適切な回答を検索して表示する「検索AI」を用いて、情報システム化と総務部でそれぞれ業務効率化を図った。

情報システム課では、IT関連のインシデント情報を管理するアプリに「検索AI」機能を追加した。「検索AI」を使うことで自然言語で過去事例を横断検索できるようになり、検索ワードの不一致による再調査が不要となり、無駄の削減につながった。

総務部では社内規定や提出書類を参照するアプリに「検索AI」機能を追加。問い合わせを受けた際に従業員が「検索AI」に質問すると、過去の事例や規則に基づいた回答が返ってくるため、対応負荷の軽減につながった。

  • 検索AIの活用例

    検索AIの活用例

バスの遅延傾向の分析・見直しに「レコード一覧分析AI」を活用

国際興業は利用者から集めた現場からの遅延情報を収集しているが、膨大な数のバスの運行実績や遅延データの分析に手が回っていなかった。そこで、「レコード一覧分析AI」機能を用いて、「お客様の声アプリ」に記録されたバス利用者からの声を分析した。AIが抽出した遅延情報(日時、場所、遅延時間)や発生傾向から分析を効率化することで、将来的にはバス運行計画の見直しへの活用を目指しているという。

  • レコード一覧分析AIのイメージ

    レコード一覧分析AIのイメージ

kintoneによるデジタル化でAI活用の土台を強化

国際興業はPCやモバイル端末、kintoneアカウントを持たない社員にもペーパーレスの恩恵が届くよう、経費精算システムや給与明細など、社員にとって身近な業務からデジタル化に着手している。

同社はAIによる高度な分析や検索をより価値あるものにするためには、「社内情報の網羅的なデジタル化」が不可欠であるとし、引き続き「全社員へのデジタル技術による恩恵の波及」を推進する。

今後も社内のあらゆるデータをkintoneへ集約し、AI活用の土台を強化していくとともに、既存のワークフローシステムやレガシー環境で構築されているシステムをkintoneアプリへと統合することで、コスト適正化と業務の安定化を目指すとのことだ。