楽天グループは2月12日、2025年度通期および第4四半期の決算について発表し、オンラインで説明会を開いた。通期の連結売上収益は前年同期比9.5%増の2兆4966億円となり、29期連続で過去最高を更新した。
また、Non-GAAP(Non-Generally Accepted Accounting Principles)営業利益は同1407.9%増の1063億円、EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)は同33.7%増の4359億円で、こちらも過去最高額。一方で、親会社の所有者に帰属する利益は前年から赤字が拡大し1778億円の損失となった。
楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏は2026年度の方針について、「Non-GAAP営業利益とIFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準)営業利益の双方の利益指標を増加することを目指す。特に、楽天モバイルと楽天グループサービスのエコシステムのシナジー拡大、自社開発LLMをはじめAI活用の加速、アントレプレナーシップ醸成といった人材開発強化の3領域に注力する」と語った。
インターネットサービス:国内ECが増収をけん引
インターネットサービスセグメントにおける売上収益は、前年同期比6.8%増の1兆3697億円、Non-GAAP営業利益は同4.5%増の889億円で、増収増益となった。マイノリティ投資事業の評価損益を除くNon-GAAP営業利益は同15.2%増の1003億円だ。
国内EC事業は「楽天市場」や「楽天トラベル」などのコア事業の堅調な収益成長により、流通総額は6兆3452億円(前年同期比3.9%増)と増収。物流事業などの成長投資ビジネスにおける損失の縮小に向けた取り組みもNon-GAAP営業利益の増益に寄与した。
引き続き、モバイル事業とのシナジー拡大やAI活用によるコアビジネスの増収造営と、成長投資ビジネスの早期黒字化を目指すとのことだ。
特に楽天市場は、月間のアクティブユーザーに占める楽天モバイル契約者の割合が16.4%と、前年同期比で1.4ポイント増加した。楽天モバイル契約者は非契約者と比較して年間流通総額が48.8%高いことから、楽天市場ユーザーのモバイル利用を促進するという。
また、トラベル事業はインバウンド需要を中心に、グローバル関連の取扱高が前年から58%増加。国内関連の宿泊も1.8%のプラス成長を達成。中国政府による日本渡航自粛の呼びかけにより、グループを中心にキャンセルが発生したものの、宿泊事業者が国内向けのプロモーションを強化したことから、国内需要が拡大した。また、楽天トラベルはFIT(Foreign Independent Tour / Traveler)が多いことから、影響は限定的だったとのことだ。
フィンテックセグメント:楽天カード拡大と楽天銀行の金利収益で成長
フィンテックセグメントの売上収益は前年同期比19.0%増の9759億円、Non-GAAP営業利益は同30.3%増の1999億円で増収増益となった。顧客基盤および取扱高の拡大が継続し、全事業で増収を記録した。
楽天カードはショッピング取扱高が同10.3%増の26.5兆円となり、リボ払い手数料率の引き上げと共に増収に寄与した。金融費用が前年から1.5倍に増加するといった影響もあったが、結果的には増益となった。
2月9日に発表された楽天銀行の2026年3月期第3四半期決算によると、経常収益は同39.1%増の1832憶円、経常利益は同51.7%増の751億円だった。グループシナジーを活用した口座獲得が進み、2025年12月末時点の口座数は同7.0%増の1763万口座まで増加した。メイン口座化と生活口座化のさらなる進展に伴い預金残高も増加し、単体預金残高は2025年12月末時点で同10.0%増の13.2兆円に上る。
楽天証券は新NISA経由で新規顧客を獲得しており、証券総合口座数は2025年12月時点で1326万口座まで増加。NISA口座数は2026年1月に700万を突破した。活況な市場や日銀政策による金利上昇などを受け、大幅な増益を達成したという。
楽天ペイメントでは楽天ペイアプリを中心とした顧客基盤の拡大に伴い、取扱高の増加が継続している。広告売上の成長に対し、低コスト水準を維持したことで、Non-GAAP営業利益は同111.3%増の95億円と、2期連続の黒字を計上した。
モバイルセグメント:初のEBITDA通期黒字化を達成
モバイルセグメントの売上収益は、前年同期比で9.6%増の4828億円。Non-GAAP営業損失はマイナス1618億円で、前年から471億円の改善となった。EBITDAも651億円改善し、288億円の通期黒字化を実現した。
楽天モバイルの売上収益は、契約回線数の拡大とARPU(Average Revenue Per User:ユーザー当たりの平均売上高)の増加により、同32.0%増の3747億円、Non-GAAP営業損失は前年から503億円の改善となる1660億円となった。EBITDAは667億円の改善となる129億円を計上。携帯キャリア事業に参入以来初となる通期EBITDA黒字化を達成した。
楽天モバイルの全契約回線数は、2025年12月末時点で同171万回線増の1001万回線。楽天グループ各サービスのエコシステムとの各種シナジーにより認知が拡大しているという。コンシューマーの獲得が好調だったほか、年度末にビジネス向けパイプラインの実績化を推進したことが貢献した。
特にコンシューマー向けでは30~40代を中心とする楽天エコシステムからの獲得が好調だった。さらに、デバイスの拡充や「Rakuten最強U-NEXT」プランの提供などが、データ利用量の多い若年層の獲得を後押しした。ユーザーのデータ利用量増加に伴うデータARPUが上昇ドライバーとなり、ARPUは同3円上昇の2860円。
これまで一部KDDIのローミングによりサービスを提供してきた楽天モバイルだが、都市部を中心とした加入者数の増加を受け、トラフィックの増加分を自社ネットワークでカバーするよう設備投資を増強する。
20205年度は工事会社のリソース確保が遅延し、当初の計画より遅れが生じているという。2026年度は2000億円強の設備投資を計画しており、社内の人的リソースも集中しながら基地局建設を加速する。具体的には、繁華街では5Gを整備しトラフィックを分散し、地下鉄では帯域幅を5メガヘルツから20メガヘルツへ拡張する。
「2026年はさらに多くのお客様に通信品質の改善を実感いただけるよう、社を挙げてネットワーク強化に取り組む。同時に、モバイル契約者がグループサービスをよりお得にお使いいただける各種施策をリリースしていくことで、契約者拡大の成長ペースを一層加速していきたい」(三木谷氏)









