日本IBMは2月12日、地域金融機関向けのAI基盤の構築に着手したと発表した。同基盤は日本IBMが提唱する、企業の全社的なAI活用を加速させるためにオープンな業界標準に準拠しつつ、エンタープライズ向けの利用基準を満たすよう設計された「統合AI基盤」を参照して構築するものとなる。金融機関特有の高いセキュリティ基準やMicrosoft 365資産の有効活用などを考慮しながら、AI活用に不可欠なデータ管理機能やセキュリティ、ガバナンス機能を一元化した基盤として構築する。これにより、地域金融機関はAI導入の負荷を軽減して全社的なAI活用の基盤整備が可能となり、持続的なAI開発や運用環境の確立を後押しするという。

地域金融機関向けAI基盤構築の背景

現在、多くの地域金融機関においてAI活用は経営の最優先事項として推進されつつも、個別業務での限定的な導入にとどまり、全行・全社レベルでの本格的な展開に向けて動き出す段階にいる。

しかし、そのためには金融機関に求められる高度なセキュリティ要件を満たすとともに、無秩序なAIの乱立を防ぐためのAIガバナンスの構築が必要となっているほか、企業競争力を高めるためには、進化の早いAI技術を的確に見定め、取り入れていくことも求められている。一方、これらを地域金融機関が単独で行うことはハードルが高く、結果的にAIの活用が後手になってしまう可能性が懸念されているとのこと。

こうした背景のもと、同社は地域金融機関が安全かつ持続的にAIを活用できる環境を整備できるよう、基盤の構築に着手。基盤は「じゅうだん会」のリーダー行として高度なシステム開発・運用を続ける八十二長野銀行の知見をアーキテクチャに反映する。

AI基盤の特徴

主な特徴として情報漏えいや不適切な回答などを防ぐため、AIガードレールを基盤全体に実装する。AIガバナンスプラットフォームの「IBM watsonx.governance」やAIゲートウェイなどを活用し、AIの挙動を常に可視化・制御することで、ガバナンス体制構築の実現を目指す。

また、多くの地域金融機関が利用するMicrosoft 365上の資料やメールなどの非構造化データと銀行の構造化データを、Microsoft Fabricを活用したデータ基盤に安全に統合することで、既存のツールやシステムとの摩擦のない統合を図る。

さらに、AI技術の進化スピードに対応するため、ハイブリッド・バイ・デザインのアプローチを採用し、特定の技術に依存せず、変化に柔軟に対応できるように設計。基盤を構成する各機能を可能な限り差し替え可能な部品として構成することで、システム全体を作り直すことなく、迅速かつ低コストで最新技術へ乗り換えられる柔軟性を持った基盤を実現する。

  • 統合AI基盤のアーキテクチャ

    統合AI基盤のアーキテクチャ

八十二長野銀行は、基盤を採用する金融機関の第一号ユーザーとして、2026年内からの順次稼働を目指し、日本IBMの支援のもと導入に着手する。日本IBMは、基盤の構築を通じて地域金融機関が負荷を軽減しながら、全社的なAI活用の基盤を整備し、持続的なAI開発や運用環境を確立できるよう支援。

また、基盤を「共創プラットフォーム」として進化させ、各地域金融機関が開発した資産や各社が開発した拡張機能などを再利用可能なアセットとして相互に活用できる仕組みを整備することで、エコシステムの実現を推進していく考えだ。